保険会社から保険料の返戻を受けた場合の消費税の取扱い
Tumisu / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

保険契約が満期となった場合や保険契約を解約した場合には、返戻金として今までに支払ってきた保険料の一部が返戻されることがあります。

今回は、保険会社から保険料の返戻を受けた場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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保険返戻金とは

保険返戻金とは、保険契約の解約時や満期時にそれまでに支払ってきた保険料の一部を保険契約者に払い戻すお金のことをいいます。

保険会社は、保険業法の規定により保険契約者が支払った保険料の中から将来の保険金の支払いや解約された場合の解約返戻金の支払いに備えて、所定の割合に応じて「責任準備金」を積み立てなければならないこととされています。

したがって、解約時や満期時に保険会社から受け取る保険返戻金は、保険料のうち保障に充てられななかった貯蓄部分の金額の払い戻しであると考えることができます。

 

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保険返戻金の消費税の区分

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

保険返戻金の受け取りは、保険料のうち保障に充てられず積み立てられた金額の払い戻しを受けただけであり、資産の譲渡等の対価として収受するものではありません。

したがって、課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため、不課税取引となります。

イメージとしては、銀行に預け入れた預金の払い戻しを受けるのと同じです。

「保険料の払い戻しだから非課税取引じゃないか?」と思った方もいるかもしれませんが、非課税取引に該当するかどうかの判定の前段階として課税の対象の4要件を満たさないことから、非課税取引ではなく不課税取引となります。

 

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仕訳例

貯蓄性のある保険料を支払い、解約時に返戻金を収受した場合の仕訳例は以下のようになります。

① 保険料支払い時

解約時に返戻金が支払われるような保険契約の場合、保険料の支払額のうち貯蓄性のある部分の金額は「保険積立金」又は「長期前払費用」などの勘定科目で計上し、残額を「保険料」として費用処理します。

例えば、保険料4万円(うち2万円は貯蓄性のある部分の金額)を支払った場合の仕訳は、以下のようになります。

貯蓄性のある保険料支払い時の仕訳

② 保険返戻金受け取り時

保険返戻金を受け取った時は、保険積立金を取り崩し、残額を「雑収入」(積立金額より少ない場合は「雑損失」)などの勘定科目で計上します。この場合に「雑収入」として計上する金額は不課税売上げ、「雑損失」として計上する金額は不課税仕入れとなります。なお、「雑収入」や「雑損失」ではなく「保険料」勘定で処理してもかまいません。

例えば、解約返戻金65万円を受け取った時に保険積立金の計上額が60万円である場合は、以下のように経理処理を行います。

保険返戻金を受け取った時の仕訳

 

まとめ

保険返戻金の受け取りは不課税取引となる。

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
423 保険に係る満期返戻金の受け取り

 

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