社員持株会や企業内共済会に支出する奨励金の経理処理と消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

社員の福利厚生の一環として、社員持株会や企業内共済会などの制度を設けている会社も多いかと思います。

今回は、会社が社員持株会や企業内共済会に対して奨励金を支出した場合の経理処理と消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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社員持株会(従業員持株会)とは

社員持株会とは、会社の従業員が当該会社の株式の取得を目的として毎月一定金額を給与天引きの形で拠出していく制度であり、社員の福利厚生の一環として多くの企業で採用されています。従業員持株会と呼ばれることもあります。

持株会には、役員を対象とした役員持株会、取引先を対象とした取引先持株会などもあります。

こういった制度を採用することで、従業員の自社株取得を容易にし、財産形成を助成することができます。

また、多くの会社では、持株会の会員が給与天引きの形で拠出している金額とは別に、持株会に対して「奨励金」を付与しています。

例えば、10%の奨励金が付与される場合、毎月10,000円ずつ拠出すると、毎月1,000円の奨励金が付与されることになります。

 

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企業内共済会とは

企業内共済会とは、企業に属している従業員等の福利厚生を充実させるための団体です。

見舞金や弔慰金などの保障、従業員同士の親睦、被災地の損失の補償等を行う制度で、社員持株会と同様に、従業員等から毎月一定金額を給与天引きの形で徴収されます。

互助会、企業福祉会、共済組合などと呼ばれることもあります。

企業内共済会についても、多くの会社が、会員が給与天引きの形でで拠出している金額とは別に、企業内共済会に対して奨励金や補助金を付与しています。

例えば、10%の奨励金が付与される場合、毎月10,000円ずつ拠出すると、毎月1,000円の奨励金が付与されることになります。

 

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社員持株会や企業内共済会への奨励金は給与として扱うため課税仕入れに該当しない

社員持株会や企業内共済会に対して支出する奨励金は、実質的に会員である従業員に対する給与としての性格を有していることになります。

消費税法上、「課税仕入れ」の意義については、消費税法第2条第1項第12号で以下のように規定されています。

課税仕入れ
事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供(所得税法第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等を対価とする役務の提供を除く。)を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので、第七条第一項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するもの及び第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの以外のものに限る。)をいう。

太字のカッコ書きに記載されているとおり、給与等を対価とする役務の提供は課税仕入れの範囲から除かれることとされています。

したがって、給与としての性質を有している社員持株会や企業内共済会に対する奨励金や補助金の支払額は、課税仕入れに該当しないことになります。

 

社員持株会や企業内共済会への奨励金の経理処理

社員持株会や企業内共済会に対する奨励金や補助金は、従業員の福利厚生の一環として支払われるものであるため、勘定科目は「福利厚生費」として計上することになります。

ただし、社員持株会や企業内共済会に対する奨励金の支払いは不課税取引なので、消費税の課税区分は「対象外」となることに注意しましょう。

 

まとめ

多くの企業が、従業員等の福利厚生の一環として社員持株会や企業内共済会などの制度を設けています。

社員持株会や企業内共済会に対する奨励金や補助金は、実質的に給与としての性格を持っているため、消費税法上、課税仕入れには該当しません。

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
628 社員持株会に対して支出した奨励金
629 企業内共済会に対して支出する補助金

 

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