平成31年(2019年)の10月1日より、消費税率の引き上げに伴い軽減税率の導入が予定されています。

現在、食料品や新聞を軽減税率の対象にすることが検討されています。

食料品については持ち帰りの場合は軽減税率の対象となり、レストランやイートインコーナー等の外食については軽減税率の対象となりません。

しかし、この政策は本当に低所得者の税負担に配慮していると言えるのでしょうか?

この点について、僕は制度のあり方を見直し、レストランやイートインコーナー等の外食も軽減税率の対象にすべきだと考えます。

以下、その理由について解説します。

 

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軽減税率を導入する趣旨

本来、あらゆる税金は、高所得者が多く負担し、低所得者が少ない負担で済むようにすべきとされています。

しかし、消費税はどの商品やサービスに対しても均一の税率が課されることから、低所得者の税負担が相対的に重くなるという「逆進性」があるといわれています。

そこで、「逆進性」が少しでも解消されるようにと導入が検討されている制度が「軽減税率」です。

 

食料品が軽減税率の対象となる理由

軽減税率の対象となる物品は、日常生活に必要不可欠なものであり低所得者ほど支出に占める割合が大きくなるものであることが理想的です。

この条件を満たすものとして真っ先に考えられるものといえば「食料品」であるため、世界中の多くの国で「食料品」については消費税(付加価値税)の軽減税率の対象とされています。

ただし、「食料品」といっても、スーパーで売っているお米や野菜のような比較的安価な食材から、政治家御用達の赤坂料亭の高級懐石料理のような贅沢品まで幅広くあります。

高所得者が消費する贅沢品については税負担の配慮をする必要がないため、軽減税率の対象とはなりません。

そこで、「食料品」から贅沢品を排除するために、レストランやイートインコーナー等での外食は軽減税率の対象から外されることとなります。

つまり、軽減税率制度は自炊する人の税負担を軽くし、外食する人の税負担を増やす施策であると言い換えることができます。

 

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「外食=贅沢」という考え方は時代錯誤もいいところ

ここでいったん冷静になって考えてみると、「レストランやイートインコーナー等での外食=贅沢」と一律に決めつけるのっておかしいと思いませんか?

確かに、叙々苑の焼肉や銀座の高級寿司は贅沢品です。

しかし、中には贅沢品でない外食もたくさんあります。

例えば、低賃金なのに忙しくて家で自炊する暇がない社畜が終わりの見えない残業の合間に会社の近くの吉野家で食べる牛丼やセブンイレブンのイートインコーナーで食べるミートパスタが果たして贅沢品といえるのでしょうか?

コンビニやファストフード店が普及した今では、日常生活のために外食をするのは当たり前の時代です。

軽減税率の制度を考えている官僚や政治家は「外で食べるのは贅沢行為。貧乏人は自炊して家でもやし炒めでも食べているはず。」と考えているのかもしれませんが、この考え方は時代錯誤もいいところだと思います。

むしろ、低所得者ほど時間に余裕がなく、食事は外食で済ませている方が多いのが現状です。

また、(金持ちリア充の)高所得者ほど時間に余裕があり、毎日家で愛する妻(専業主婦)の愛情のこもった手料理を食べることができ、軽減税率の導入により以下の表のようにむしろ逆進性が増すという結果になる可能性もあります。

低所得社畜
→ 毎日忙しくて外食で済ます
→ 軽減税率の適用を受けられない
金持ち愛妻家
→ 愛する妻が自炊した手料理を毎日食べられる
→ 軽減税率の適用を受けられる

 

外食も軽減税率の対象とすべきと考える理由 ①

上記はあくまでもひがみに満ちた一例ではありますが、必ずしも「外食=贅沢」とはいえないということは間違いありません。

高齢化や核家族化が進展し、女性の社会進出が進み共働きの世帯が増えた現代では、自炊をする余裕がある低所得者の割合は多くないのが現状です。

確かに、自炊をすれば材料費は安く済みますが、一人暮らしの人が自分一人で食べるためだけに料理をすることの手間や、使いきれず余った材料を廃棄することを考えたら、結局外食で済ませた方がコスパは良くなるということもあります。

したがって、本当に低所得者の税負担に配慮するのなら、外食も軽減税率の対象に含めるべきだと考えます。

 

外食も軽減税率の対象とすべきと考える理由 ②

食料品を扱う事業者にとって、外食のみを軽減税率の対象外として経理を行うのは大変な事務負担となります。

POSレジや経理システムを軽減税率に対応したものにするために莫大なコストがかかります。特にコンビニでは、買った食料品をイートインコーナーで食べるか否かにより税率が変わってくるため、レジ業務での混乱が予想されます。

しかし、その割に軽減税率によるメリットはたったの2%分(標準税率10%-軽減税率8%)しかありません。税抜100円のパンを買う場合、たった2円しか差がないのです。

ドイツの場合は、標準税率19%に対し軽減税率は7%であるため、軽減税率の導入の効果はそこそこあるといえます。しかし、たった2%しか変わらないのであれば、軽減税率の導入のためにかかるコストに見合うだけの効果が得られないかもしれません。

むしろ、新システム導入のためにかかった費用が食料品の本体価格に転嫁され、軽減税率導入前よりも高くなってしまう可能性すらあります。

したがって、事業者の事務負担に配慮するのなら、食料品はテイクアウトでもイートインでも関係なく一律に軽減税率の対象とすべきだと考えます。

 

外食も軽減税率の対象とすべきと考える理由 ③

ドイツでは、消費税(付加価値税)の軽減税率の対象に、食料品だけでなくホテルの宿泊費も含まれています。

これは、国外からの観光客を多く招き入れるための政策です。

ドイツのこの政策と同様の趣旨で、日本でも観光客を多く招き入れ、和食を世界に広めるためにも外食を軽減税率の対象にすべきだと考えます。

今、世界中で和食ブームが起きており、ユネスコの無形文化遺産にも登録された和食は日本が世界に誇れる食文化です。

旅行で日本に来る外国人の食事はほぼ100%外食なので、もし和食が軽減税率により安価で食べることができるとなれば、外国人にとってとても魅力的なものとなり、日本の観光立国としての国際競争力も上がるでしょう。

 

まとめ

忙しくて食事を外食で済ませている低所得者の税負担や、食料品を扱う事業者の事務負担に配慮するのなら、外食も軽減税率の対象に含めるべきだと思います。

外食も含めた食料品を一律に軽減税率の対象とした場合、贅沢品についても軽減税率が適用されることになりますが、一方で日本の観光立国としての国際競争力を高めることができるというメリットがあります。

多くの外国人観光客の来日が見込まれる東京オリンピックや大阪万博を目前に控えた今こそ、軽減税率の制度設計を根本的に一から見直すべき時だと思います。

 

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