令和4年度(第72回)税理士試験の合格発表から10日ほど経ちました。
税理士試験の情報収集等のためにTwitterをやっている受験生の方も多いかと思います。
Twitterでフォローしている受験仲間の合格報告を見ていると、「Twitter上の税理士受験生の合格率ってやたら高いな」と感じることはないでしょうか?
そこで、Twitter上で報告されている税理士受験生の合格率を実際に調査してみました。
今回は、調査結果を踏まえた考察を書きたいと思います。
調査方法
調査方法はいたってシンプルです。
Twitter のワード検索機能を使って、合格発表日から1週間(11/30~12/6)の間につぶやかれたツイートの内容を見て、税理士試験の各科目ごとの合格者数を手作業で集計します。
(パワープレイでゴリ押しで集計しました。集計するだけで3~4時間ほどかかりました。途中軽い気持ちで始めてしまった自分をぶん殴りたくなりましたが、後に引けなくなってしまったため気合と根性で頑張って最後まで集計しました。)
検索方法は次の2段階になります。
①「税理士試験」というワードで検索
まず、「税理士試験」というワードで検索して出てきたツイートの内容を一つ一つ見て、どの科目で合格(または不合格)となったのかを集計しました。
合格者数ではなく科目数でカウントするため、一人で複数科目合格している場合はその合格した科目ごとに複数集計しています。
なお、「税理士試験合格していました」などの内容のツイートの場合は、そのアカウントのプロフィール欄や合格発表日付近のツイートを見てどの科目で合格しているか確認しています。
どの科目で合格(または不合格)だったのか分からなかった場合は「不明」としてカウントしています。
(なお、不明のうち官報合格は分けて集計しています。)
②「各科目名」(簿財消以外)でワード検索
簿記論、財務諸表論、消費税法の3科目については上記①の方法で十分多くのサンプルが得られたため、①の段階で集計は終了とします。(本音をいうとこれ以上集計するのがしんどかったのでした。)
上記3科目以外については、サンプル数が少し足りなかったため、各科目名でワード検索をして合否数を追加集計します。
なお、①と二重集計とならないように、ツイートやアカウント名に「税理士試験」と記載されているものは除いて集計しています。
例えば、「今年の税理士試験、法人税法合格してましたー!」といったツイートは、「税理士試験」というワードが入っているため①の段階で集計済みとなるため除外して二重集計とならないようにしています。
③ 留意点
この調査方法では、Twitter上のすべての受験生の合否結果を集計できているわけではありません。
集計結果
めちゃくちゃ汚くて申し訳ないですが、手作業による集計結果は以下のようになります。
集計結果を表にまとめると次のようになります。
科目 | Twitter上の税理士受験生の合否結果 | (参考)令和4年度税理士試験の合格率 | |||
合格者数 | 不合格者数 | 総数 | 合格率 | ||
簿記論 | 128人 | 34人 | 162人 | 79.01% | 23.0% |
財務諸表論 | 78人 | 47人 | 125人 | 62.4% | 14.8% |
消費税法 | 39人 | 41人 | 80人 | 48.75% | 11.4% |
法人税法 | 24人 | 24人 | 48人 | 50% | 12.3% |
所得税法 | 6人 | 8人 | 14人 | 42.89% | 14.1% |
相続税法 | 13人 | 19人 | 32人 | 40.625% | 14.2% |
酒税法 | 4人 | 2人 | 6人 | 66.67% | 13.2% |
固定資産税 | 10人 | 3人 | 13人 | 76.92% | 18.4% |
国税徴収法 | 9人 | 11人 | 20人 | 45% | 13.8% |
事業税 | 0人 | 0人 | 0人 | 測定不能 | 14.1% |
住民税 | 4人 | 3人 | 7人 | 57.14% | 17.2% |
科目不明 (うち官報合格) |
43人 (15人) |
18人 | 61人 | 70.49% | ー |
合格率を見ると、Twitterユーザーの合格率は、受験生全体の実際の合格率と比べてもかなり高くなっています。
一体なぜ、実際の合格率とこれほど大きく差が開くのでしょうか?
以下、その理由について考察したいと思います。
Twitterユーザーの合格率が高くなる理由の考察
Twitterユーザーの合格率が受験生全体の合格率よりも高くなる理由については、いくつかの要因が考えられます。
① 不合格者はツイートしない(←最大の要因)
Twitter をやっているからといって、全員が全員税理士試験の合否結果をそのままつぶやくとは限りません。
合格だった人は、嬉しいので積極的に合格したと Twitter 上で報告する割合が高くなることが考えられます。
一方で、不合格だった人は、悔しさや恥ずかしさから、Twitter 上で報告することに対しては消極的になることが考えられます。
もちろん中には不合格だったとしてもそのまま正直にツイートする人もいますが、そのような人は相当少数であるということが上記の調査結果から分かりました。
例えば、簿記論に合格したと Twitter でつぶやいていた人数は128人だったので、単純にこれを実際の合格率(23%)で割り返し、不合格率(100%-23%=77%)をかけると428人になります。
これはつまり、もし合格者も不合格者も積極的にツイートする割合が同じだとすれば、僕が調査で目にした不合格者の数は428人になるはずだということです。
にもかかわらず実際に僕が調査で目にした簿記論の不合格者の数は34人しかいなかったことになるため、不合格者のうちツイッターに不合格だったことを正直に報告する人の割合は約7.94%(=34人÷428人)ということになります。
このように、不合格者は不合格だったことをつぶやきたくないと言う心理が、Twitter上の受験生の合格率が高く見える要因の一つになっていると考えられます。
というか、これが圧倒的に一番大きな要因だと思います。
② 勉強ができる人ほど Twitter をやっている率が高い
もう一つ考えられる要因は、勉強ができる人ほど、税理士受験生の仲間と繋がったり、受験勉強に関する情報を収集するために、積極的にTwitterを使う傾向にあります。
そのため、Twitter をやっている受験生ほど勉強ができる人の割合が高くなるため、必然的に合格率も高くなるという相関関係が生じているということが考えられます。
③ Twitterを始めると勉強ができる人に感化されて成績が上がる
さらに考えられる要因として、Twitterを始めると、フォローしている勉強ができる人に感化されて、モチベーションが上がったり、勉強テクニックに関する有益な情報が得られたりなどにより成績が上がることがあります。
その結果、Twitterを始めたことがプラスの要因となって税理士試験に合格する割合が高くなるという因果関係が生じている可能性も考えられます。
科目ごとの考察
次は、調査結果について科目ごとに考察したいと思います。
① 簿記論、財務諸表論について
簿記論と財務諸表論のTwitter受験生の合格率は、他の科目のそれと比べても非常に高い合格率となっていました。
なお、令和4年度は、簿記論の合格率が高く財務諸表論の合格率は低かったので、それに伴いツイッター受験生の合格率も簿記論が高く、財務諸表論が低くなっています。
しかし、それでも他の科目よりも全体的に高い合格率となっています。
その理由として考えられるのは、「簿記論と財務諸表論は入門科目であるため、受験専用のアカウントではないアカウントが多いから」というのが考えられます。
実際に、僕がゴリ押しで集計している際に見かけた簿記論や財務諸表論の合格者のアカウントのプロフィールやつぶやきの内容を見ると、全く税理士試験とは関係ない普通の趣味アカウントの割合が多かったです。具体的にいうと、普段は全く税理士試験のことは呟いていないようなただの趣味(ゲームや競馬、アイドル、アニメファンなど)のアカウントが「そういえば私ごとですが今年の夏に税理士試験を受けていて、簿記論に合格していました!」などとさらっと報告しているものが多かったです。
他の税法科目の合否結果を報告しているアカウントは、ただの趣味アカウントの割合は低く、プロフィール欄やツイートの内容を見てもガッツリ税理士試験に関連するものばかりの人が多かったです。
つまり、簿記論と財務諸表論の受験生のアカウントは、まだそれほど税理士試験に深入りしていない、沼の浅いところにいるアカウントが多いことから、不合格となった場合は全くつぶやかない一方、合格となった場合は、普段は税理士試験のことを全然呟いていないアカウントでも嬉しいので合格したことを報告している割合が高い、という傾向が見て取れました。
② 国税四法について
法人税法、所得税法、相続税法、消費税法のいわゆる国税四法といわれる4科目のTwitter受験生の合格率は、いずれも40~50%以内となっていました。
簿記論と財務諸表論の合格率と比べて随分と低くなっていますが、個人的には、この合格率がTwitter受験生の真の合格率に最も近いのではないかと思います。
この理由については、単純に受験生全体の合格率が簿記論・財務諸表論より低いからということも考えられますが、それ以外にも「国税四法は税理士試験に深入りしている受験生が多いから」ということも考えられます。
先ほど述べた通り、簿記論・財務諸表論はまだ税理士試験に深入りしていない沼の浅いところにいるアカウントが多かったですが、国税四法の受験生はある程度税理士試験に深入りしており、どっぷり沼にはまっているアカウントが多い傾向にあります。
税理士試験に深入りしている受験生のアカウントは、プロフィール欄やツイートの内容を見ても、普段から税理士試験に関する情報を発信しており、そのような受験生ほど不合格となった場合でも正直に結果を報告する人が多い傾向にあります。
つまり、国税四法の方が簿記論・財務諸表論と比べて、不合格だったとしても正直にその結果を報告するアカウントの割合が多く、Twitter をやっている受験生の真の合格率に近い値になっているのではないかと思います。
③ ミニ税法について
酒税法、固定資産税、国税徴収法、事業税、住民税のいわゆるミニ税法については、どの科目もサンプル数が少なく、事業税については合格者も不合格者も一人も発見できなかったためもはや測定不能となってしまいました。
合格率自体は、簿財ほどではないものの、国税四法よりは高い合格率となっています。
ミニ税法については、税理士受験の中でも最後の方に受ける割合が高くなるため、そもそもとして受験生のレベルが高いため合格率も高くなるということが考えられますが、サンプル数が少ないため誤差の範囲が大きくなってしまうため、あまり有益な考察を行うのは難しい結果となってしまいました。
まとめ
「Twitter上の税理士受験生の合格率ってやたら高くない?」と思ったことがある方も多いかと思います。
実際に調査してみたところその通りの結果となりました。いやむしろ、各科目とも、僕が当初想像していたよりもはるかに高い合格率となっていました。
その理由としては次のような要因が考えられます。
また、当該調査結果を受けた科目ごとの考察は次のようになります。
考察は以上となります。
いずれにせよ、税理士試験の勉強をする上で、Twitterは受験仲間と繋がったり受験勉強に関する情報を得るために非常に有益であり、またモチベーションを上げるのにも効果的であるといえます。
是非とも皆さん Twitter を有効活用して多くの仲間とつながり、税理士試験をみんなで乗り切りましょう!