前回の記事では、中古品を買い取ってもらった時の消費税はどうすればいいのかを解説しました。

「そもそも、中古品を売りに来た消費者のほとんどは納税義務がないのに、どうして買取価格に消費税が上乗せされているのだろうか?」と疑問に思う方もいるかと思います。

今回は、消費者や免税事業者からの課税仕入れも仕入税額控除ができる理由について解説したいと思います。

 

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多段階累積控除

消費税には、商品やサービスが生産者から消費者に届くまでの流通の各段階で二重三重に課されることがないように調整する仕組みがあります。

この仕組みのことを「多段階累積控除」といいます。

「多段階累積控除」という仕組みでは、事業者間で商品やサービスの移転が行われた場合に、購入者側が仕入税額控除を行うことによって、最終的に消費者が消費税を負担することになります。

しかし、中古品を売りに来た消費者は、「事業者」には該当しません。また、仕入れの相手方が事業者であっても、免税事業者に該当する場合は消費税を納める義務が免除されているため、仕入価額に含まれている消費税は納付されずに相手方の懐に入ってしまうことになります。

この場合、消費税の転嫁が途中でストップしてしまうため、本来であれば、仕入れの相手方が消費者である場合や免税事業者である場合は、仕入税額控除を適用できないようにするのが適切であると考えることもできます。

しかし、仕入れの相手方が課税事業者であるかどうかをいちいち確認するのは膨大な手間がかかるため、現状の税制では、仕入れの相手方が課税事業者であるかどうか関係なく一律に仕入税額控除を行うことが認められています。

国税庁が公表しているタックスアンサーNo.6455『免税事業者や消費者から仕入れたとき』においても、次のように述べられています。

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。
この場合の課税仕入れとは、商品などの棚卸資産の仕入れのほか、機械や建物等の事業用資産の購入又は賃借、原材料や事務用品の購入、運送等のサ-ビスの購入など、事業のための購入などをいいます。
したがって、免税事業者から仕入れた場合や事業者ではない消費者から仕入れた場合も、仕入税額控除の対象となります。
この免税事業者や消費者から仕入れた場合でも、その支払った対価の額は消費税及び地方消費税込みの金額とされますので、その対価の額の108分の6.3(注)相当金額は消費税額として仕入税額控除を行うことができます。
例えば、免税事業者である下請業者に外注費100万円を支払ったとします。この100万円の支払の中には、その108分の6.3(注)に相当する58,333円の消費税額が含まれているものとして、仕入税額控除を行うことになります。このことは、事業用の建物や器具などを事業者でない人から購入したり賃借する場合も同じです。
(注) 平成31年(2019年)10月1日以降に課税仕入れを行った場合には、その対価の額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となる品目については108分の6.24)を乗じて消費税額を計算します。

 

課税仕入れは相手方が事業者であるものと仮定して考える

「課税仕入れ」の意義については、消費税法第2条第1項第12号で以下のように規定されています。

課税仕入れ
事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供(所得税法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等を対価とする役務の提供を除く。)を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので、第七条第一項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するもの及び第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう。

つまり、仕入れの相手方が事業者でなかったとしても、事業者だったと仮定して考えた場合に相手方の行った取引が課税資産の譲渡等に該当するかどうかにより、課税仕入れに該当するかどうかの判断を行います。

例えば、事業者ではないサラリーマンが中古品を売却しに来た場合であっても、相手方が事業者に該当しているものと仮定して課税仕入れの判断をします。この場合、中古品の売却は課税資産の譲渡等に該当するため、課税仕入れに該当します。

課税仕入れに該当するかどうか

 

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まとめ

課税仕入れに該当するかどうかは、仕入れの相手方が事業者であるものと仮定して考えた場合に課税資産の譲渡等に該当するかどうかにより判定するため、消費者や免税事業者からの課税仕入れであっても仕入税額控除を受けることができます。

なお、令和5年(2023年)10月1日から採用される適格請求書等保存方式(インボイス制度)のもとでは免税事業者からの課税仕入れについて段階的に仕入税額控除ができなくなります。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

 

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