みなさんはギャンブルはお好きでしょうか?
日本でもカジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致が予定されており、賛否両論はありますが、娯楽としてのギャンブルが今後普及していくことが予想されます。
今回は、パチンコや競馬、麻雀などのギャンブルに関する消費税の取扱いについて解説したいと思います。
消費税の課税の対象の4要件
消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。
ギャンブルで賭けるお金は、原則として、何倍かになってお金が返ってくることを目論んで支払うものであり、消費される商品やサービスの対価として支払うものではないため、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たしません。
したがって、ギャンブルで賭けたお金は、消費税の課税の対象外(不課税取引)となるため、消費税はかかりません。(つまり、賭けたお金のうち10%分が消費税として国に行くということはありません。)
ただし、賭けたお金であっても、娯楽施設の使用料としての名目で支払うものは、課税の対象となります。
公営ギャンブル
競馬や競輪、競艇、オートレースなどは公営ギャンブルであり、直接お金を賭けることができます。
馬券や舟券などの購入金額は、賭けるために支払うお金であるため「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさず、課税の対象外(不課税取引)となります。
なお、競馬場や競艇場などの入場料は、施設の使用料として支払うものなので対価性があるため、消費税が含まれています。
競馬新聞を競馬場の売店で購入した場合は消費税率10%が適用されますが、週2回以上発行される競馬新聞を定期購読契約により自宅へ配送を受けている場合は軽減税率8%が適用されます。
カジノ
今後、日本でも誘致が予定されているカジノの賭け金も、上記と同様の理由から、消費税の課税対象外(不課税)となります。
なお、カジノの入場料は、施設の使用料として課税の対象となり、消費税が含まれます。
パチンコ・スロット
パチンコやスロットは、公営ギャンブルではないため、名目上はギャンブルではなく「遊技場」ということになっています。
そのため、貸玉料金や貸メダル料金は、賭けるためのお金ではなく、遊技場施設の使用料として支払うものです。
したがって、「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たし、課税の対象となるため、貸玉料金や貸メダル料金には消費税が含まれます。
(参考)景品交換所で受け取ったお金には消費税が含まれる
パチンコ店のすぐ近くに、なぜかパチンコ店の景品を買いたがっている業者がいることがあります。
その業者に、パチンコ店でもらった景品を売却した場合は、資産(景品)の譲渡に係る対価として収受するものであるため、景品交換所で収受したお金には消費税が含まれています。
一般の消費者であれば、消費税が含まれていたとしても税務署に納付する必要はありませんが、パチンコで生計を立てているパチプロの方で課税事業者に該当する場合(2年前の課税売上高が1千万円超の場合等)は、景品交換所で収受したお金は「課税売上げ」なので、消費税の納める義務があります。
麻雀
友人等とお金を賭けて麻雀をやり、負けた場合に支払うお金は、「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさず、課税の対象外(不課税取引)となります。
なお、雀荘に支払う場代は、雀荘の設備の使用料として支払うものであるため課税の対象となり、消費税が含まれます。
宝くじ
ドリームジャンボやロトシックスなどの宝くじの購入金額についても、消費される商品やサービスの対価として支払うものではないため「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさず、課税の対象外(不課税取引)となります。
まとめ
ギャンブルで賭けるお金は、基本的にすべて「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため、消費税の課税対象外となります。
ただし、パチンコ・スロットについては、ギャンブルではなく「遊技場」という名目で運営されているため、貸玉料金や貸メダル料金は、賭け金ではなく遊技場施設の使用料として消費税の課税対象となります。
なお、賭け麻雀など、公営ギャンブルやパチンコ店以外でお金を賭ける行為は賭博罪に該当するため注意しましょう。