海外に保管する「金投資口座」に係る取引の消費税の内外判定の考え方

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

新型コロナウイルスの蔓延やロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界情勢の不安が増しており、安定的な資産として「金」に対する投資の需要が高まっています。

今回は、海外に保管する「金投資口座」に係る取引の消費税の内外判定の考え方について解説したいと思います。

 

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金投資口座では、現物の金を保有する必要がない

金の投資をするために現物で購入すると、持ち運びの大変さや管理コスト・盗難リスクがあります。

金投資口座では、現物を持たずに金投資を行うことができ、買い付けや売却も現物売買と比べ簡単にできるため人気が高いです。

 

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国内取引の判定

消費税法第4条第3項第1号において、資産の譲渡等の国内取引の判定方法について以下のように規定されています。

3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)

太字部分で示した通り、資産の譲渡が国内取引に該当するかどうかは、当該譲渡が行われる時において当該資産が所在していた場所が国内にあるかどうかにより判定を行います。

しかし、金投資口座については、現物の金が手元にないため、譲渡を行ったとしても譲渡時において金がどこにあったか分からないため、国内取引に該当するかどうかわかりません。

この場合、一体どうすればいいのでしょうか。

 

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質疑応答事例『金投資口座の内外判定』で判定基準が記載されている

銀投資講座にかかる取引が国内取引に該当するかどうかは、国税庁が公表している質疑応答事例『金投資講座の内外判定』において次のように記載されています。

【照会要旨】
 海外に保管している金を売買の目的物とする「金投資口座」に係る取引は、売買の目的物が国外に所在するものとして課税の対象外と考えてよいでしょうか。

【回答要旨】
 次の要件のいずれも満たしているものについては、国外取引に該当するものとして取り扱います。

1 銀行等が顧客に交付する金の預り証又は取引規定に金の預り場所(例えば、アメリカ国内においてとかロンドンにおいてのように具体的に保管場所を記載します。)を明記していること。

2 銀行等と国内の商社等との契約書等においても金の保管場所を具体的に記載していること。

3 売買の目的物が現実に海外に保管されていること。

【関係法令通達】
 消費税法第4条第3項第1号

したがって、上記の3つの要件を満たす場合は、国内取引に該当しないものとして、消費税の課税対象外(不課税取引)として扱ってよいこととされています。

 

まとめ

金投資口座を通じて金の売買取引を行った場合は、次の3つの要件を満たしている場合は、国内取引に該当せず消費税の課税対象外(不課税取引)として扱ってかまいません。

① 銀行等が顧客に交付する金の預り証又は取引規定に金の預り場所(例えば、アメリカ国内においてとかロンドンにおいてのように具体的に保管場所を記載します。)を明記していること。

② 銀行等と国内の商社等との契約書等においても金の保管場所を具体的に記載していること。

③ 売買の目的物が現実に海外に保管されていること。

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
470 海外に保管する金の売買に係る金投資口座に係る取引

 

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