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課税事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として課税仕入れ等の事実の帳簿への記載、保存及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等の保存をしなければならないこととされています。

しかし、領収書が発行されないネット通販を利用して消耗品等を仕入れた場合や、仕入先からの商品仕入れをインターネットを通じて行っている場合などは、取引先から請求書等の交付を受けることができないことがあります。

この場合「請求書等の保存」ができないことになるため、仕入税額控除は適用できないのでしょうか?

実は、請求書等の交付を受けられないインターネット取引でも、仕入税額控除を受けることはできます。

今回は、請求書等が交付されないインターネット取引の仕入税額控除の適用要件について解説したいと思います。

 

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やむを得ない事情がある場合には、請求書等の保存がなくても仕入税額控除を受けられる

消費税法第30条≪仕入れに係る消費税額の控除≫の適用を受けるための要件については、消費税法第30条第7項において以下のように規定されています。

7 第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

原則として、請求書等の保存がない課税仕入れ等については、仕入税額控除は適用できないものとされています。

ただし、上記太字部分で示したようにやむを得ない事情により請求書等を保存することができなかったことを証明した場合には、請求書等の保存がなくても仕入税額控除を適用することができます。

 

インターネット取引で請求書等の交付を受けられない場合も「やむを得ない事情」に該当する

国税庁の質疑応答事例において、インターネット取引により請求書等の交付を受けれない場合について、以下のような記載があります。

【照会要旨】
当社は小売業を営む法人ですが、商品の発注は全てインターネットを通じて行っていることから、取引先から請求書等の書類の交付が受けられず、取引の請求内容等については電子データによる保存があるのみです。
このような場合、請求書等の交付を受けなかったことについてやむを得ない理由があったとして、仕入税額控除の適用を受けることはできるでしょうか。

【回答要旨】
(前略)
照会のようにインターネットを通じて取引を行った場合には、請求書等に記載されるべき法定事項が通信回線を介してコンピュータ間で電子データとして交換されるため、請求書等そのものが作成・交付されないこととなり、当該電子データ以外の保存が行えない状況となりますが、これは、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合に該当するものと考えられます(基通11-6-3(5))。
したがって、帳簿に記載すべき事項に加えて、インターネットを通じた取引による課税仕入れであること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載して保存する場合には、仕入税額控除の適用を受けることができます。

したがって、インターネット取引により請求書等の交付を受けられない場合は、「やむを得ない事情」に該当するものとされます。

この場合、通常の帳簿の記載事項に加えて、インターネットを通じた取引による課税仕入れであること及び課税仕入れの相手方の住所又は所在地を記載すれば、仕入税額控除の適用を受けることができます。

請求書等の交付がない場合の帳簿の記載事項
  1. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  2. 課税仕入れを行つた年月日
  3. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額
  5. インターネットを通じた取引による課税仕入れであること
  6. 課税仕入れの相手方の住所又は所在地

上記の黒字で示した部分が消費税法第30条第8項において規定されている通常の場合の帳簿の記載事項です。

請求書等の交付が受けられない場合は、上記に加えて赤字で示した事項も記載すれば、仕入税額控除を受けることができます。

 

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領収書が印刷できる場合は、その領収書の保存が必要

インターネット取引であっても、ネット上の画面やPDF等の形式により領収書や納品書が印刷できる場合があります。

例えば、Amazonで商品を購入した場合は、アカウントサービスから領収書を印刷することができます。

この場合、その印刷した領収書や納品書は「請求書等」に該当するため、仕入税額控除を受けるためには当該請求書等を保存しておかなければなりません。

 

請求書等の交付を受けられるのに受けなかった場合や失くしてしまった場合は「やむを得ない事情」に該当しない

上述の質疑応答事例のように、インターネット取引について請求書等の交付を受けられなかったことが「やむを得ない事情」に該当するのは、取引先から請求書等の書類の交付が受けられない場合のみです。

インターネット取引であっても、郵送時に領収書や納品書を梱包してもらえる場合も多いため、このような場合に請求書等の交付を受けられるにもかかわらず交付を受けなかったときや、交付を受けた請求書等をどこかに失くしてしまったときは「やむを得ない事情」には該当しないため、仕入税額控除を受けることができません。

 

購入金額が税込3万円未満の場合は請求書等の保存は不要

消費税法施行令第49条の規定により、購入金額が税込3万円未満である場合は、請求書等の保存がなくても仕入税額控除の適用を受けることができます。

ただし、帳簿に以下の法定事項を記載する必要があります。

請求書等の交付がない場合の帳簿の記載事項
  1. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  2. 課税仕入れを行つた年月日
  3. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額

 

まとめ

インターネット取引に関して請求書等の保存がない場合の仕入税額控除の取扱いをまとめると、以下のようになります。

購入金額が税込3万円未満の場合
→ 下記1.~4.を帳簿に記載すれば仕入税額控除を受けられる
 
購入金額が税込3万円以上で、請求書等の交付を受けられないことにつきやむを得ない事情がある場合
→ 下記1.~6.を帳簿に記載すれば仕入税額控除を受けられる
 
購入金額が税込3万円以上で、請求書等の交付を受けられないことにつきやむを得ない事情がない場合(失くした場合等)
→ 仕入税額控除を受けられない
[記載事項]
  1. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
  2. 課税仕入れを行つた年月日
  3. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額
  5. インターネットを通じた取引による課税仕入れであること
  6. 課税仕入れの相手方の住所又は所在地

 

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