増税時のキャッシュレス決済によるポイント還元制度ってどんな制度?
AhmadArdity / Pixabay

最近、テレビや新聞で、「消費税の増税後にキャッシュレス決済をするとポイントが還元される」というニュースをよく耳にします。

政府は、2019年10月の消費税率の引き上げに伴いこの制度の導入を検討していますが、この記事の執筆時点(2018年12月)ではまだ制度の具体的な内容は決まっていません。

財務省や経産省からの具体案の公表もないため、いまいちどんな制度なのかよくわかっていない方も多いかと思います。

そこで、今回は2019年10月に導入が検討されているキャッシュレス決済によるポイント還元制度の概要について簡単にまとめました。

なお、解説内容は記事執筆時点(2018年12月)の内容になります。

 

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ポイント還元制度とは?

ポイント還元制度(正式名称ではありません)とは、消費者が中小小売店で商品を購入し、クレジットカードや電子マネーでキャッシュレス決済を行った場合に、購入額の5%相当額のポイントをカード会社等を通じて還元する政策です。大手小売業者から購入した場合はポイントの還元はありません。

2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられた際に、消費が大きく落ち込んだため、景気対策の一環としてこの制度の導入が検討されています。また、経済産業省のデータによると日本は諸外国と比較してキャッシュレス決済の比率がとても低いため、キャッシュレス化を推し進めるための政策ともいえます。

当初は2%の還元率で検討されていましたが、11月22日に安倍首相は還元率を5%に引き上げ、ポイント還元の実施時期を2020年東京オリンピック前までの9か月間とすることを表明しました。

 

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ポイント還元制度のメリット

ポイント還元制度には、以下のようなメリットがあります。

消費の促進

ポイント還元されることとなれば実質的に消費税の増税分以上の値引きを受けることができるため、増税による消費の冷え込みを回避することができます。

キャッシュレス化の普及

ポイント還元制度の対象となるのは中小小売店でキャッシュレス決済により商品を購入した消費者なので、小規模な店舗においてもキャッシュレス決済が普及することが期待されます。

データの活用

キャッシュレス決済により得られた取引データを分析することにより消費者の消費実態を把握でき、新商品開発や経済政策の策定に役立ちます。

脱税の防止

キャッシュレス決済の場合、カード会社等に取引記録が残るため、脱税の防止につながります。

 

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ポイント還元制度のデメリット

ポイント還元制度にはデメリットも多く、導入に関しては賛成意見よりも反対意見の方が多く聞かれます。

ポイント還元制度には、以下のようなデメリットがあります。

導入費用や決済手数料が高い

キャッシュレス化に対応するためには、新しいレジの導入やシステムの改修が必要となります。また、クレジットカードの決済手数料は約4~6%、スマホ決済の場合でも約3%の決済手数料をカード会社等に支払わなければなりません。

中小小売店にとっては、多額の導入費用や決済手数料を払ってまでポイント還元制度を導入するのは割に合わないというところも多いでしょう。

決済手段を持たない人がメリットを享受できない

電子決済に馴染みのない高齢者やクレジットカードを持てない若者や低所得者はポイントの還元を受けることができません。

また、キャッシュレス決済のレジを導入できなかった中小小売店は集客するうえで不利となるため、ポイント還元制度の恩恵を受けるどころかますます格差が拡大するおそれもあります。

不正にポイントを取得できる抜け穴がある

ポイント還元制度では、中小小売店におけるキャッシュレス決済の購入額の5%分が還元されることとなるため、中小小売店の事業者同士で商品をたらい回しで売り買いすれば、無限にポイントを取得することができます。

現状の案では、このような不正に対処することができません。

 

その他の経済対策案

キャッシュレス決済によるポイント還元制度の他にも、低所得者や子育て世帯が2万円で2万5千円分の買い物ができるプレミアム付き商品券を配布する案も検討されています。

どのような対策に決定されるかは現段階では未確定なので、今後の政治の動向を見守っていく必要があります。

 

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