空港の国際線出国エリアの売店で購入した商品が消費税免税となる理由

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

新型コロナウイルスの感染状況が、まだ完全にではありませんが、世界的に徐々に落ち着いてきているため、海外旅行に出かけようと思う方も多いかと思います。

空港の国際線出国エリアの売店で商品を買う場合、消費税が免税となっており本体価格のみで買うことができる場合があります。

今回は、空港の国際線出国エリアの売店で購入した商品が消費税免税となる理由について解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

Wikipediaの説明は嘘

空港の国際線出国エリアの売店で購入した商品が消費税免税となる理由について、Wikipediaでは次のように説明されていますが、この説明は嘘・出鱈目であり正しくないので信じないように注意してください。

保税免税店と消費税免税店
保税免税店(duty-free)
空港免税店が代表例である。基本的に、税とは国家が課するものなので、海港であれ空港であれ出国手続きから、船舶・航空機内を経て、他国への入国手続きまでの間は、税法上はどこの国にも属さない事になる。つまり、この間一切の税金がかからないため、特に高額の税金がかかるビールなどの酒類(酒税)やタバコ(たばこ税)、香水(関税)などの商品を、本体のみの価格(場合によっては国内価格の半額以下)で購入することができる。おおよそ世界中の国際空港の出国手続き後の区域(当然空港内である)には、免税店が出店している。購入した品物はそのまま機内持ち込み手荷物として国外に持ち出される。

「誰だこんないい加減なこと書いたのは?」と心の底からツッコミました。

Wikipediaでは、空港で出国手続きを済ませた後のエリア(出国エリア)は税法上はどこの国にも属さないため、出国エリア内の売店で売られている商品には消費税がかからないという説明をしていますが、その考えは明確に間違っています。

そもそも出国エリアであっても、日本国の主権が及ぶ地域内であるため税法上も「国内」であるため、「どこの国にも属さない」という考え方は根本的に間違っています。

 

スポンサーリンク

出国エリアの一定の商品は「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡」として免税になる

消費税は、日本国内に所在する商品の販売や日本国内で行われたサービスに対して課税されることとされています。

空港の出国エリアはまだ日本国内なので、出国エリアで購入した商品は原則として消費税の課税の対象となります。

しかし、出国エリアで一定の商品(国外で消費されることが明らかな物品)を購入した場合は、消費税法第7条第1項の「本邦からの輸出として行われる資産の譲渡」に該当し、免税取引となります。

 

スポンサーリンク

海外に持ち出して消費されることが明らかでないものは免税対象とならない

出国エリアの売店で消費税が免税とされるものは、海外に持ち出して消費されることが明らかなもののみとなっています。

例えば、雑誌などがこれに該当し、出国エリア内にいる時だけでなく、飛行機に乗った後や海外に着いた後の期間にわたって消費されるようなものが免税の対象となります。

出国エリア内の売店や自動販売機などで販売されているジュースやお菓子などは、大抵の場合、出国エリア内にいる間にすぐに飲食し消費されるものなので「国外で消費されることが明らかな物品」とはいえないための対象となりません。

なお、出国エリア内の喫茶店などで飲食した場合、当然国内で消費されるものであるため免税とはなりません。

このような取り扱いとなるのは、消費税は国内において消費される物やサービスに対して課税することとする「消費地課税主義」という考え方にもとづいて制度設計されているからです

 

まとめ

Wikipediaでは、国際線の出国手続き後のエリアは税法上どこの国にも属さないことになるため、消費税は免税となるという説明がありますが、これは嘘・出鱈目で間違っています。

出国エリアも税法上は「国内」に該当するため、出国エリア内で消費される物品(売店や自動販売機のジュース・お菓子、喫茶店で提供される飲食物など)には消費税が課されます。

ただし、出国エリアの売店で販売されている雑誌など、海外に持ち出して消費されることが明らかなものに関しては、「消費地課税主義」の観点から、消費税が免除されることになります。

 

関連するアプリの問題

消費税率判定クイズ

問題番号 タイトル
DFS01 国際線の出国エリアで買った雑誌

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事