決算公告や会社を設立した場合など法定広告を行うために、官報公告掲載料金を支払うことがあります。
今回は、官報公告掲載料金に消費税はかかるのかどうかについて解説したいと思います。
官報公告掲載料金とは
官報とは、国立印刷局が編集・印刷する国の広報紙で、国の開庁日は毎日発行されます。
会社法の規定により、合併や吸収分割、新設分割、組織変更、資本金及び準備金の額の減少、解散などが行われた場合は、債権者を保護するために官報公告を行うことが義務付けられています。
また、株主総会招集に係る基準日を設定した場合や定款変更等通知する場合、決算を承認した場合など一定の場合については、定款で定めている場合は官報公告を行います。
官報公告をするためには、官報公告掲載料金を支払う必要があります。
官報への公告掲載は全国各地の官報販売所が取り次いでいるため、最寄の官報販売所に申し込みましょう。
官報公告掲載料金は非課税とさる行政手数料に該当しない
国や地方公共団体等が法令に基づいて行う一定の事務に係るサービスの手数料は、消費税が非課税とされています。
そのため、国が発行している官報に掲載するための公告料金は非課税になるんじゃないか?と思う方も多いかと思います。
しかし、国や地方公共団体等が行うサービスの手数料なら何でもすべて非課税とされるわけではなく、非課税とされる一定の事務については、以下の通り限定列挙されています。(長いので軽く読み流してください。)
(非課税となる行政手数料等の範囲等)
6-5-1 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が徴収する手数料等で法別表第二第5号イ及びロ《国、地方公共団体等が行う役務の提供》の規定により非課税となるのは、次のものであるから留意する。(平14課消1-12、平17課消1-22、平28課消1-57、平30課消2-5により改正)(1) 法令(法律、政令、省令又は大臣告示のほか条例及び規則を含み、業務方法書又は定款等は含まない。以下6-5-2までにおいて同じ。)に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金(以下6-5-1において「手数料等」という。)で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの
イ 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
ロ 検査、検定、試験、審査及び講習(令第12条第1項第1号イからニまで《非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供》に掲げる事務のいずれにも該当しないものを除く。)
ハ 証明(令第12条第1項第2号《非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供》に掲げるものを除く。)
ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第2号に掲げるものを除く。)
ホ 裁判その他の紛争の処理
ヘ 旅券の発給(旅券法第20条第1項《手数料》に掲げる渡航先の追加、記載事項の訂正、再発給、旅券の合冊又は査証欄の増補及び渡航書の発給を含む。)
ト 裁定、裁決、判定及び決定
チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第1号に掲げる事務に係るものを除く。)
リ 審査請求その他これに類するものの処理(2) 法令に基づいて行われる登録、認定、確認、指定、検査、検定、試験、審査及び講習(以下6-5-1において「登録等」という。)で法令に手数料等の徴収の根拠となる規定がないもののうち、次に掲げる登録等の手数料等
イ 法令において、弁護士その他の法令に基づく資格を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うための要件とされている登録等
(注) 1 「資格」とは、法令において、その資格を有しない者はその資格に係る業務若しくは行為を行うこと若しくはその資格に係る名称を使用することができないこととされていること又は一定の場合にはその資格を有する者を使用すること若しくはその資格を有する者にその資格に係る行為を依頼することが義務付けられている場合のその資格をいう。
2 「要件とされている」とは、登録等に係る役務の提供を受けない場合には、その資格が取得できない若しくは維持できない又はその資格に係る業務若しくは行為を行うことができない場合をいう。
ロ 法令において、輸出その他の行為を行う場合にはその対象となる資産又は使用する資産について登録等を受けることが要件とされている登録等
ハ 法令において、登録等により一定の規格に該当するものとされた資産でなければ一定の規格についての表示を付し、又は一定の名称を使用することができないこととされている登録等
ニ 法令において、登録等を受けることが義務付けられている登録等
ホ 証明、公文書及び公文書に類するものの交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(イからニまでに該当しない登録等に係るものを除く。)(3) 国又は地方公共団体が、法令に基づき行う他の者の徴収すべき料金、賦課金その他これらに類するものの滞納処分について、法令に基づき他の者から徴収する手数料等
(4) 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下6-5-1において「独法等情報公開法」という。)第2条第1項《定義》に規定する独立行政法人等又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下6-5-1において「独法等個人情報保護法」という。)第2条第1項《定義》に規定する独立行政法人等のうち法別表第三に掲げる法人以外の法人が独法等情報公開法第17条第1項《手数料》又は独法等個人情報保護法第26条第1項《手数料》若しくは第44条の13第1項《手数料》に基づき徴収する手数料
(注) 法別表第三に掲げる法人が独法等情報公開法第17条第1項《手数料》又は独法等個人情報保護法第26条第1項《手数料》若しくは第44条の13第1項《手数料》に基づき徴収する手数料は(1)ニ又はチに該当する。
上記のどこを見ても、官報公告掲載料金に該当する項目はありません。
したがって、官報公告掲載料金は、非課税とされる行政手数料の範囲から除かれているため、課税対象となります。
実際の料金表でも税込みとなっている
全国官報販売協同組合のウェブサイトで掲載されている官報公告掲載料金は、次のようになっています。(下記の料金表は2022年10月現在のものです。)
種別 | 単位 | 公・広告料金 | |||
本体料金 | 消費税 | (税込) | |||
特殊法人・地方公共団体 | 各種公告 | 1行 | 963 円 | 96 円 | 1,059 円 |
会社関係(上記以外) | 各種公告 | 1行 | 3,263 円 | 326 円 | 3,589 円 |
枠付 | 普通 | 1枠 | 33,787 円 | 3,378 円 | 37,165 円 |
ページ指定 | 1枠 | 45,437 円 | 4,543 円 | 49,980 円 |
掲載料金の計算方法は、本体価格 x 行(枠)数 + 消費税(端数切捨)となります。
料金表に消費税の金額が明記されていることから、官報公告掲載料金が消費税の課税対象であるということが分かるかと思います。
百聞は一見にしかずです。
まとめ
官報公告掲載料金は、国が発行している官報への掲載料金であるため、非課税とされる一定の行政手数料に該当するんじゃないかと思う方も多いかと思います。
しかし、行政手数料のうち非課税とされる一定の事務として限定列挙されている一覧には、官報公告掲載料金に該当する項目はありません。
したがって、官報公告掲載料金は非課税とされる一定の行政手数料の範囲には含まれず、消費税がかかります。
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消費税法 無敵の一問一答
問題番号 | タイトル |
659 | 官報公告掲載料 |