消費税が非課税となる「土地の貸付け」に係る「貸付期間」の意義
Mariamichelle / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

貸付期間が1か月以上の土地の貸付けは、消費税法上は非課税取引とされていますが、貸付期間が1か月未満である場合は非課税取引の範囲から除かれ、課税取引となります。

では、「貸付期間」とは具体的にはどの期間をいうのでしょうか?

契約書では1か月以上の貸付期間であっても実際は1か月未満で明け渡した場合はどうなるのでしょうか?

今回は、土地の貸付けが非課税取引となるかどうかを判断する際の「貸付期間」の意義について解説します。

 

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土地の貸付けが非課税取引から除かれる場合とは

土地の貸付けについては消費税法上どのように規定されているのか、条文を参照してみましょう。

消費税法第6条第1項の規定により、国内取引のうち消費税法別表第二に掲げる取引については消費税を課さない(非課税)こととされているため、土地の譲渡及び貸付けは非課税取引とされています。

(非課税)
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。

別表第二(第六条、第十二条の二、第十二条の三関係)
一 土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

しかし、土地の貸付けであっても、「一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合」は、非課税取引には該当しないこととされています。

どのような場合に非課税とされる土地の貸付けの範囲から除かれるのかについては、消費税法施行令第8条で、以下のように規定されています。

(土地の貸付けから除外される場合)
法別表第二第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合とする。

したがって、土地の貸付けに係る貸付期間が1か月未満である場合は、非課税とされる土地の貸付けの範囲から除かれます。

 

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非課税かどうかは契約上の貸付期間で判断する

消費税法施行令第8条に規定する「土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合」とはどのような場合なのかについては、消費税法基本通達6-1-4で以下のように記載されています。

(土地の貸付期間の判定)
令第8条《土地の貸付けから除外される場合》に規定する「土地の貸付けに係る期間が1月に満たない場合」に該当するかどうかは、当該土地の貸付けに係る契約において定められた貸付期間によって判定するものとする。

太字部分で示したように、土地の貸付けが非課税取引となるかどうかは、契約上の貸付期間が1か月以上であるかどうかにより判断することとなります。

つまり、実際の貸付期間が1か月以上かどうかという実質的な判断ではなく、契約上の貸付期間が1か月以上かどうかという形式的な判断を行うということになります。

 

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契約上の貸付期間が1か月以上である場合

契約上の貸付期間が1か月以上と定められている場合は、たとえ実際には1か月未満の期間で土地の明渡しが行われていたとしても、「土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合」には該当せず非課税取引となります。

この場合、賃貸人は、土地の賃貸料は非課税売上げとして計上することになります。

なお、早期の明渡しに伴い賃貸料の一部を返還した場合は、非課税売上げに係る対価の返還等となり、非課税売上高からマイナスします。この場合、消費税法第38条《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》の規定の適用はありません。

契約上の貸付期間が1か月以上の場合

 

契約上の貸付期間が1か月未満である場合

契約上の貸付期間が1か月未満と定められている場合は、たとえ実際には1か月以上の期間で土地の明渡しが行われていたとしても、「土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合」には該当するため課税取引となります。

この場合、賃貸人は、土地の賃貸料は課税売上げとして計上することになります。

なお、明渡し遅延に伴う遅延損害金の支払いを受けた場合は、土地の貸付期間を延長して土地を貸付けた対価として収受するものであり課税の対象となり、課税売上げとして計上します。

契約上の貸付期間が1か月未満の場合

 

まとめ

土地の貸付けが非課税取引となるかどうかは、次のように判断します。

・契約上の貸付期間が1か月以上 → 非課税取引
・契約上の貸付期間が1か月未満 → 課税取引

 

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