税効果会計を適用している場合の消費税の取扱い。法人税等調整額は不課税?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

会計上の利益に見合った税金費用が計上されるように、税効果会計を適用している会社もあるかと思います。

今回は、税効果会計を適用している場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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税効果会計

税効果会計とは、会計上の利益と税務上の課税所得に相違がある場合に、法人税、住民税及び事業税などの所得を課税標準とする税金を期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等の税金費用を期間対応させるための会計手法です。

主に上場企業や銀行などが税効果会計を適用しています。

税効果会計を適用している場合は、会計上の「収益」「費用」と、税務上の「益金」「損金」の計上時期のズレにより生じる一時差異に対して法定実効税率を上手ることで「繰延税金資産」や「繰延税金負債」を算出します。

「繰延税金資産」と「繰延税金負債」の差額を期首と期末で比較した増減額は「法人税等調整額」として損益計算書の税引前当期純利益の下に計上することで、税引前当期純利益と法人税等の税金費用を対応させます。

 

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法定実効税率とは

法定実効税率とは、所得に対して課税される法人税住民税及び事業税の表面税率を用いて計算される総合的な税率のことを言います。

法定実効税率の計算式は、次のようになります。

法定実効税率 ={ 法人税率 × (1+ 地方法人税率 + 住民税率)+ 事業税率 }÷( 1 + 事業税率 )

 

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繰延税金資産や繰延税金負債の計上は不課税

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

税効果会計の適用により「繰延税金資産」や「繰延税金負債」を計上する行為は、会計上の利益と税務上の課税所得を調整するために法人税等調整額を計上しているにすぎないため、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」「④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること」の要件を満たしません。

したがって、税効果会計の適用により「繰延税金資産」や「繰延税金負債」を計上する行為は課税の対象外(不課税取引)となります。

 

数値例

数値例
当期において減価償却費3,000,000円を計上したが、税務上の限度額(2,000,000円)を超える金額1,000,000円について税効果会計を適用する。(法定実効税率35%)

繰延税金資産の計上は不課税取引となります。

税効果会計の適用により繰延税金資産を計上する場合の仕訳

繰延税金資産=1,000,000円×35%=350,000円

 

まとめ

税効果会計の適用により繰延税金資産や繰延税金負債を計上する行為は、資産の譲渡等として行うものでない(対価性がない)ため、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

 

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