税理士試験の税法の選択科目は「消費税法」を全力でオススメする理由
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第68回(平成30年度)税理士試験の合格発表の時期が近づいてきました。

そろそろ来年はどの科目を受験するか決めなければいけないけど、どの科目を選択しようか迷っている人も多いのではないでしょうか?

そんな方に、全力でオススメしたい科目が「消費税法」です。

今回は、税法科目は「消費税法」をオススメする理由を書きたいと思います。

 

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実務で役に立つ

なんといっても一番のメリットは、実務で役に立つということです。

税理士が顧客から訴えられる案件の約半分が消費税絡みだということはご存知でしょうか?

税理士職業賠償責任保険における保険金の支払事例のうち、消費税に関する保険事故の割合が全体の約半分を占めていることからわかるように、税理士でも消費税の届出・申請手続きのミスやトラブルを多く発生させているのです。

例えば、設立したばかりの法人が設備投資を行う際に課税事業者選択届出書を提出し忘れてしまうと消費税の還付を受けることができず、何百万円も損をしてしまうことがあります。

このように、消費税は届出書を1枚出すか出さないかによって、納付税額(還付税額)が何百万円も変わってくるほど金額的影響力の大きな税目です。

今後は税率が10%に引き上げられるため、消費税の金額的影響力はさらに大きくなります。

消費税額を計算するためには、日々のすべての取引について不課税・非課税・免税・課税のいずれに該当するのか正確に判断できなければなりません。

また、95%ルールの改正により、課税売上高が5億円以下の事業者でも課税仕入れの区分をしなければならないこともあるため、実務において消費税法の正確な理解は必須です。

 

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他の国税科目より少ない勉強時間で済む

「法人税法」「所得税法」「相続税法」及び「消費税法」の4科目は「国税4法」と言われており、いずれも実務上の重要度が非常に高い科目です。

特に「法人税法」と「所得税法」の2科目は必修選択科目であり、税理士試験の全11科目の中でも最高峰の難易度を誇る科目です。

資格予備校等が公表している国税4法の各科目の勉強時間の目安は以下のとおりです。

勉強時間の目安
法人税法・・・600時間
所得税法・・・600時間
相続税法・・・450時間
消費税法・・・300時間

上記はあくまでも目安であり、勉強環境などの個人差もあるため一概には言えませんが、勉強時間の比率(法:所:相:消=4:4:3:2)はおおむね合っていると思います。

というのも、各資格学校で配布されるテキスト・トレーニング等の教材の分量や講義時間等が上記比率と同じくらいなので、消費税法は法人税法・所得税法の半分程度の学習時間で済むといえます。

したがって、消費税法なら働きながらや大学等に通いながらでも、他の国税ほど大きな負担にはならずに学習することができます。

 

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成績上位者から順当に合格しやすい

選択科目で迷っている方は、いわゆる「ミニ税法」についても検討しているかもしれません。

「ミニ税法」とは、「酒税法」「固定資産税」「国税徴収法」「住民税」及び「事業税」の比較的学習分量の少ない科目をいいます。

「ミニ税法」は学習量が少ないから受かりやすいと思っている方も多いかもしれませんが、全くそんなことはありません。

というのも、「ミニ税法」は出題範囲が狭いことから本試験はほぼ満点を取らないといけないため、ちょっとしたケアレスミスや運要素が合否に与える影響が非常に大きいからです。

それに対し、ミニ税法以外の科目(簿財・国税4法)は成績上位者から順当に合格しやすい試験です。

以下、ミニ税法とミニ税法以外の科目の得点分布の違いを比較してみます。

簿財・国税4法の場合

消費税法を含むミニ税法以外の科目は学習分量が多いため、本試験当日までに全範囲を学習済みの受験生(予備校の講義・答練等を最後まで全部受講した受験生)は30~40%くらいしかいません。約60%の受験生は予備校のカリキュラムを全部学習しきれていない状態で本試験を受けているのです。

また、学習範囲が広いため様々な出題パターンの試験問題が作られるため、ミニ税法のように満点ゲームではありません。

したがって、受験者の学習状況や問題の難易度も様々であるため、得点分布は以下のような高得点から低得点まで幅広く分布した正規分布に近い形状になります。

ミニ税法以外の科目の得点分布

成績が学習時間に比例するものと仮定すると、全範囲学習済みの受験生(図の青色の線より上)の成績はピラミッド型の形状になります。

得点のバラつきが大きいことから、ちょっとくらいのケアレスミスであれば大きく順位を落とすことはないため、成績上位者から順当に合格しやすい試験だとといえます。

また、合格率を12%、全範囲学習者を40%とすると、全範囲学習者の合格率は12%÷40%=30%となるため、資格予備校等のカリキュラムを最後まで受講した場合の実質的な合格率は約30%といえます。

資格予備校等の直前期の答練の合格ボーダーが答練受験者の上位30%となっているのはこのためです。

確かに、ボリュームの多い科目を全範囲学習するのはそれだけでも大変ですが、その分、運や多少のミスに大きく左右されず、成績上位者から順当に合格できる試験科目です。

ミニ税法の場合

ミニ税法の場合は、学習分量が少ないため、試験当日までに大半の受験生が全範囲を学習済み(予備校の講義・答練等を最後まで受講済み)の状態で受験します。

また、学習範囲が狭く出題の仕方もワンパターンになりがちなので、ほぼ満点を取らないと合格できないような試験が頻繁に出題されます。

したがって、多くの受験生が高得点帯に集中するため、得点分布は以下のような形状になります。

ミニ税法の得点分布

大半の受験生が全範囲の学習を終えた状態で受験するため、その中で上位約12%に入り込むのはなかなか熾烈な争いです。

得点のバラつきが小さいため、ちょっとしたケアレスミスでもかなり順位を下げてしまう命取りの失点につながる可能性もあります。

また、たまに出題される正答率10%くらいのCランク論点が出題された場合、ミニ税法ではその問題が解けた人が合格、解けなかった人が不合格(他の問題の出来はみんな解けるので合否に影響なし)となるような運に大きく左右されるような要素もあります。

合格率を12%、全範囲学習者を80%とすると、全範囲学習者の合格率は12%÷80%=15%となるため、資格予備校等のカリキュラムを最後まで受講した場合の実質的な合格率は約15%といえます。

したがって、ミニ税法は全範囲を学習するのにかかる時間は確かに少ないですが、絶対にケアレスミスがないような練習をし、たまに出題されるCランク論点についてもしっかり押さえて確実に合格できるレベルに持っていくためにかかる勉強時間は、簿財や国税4法の勉強時間と大差はありません。

ちなみに、僕は税法科目は「法人税法」「消費税法」「事業税」の3つで合格しましたが、ミニ税法の「事業税」に一番苦戦しました。

手前味噌ですが、「法人税法」と「消費税法」は資格学校の答練ではだいたいいつも上位10%に入っていました。しかし、「事業税」では上位20~30%あたりの層にもなかなか入れず、ちょっとしたケアレスミスのせいで平均点にすら届かないことも何度もありました。

正直、僕も勉強を始める前まではミニ税法は楽だと思っていたのですが、イメージと全然違いました。

最終的になんとか合格できたので良かったのですが、ケアレスミス対策やC論点対策のために結局他の国税科目と大差ない勉強時間を費やしたため、ミニ税法の競争の熾烈さを思い知らされました。

この記事を読んで「ミニ税法=簡単」という考えは間違いということを知っていただけたら幸いです。

 

まとめ

「消費税法」は、実務での重要度が極めて高い割には学習時間はそこまで多くなく、ミニ税法のようにちょっとしたミスや運が命取りになるような試験ではありません。

今後は、税率の引き上げや軽減税率の導入が予定されているため、経理実務における消費税法の正確な理解の重要性はますます高まっていきます。

選択科目で迷っている方がいたら、是非コストパフォーマンスの良い消費税法を学習してみましょう!

 

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