当期の課税仕入れ等よりも仕入返還等の方が大きくなった場合の取扱い
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この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

仕入商品について値引きを受けたり、返品した場合などは、その値引額や返金額は「仕入れに係る対価の返還等(仕入返還等)」の金額として、その仕入返還等に係る消費税額を控除対象仕入税額から減算調整を行います。

では、当期中に受けた仕入返還等の金額が大きすぎて、課税仕入れ等の金額よりも大きくなってしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

今回は、控除して控除しきれない仕入返還等の取扱いについて解説したいと思います。

 

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仕入返還等の金額が大きくなる場合

課税仕入れ等の金額よりも仕入返還等の金額の方が大きくなるということは、そう滅多にあることではありません。

しかし、仕入れた商品がリコールの対象となり前期以前に仕入れた商品在庫をすべて返品した場合などは、多額の仕入返還等の金額が生じることとなり、課税仕入れ等の金額よりも仕入返還等の金額の方が大きくなることも考えられます。

例えば、×05年中に仕入れたオーブントースターがリコール対象となり×06年になってからすべての商品在庫を返品した場合は、×06年において仕入返還等に係る消費税額を控除対象仕入税額から減額調整することになります。

課税仕入れ等の金額よりも仕入返還等の金額の方が大きくなる場合

 

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控除して控除しきれない場合の取扱い

「課税仕入れ等の税額の合計額」から「仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額」を控除して控除しきれない場合の取扱いについては、消費税法第32条第2項において、次のように規定されています。

前項の規定により仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を当該仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額から控除して控除しきれない金額があるときは、当該控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして政令で定めるところにより当該課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。

したがって、控除しきれなかった金額については、課税標準額に対する消費税額に加算することになります。

この取扱いは、数式で考えてみるとよりわかりやすいかと思います。

設例
① 課税標準額に対する消費税額:800万円
② 課税入れ等の税額の合計額:500万円
③ 仕入れに係る対価の返還等に係る消費税:520万円

この場合、納付税額は次のように計算します。

800万円ー(500万円ー520万円)=820万円

仕入返還等に係る消費税額のうち控除しきれなかった金額20万円が加算されていることになります。

マイナスにマイナスをかけるとプラスになるという考え方です。

 

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申告書の記載場所

「課税仕入れ等の税額の合計額」から「仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額」を控除して控除しきれない金額は、申告書上「控除過大調整税額」の欄に記入します。

申告書の記載場所

消費税法第32条第2項の条文上は、「課税標準額に対する消費税額に加算する」と規定されていますが、実際に申告書を作成する際は課税標準額に対する消費税額に直接加算するわけではないので注意しましょう。

 

まとめ

課税仕入れ等の税額の合計額から仕入れに係る対価の返還等に係る消費税額を控除して控除しきれない金額は、控除過大調整税額として加算する。

 

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問題番号 タイトル
240 控除対象仕入税額から控除しきれない仕入値引き

 

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