町内会費や自治会費に消費税はかかる?仕訳例や使用する勘定科目

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

地域社会とのつながりを大切にするために、町内会や自治会に加入している法人や個人事業主の方も多いかと思います。

では、町内会費や自治会費についての消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか?

今回は、町内会費や自治会費に係る消費税の取扱いと照明消して仕訳例について解説します。

 

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課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

これを踏まえて、自治会費や町内会費が消費税の課税と対象となるか考えてみましょう。

 

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町内会費や自治会費は原則として不課税

同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。

団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がないため、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」を満たさず、消費税の課税の対象外(不課税取引)とされます。

町内会費や自治会費は、一般的に、集会所やごみ置き場の管理、自治会管理の街路灯の電気の管理、子供会、長寿会の寄付、地域のお祭りの運営などの用途に使われているため、これらのような団体の業務運営に必要な通常会費として消費税の課税対象外(不課税取引)とされます。

したがって、町内会費や自治会費については課税仕入れとならず、仕入税額控除の対象となりません。

(参考:国税庁タックスアンサーNo.6467 会費や入会金の仕入税額控除

 

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対価関係が認められる場合は課税

町内会費や自治会費が、一定のモノやサービスの提供を受けた対価として支払っているものであると認められる場合は、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」を満たし、消費税の課税対象取引となります。

例えば、隠している町内会や自治会の会報代を「購読料」や「特別会費」として使途を明確にした上で別途徴収している場合や、「会費」という名目で実質的には研修やセミナーの受講料を支払っているような場合には、当該町内会費や自治体は課税仕入れに該当します。

(ただし、町内会費や自治会費が上記のように対価性が認められるのは相当レアケースだと思います。)

なお、町内会や自治会からちょっとしたポスターやステッカー、記念品などの粗品を受け取ることがあるかもしれませんが、それが町内会費や自治会として支払って金額に見合ったものでないような場合は、対価性がないものとして不課税取引として扱います。

 

対価関係が不明な場合、町内会・自治会が「課税対象外」と通知しているときは不課税

対価性があるかどうか判断が困難な場合については、消費税法基本通達5-5-3において次のように取り扱うこととされています。

(会費、組合費等)
同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

太字部分で示した通り、町内会費や自治会費について対価性があるかどうか不明な場合は、その町内会や自治会がチラシや回覧板、メール、掲示板などで「当会の町内会費(自治会費)は消費税の課税対象外として扱っています。」と通知し、町内会・自治会も加入する事業者もお互いに課税対象外(不課税取引)として経理している場合は、その取り扱いが認められます。

町内会費・自治会費に対価性があるかどうか不明な場合は、その町内会・自治会に問い合わせて確認するようにしましょう。

 

仕訳例

自治会費・町内会費の勘定科目は、「諸会費」又は「租税公課」として処理するのが一般的です。

(注)「租税公課」というと、固定資産税や消費税などの税金を支払ったときに使う勘定科目というイメージを持っているかもしれませんが、「租税公課」とは、国税や地方税などの税金である「租税」と、国や公共団体などに対する交付金や会費などの公的な課金である「公課」を合わせた勘定科目なので、「公課」である町内会費や自治会費を支払った場合も「租税公課」勘定を使用することもあります。

金額が僅少で重要性が低い場合は「雑費」で処理してもかまいません。

数値例
当社が属する自治会の1年分の自治会費 5,000円を現金で支払った。

自治会費支払時の仕訳

 

 

まとめ

町内会費・自治会費は、一般的には、町内会・自治会の業務運営に必要な通常会費であり対価性が認められないため、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

しかし、町内会や自治体から受けた会報や研修に対する明白な対価関係が認められる場合は課税仕入れとなります。

対価性があるかどうか不明な場合に、町内会・自治会が会員に対して「消費税の課税対象外です」と通知している場合は、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

 

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