海外旅行に行く際に、「トラベラーズチェック」を利用したことがある方も多いかと思います。
今回は、トラベラーズチェックの発行手数料や譲渡金額に消費税がかかるのかについて解説したいと思います。
トラベラーズチェックとは
トラベラーズチェックは、海外旅行者向けの小切手のようなものです。
「TC」「T/C]「Cheque」などと略称されることもあります。また、「旅行小切手」と呼ばれることもあります。
海外のお店で買い物をする際に、支払い時にトラベラーズチェックを店側に渡してサインするだけで、当該トラベラーズチェックの額面に応じた金額の支払いが可能になります。
また、現地の両替所などで現地通貨に換金することも可能です。
なお、2014年3月31日に日本国内の販売は終了しましたが、発行済み券は現在も利用可能です。
アメリカなど、現在もトラベラーズチェックで決済できる店舗が多く残っているため、外国で実際に利用するか、日本円に換金したり外貨預金に預け入れるという使い道もあります。
トラベラーズチェックは「支払手段」に該当するため非課税
消費税法第6条の規定により「支払手段の譲渡」は非課税取引とされています。
「支払手段」の範囲については、消費税法基本通達6-2-3において、次のように規定されています。
(支払手段の範囲)
6-2-3 法別表第二第2号《有価証券等の譲渡》に規定する「外国為替及び外国貿易法第6条第1項第7号《定義》に規定する支払手段」とは、次のものをいうのであるから留意する。(平10課消2-9、平22課消1-9、令3課消2-1により改正)(1) 銀行券、政府紙幣及び硬貨
(2) 小切手(旅行小切手を含む。)、為替手形、郵便為替及び信用状
(3) 約束手形
(4) (1)~(3)に掲げるもののいずれかに類するもので、支払のために使用することができるもの
(5) 証票、電子機器その他の物に電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により入力されている財産的価値であって、不特定又は多数の者相互間でその支払のために使用することができるもの(その使用の状況が通貨のそれと近似しているものに限る。)(注)
1 これらの支払手段であっても、収集品及び販売用のものは、課税の対象となる。
2 (5)の具体的範囲については、外国為替令において定めることとされている。
上述の太字部分の通り、「旅行小切手」を含むと記載されているため、トラベラーズチェックは「支払手段」に該当し、譲渡したとしても消費税法上は非課税取引となります。
(参考)課税売上割合の分母への算入額は0円
なお、会社や個人事業者がトラベラーズチェックを譲渡した場合であっても、課税売上割合の算定書を分母の金額に算入する金額は0円となります。
発行手数料も非課税取引
消費税法第6条の規定により「外国為替業務」は非課税取引とされています。
「外国為替業務」の範囲については、消費税法基本通達6-5-3において、次のように規定されています。
(非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供の範囲)
6-5-3 法別表第二第5号ニ《外国為替業務等》の規定により非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供は、次に掲げる業務に係るもの(当該業務の周辺業務として行われる役務の提供を除く。)が該当するのであるから留意する。(平10課消2-9、平20課消1-8により改正)(1) 外国為替取引
(2) 対外支払手段の発行
(3) 対外支払手段の売買又は債権の売買(本邦通貨をもって支払われる債権の居住者間の売買を除く。)なお、居住者による非居住者からの証券(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第11号に規定する「証券」をいう。以下6-5-3において同じ。)の取得又は居住者による非居住者に対する証券の譲渡に係る媒介、取次ぎ又は代理については、非課税とされる外国為替業務に係る役務の提供から除かれていることに留意する。
トラベラーズチェックの発行は、上述の太字部分「対外支払手段の発行」に該当するため、トラベラーズチェックの発行手数料は、外国為替業務に係る役務の提供の対価として非課税取引となります。
まとめ
トラベラーズチェックの譲渡金額や発行手数料は消費税法上非課税とされているため、消費税はかかりません。
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問題番号 | タイトル |
BNK07 | トラベラーズチェック(旅行小切手)の発行手数料 |