ペットの保険料や診療費、供養のための火葬料に消費税はかかるのか
Irina_kukuts / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

みなさんはペットを飼っていますか?

僕は子供のころ三毛猫を飼っていました。中学生のときに亡くなってしまったのですが、なんと25歳まで生きた超ご長寿な猫ちゃんでした。人間でいうと120歳近い年齢ですよ?すごくないですか?三毛猫は丈夫で長生きすると言われているのですが、ここまで長生きな猫ちゃんは動物病院の先生も初めて見たそうです。

ペットを飼っていると、ペット保険に加入したり、動物病院で診てもらったり、亡くなってしまったときは供養のためにペット火葬を行うこともあるかと思います。

上記のような、ペットのために支出した費用に係る消費税の取扱いは、人間の場合と異なることがあります。

今回は、ペットの保険料や診療費、供養費用に消費税はかかるのかどうかについてご説明したいと思います。

 

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消費税の非課税取引

消費税法の規定では、国内で行われるモノやサービスの提供のうち、次のものには消費税を課さないこととされています。

消費税の非課税取引
(1) 土地の譲渡及び貸付け
(2) 有価証券等の譲渡
(3) 支払手段の譲渡
(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
(10) 介護保険サービスの提供
(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供
(12) 助産
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(15) 学校教育
(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け

非課税取引は、「消費税という税の性格になじまないもの」「社会政策的な配慮から課税することが適当でないもの」の2種類に分かれています。

上記枠囲みの青色で示した部分が「消費税という税の性格になじまないもの」赤色で示した部分が「社会政策的な配慮から課税することが適当でないもの」になります。

 

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ペットの法律上の地位

法律上、権利や義務の帰属主体となるのは「自然人」と「法人」の2つだけです。

「自然人」とは生きている人間のことを指し、「法人」とは株式会社など法律上の人格を有する自然人以外の組織や団体をいいます。

ペットは「自然人」にも「法人」にも該当しないことから、法律上は「物」として扱われることとなります。

僕は飼っていた猫ちゃんのことを普通に家族だと思っていたため、「物」として扱うというのは許しがたい気もしますが、法律上こうなっているため仕方ありません。。。

 

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ペット保険の消費税の取扱い

ペット保険に係る保険料の支払いは、保険料を対価とする役務の提供」になります。

保険料の支払いには「消費」という行為が伴わないため、消費税法においては「消費税という税の性格になじまないもの」として非課税取引とされています。

これは、ペットの病気等に対する保険であっても人間の病気等に対する保険であっても、「消費」が伴わないという点は同じです。

したがって、ペット保険の保険料の支払いは、人間の保険料と同様、消費税は非課税となります。

 

ペットの診療費の消費税の取扱い

ペットが病気になったりケガをした場合に動物病院で診てもらったらどうなるでしょうか?

動物病院での診療を受けた場合は、診療サービスを「消費」したことになるため「消費税という税の性格になじまないもの」には該当しません。

では、動物病院の診療費は社会保険医療の給付等」に該当するのでしょうか?

残念ながら、社会保険医療の給付等」は健康保険が適用される保険診療等が該当するため、「自然人」でないペットには健康保険は適用されません。

したがって、ペットの診療費はすべて自由診療扱いとなり「社会政策的な配慮から課税することが適当でないもの」には該当せず、消費税は非課税になりません。

 

ペットの火葬料の消費税の取扱い

ペットが亡くなってしまった場合に供養のために火葬を行ったら、消費税は非課税となるのでしょうか?

火葬を行った場合は、火葬という役務の提供を「消費」したことになりますが、人が亡くなったときにまで消費税を課すというのは国民感情に反することから「火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供」は「社会政策的な配慮から課税することが適当でないもの」として非課税取引とされています。

ところが、ペットについては法律上「物」として扱われているため、ひどい表現になってしまいますが、ペットの火葬については「物」を焼却処分するのと同じ扱いになるのです。

したがって、ペットの火葬については社会政策的な配慮をする必要がないため、消費税は非課税になりません。

 

まとめ

ペットのために支出した保険料、診療費、火葬料の取扱いをまとまめると次のようになります。

ペットのための支出の消費税
ペット保険の保険料 → 非課税
動物病院の診療費 → 課税
ペット供養の火葬料 → 課税

課税か非課税かのポイントは、「消費税という税の性格になじまないもの」「社会政策的な配慮から課税することが適当でないもの」に該当するかどうかです。

消費税法では、ペットについては社会政策的な配慮をする必要はないというスタンスであり、愛猫家の僕としてはちょっと許しがたい税制です。

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
183 ペットの火葬料

 

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