消費税の届出書の提出期限が休日の場合と発信主義・到達主義について

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

消費税の届出書には、課税事業者選択届出書や簡易課税制度選択届出書など様々な届出書があります。

これらの届出書の提出期限は、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までとされています。

では、これらの届出書の提出期限が土曜日や日曜日、祝日等の休日と重なった場合はどのように取り扱うのでしょうか?

今回は、消費税の各種届出書の提出期限が休日と重なった場合の取扱いについて解説したいと思います。

 

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消費税の届出書には国税通則法10②は適用されない

国税通則法第10条第2項の規定では、申告書、申請書、届出書等の提出期限が日曜日等の休日(土曜日、日曜日、祝日等)に当たる場合は、その期限はその翌日まで延長されることとされています。

(期間の計算及び期限の特例)
2 国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

しかし、消費税の各種届出書については、条文上「届出の効力」についてのみ規定する法律構成となっているため、提出期限の定めがないことから国税通則法第10条第2項の規定の適用はありません。

例えば、課税事業者選択届出書については、条文上「その提出した日の属する課税期間の翌課税期間から適用する」と規定されているだけであり、提出期限についての定めはありません。

課税事業者選択届出書以外にも簡易課税制度選択届出書や課税期間特例選択・変更届出書及びこれらの不適用届出書についても同様に、条文において「届出の効力」についてのみ規定する法律構成となっているため、国税通則法第10条第2項の規定は適用されないこととなります。

 

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確定申告書・中間申告書の提出期限には国税通則法10②が適用される

消費税の各種届出書については、上述の通り国税通則法第10条第2項の提出期限の延長の規定は適用されませんが、消費税の確定申告書や中間申告書についてはこの限りではありません。

例えば、3月31日が課税期間の末日である場合は、5月31日が確定申告書の提出期限となりますが、5月31日が日曜日である場合はその翌日の6月1日が確定申告書の提出期限となります。

 

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申告書、申請書、届出書等の提出方法

申告書、申請書、届出書等の提出方法には、次のような方法があります。

① 税務署の受付に直接持参
② 税務署の時間外収受箱に投函
③ e-Taxで提出
④ 郵送により提出

①~③については、その受付日時が提出日となりますが、④ 郵送により提出する場合は、提出日が「通信日付印に表示された日」と「税務署に到達した日」になる場合とがあります。

 

通信日付印に表示された日が提出日とされる場合(発信主義)

従来までは、納税者が提出する書類の効力は、原則として書類が税務官庁に到達した時に生ずることとする「到達主義」が採用されていましたが、納税者と税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正し、納税者利便の向上と円滑な申請ができるような環境を整備するため、平成18年度税制改正により国税通則法が改正されました。

平成18年4月1日以後は郵便又は信書便により提出された納税申告書(添付書類及び関連して提出される書類を含む。)については「発信主義」が適用され、通信日付印により表示された日が提出日とみなされることとなりました。

郵便又は信書便で提出する納税申告書等の提出時期については、国税通則法第22条において次のように規定されています。

(郵送等に係る納税申告書等の提出時期)
納税申告書(当該申告書に添付すべき書類その他当該申告書の提出に関連して提出するものとされている書類を含む。)その他国税庁長官が定める書類が郵便又は信書便により提出された場合には、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日(その表示がないとき、又はその表示が明瞭でないときは、その郵便物又は信書便物について通常要する送付日数を基準とした場合にその日に相当するものと認められる日)にその提出がされたものとみなす。

次の方法で納税申告書等を提出した場合は、郵便又は信書便に提出したものとして、その郵便物又は信書郵便の通信日付印により表示された日が「提出日」とみなされます。

・普通郵便
・配達記録
・書留
・レターパック など

 

税務署に到着した日が提出日とされる場合(到達主義)

税務上の申告書や申請書・届出書は「信書」に該当します。

郵便法第4条及び民間事業者による信書の送達に関する法律第3条により、日本郵便株式会社、一般信書便事業者及び特定信書便事業者以外の業者は、信書を送達してはならないこととされています。

また、誰であっても、信書の送達を禁じられている業者に信書を差し出すことをしてはならないことともされています。

したがって、確定申告書やその添付書類を税務署に送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付する必要があり、各種小包郵便物や信書便物以外の荷物扱いで送付するのではなく、必ず郵便又は信書便を利用しなければなりません。

次のような郵便又は信書便以外の方法で納税申告書等を提出した場合は、国税通則法第22条の規定は適用されず、納税申告書等が税務署に到着した日が提出日とされるので注意しましょう。

・宅急便
・ゆうパック
・ゆうメール など

 

まとめ

消費税の確定申告書・中間申告書の提出期限が休日である場合は、提出期限は延長されますが、消費税の各種届出書の提出期限が休日である場合は提出期限の延長の規定の適用はありません。

郵便又は信書便により申告書、申請書、届出書等を提出する場合は通信日付印に表示された日が提出日とされますが、それ以外の方法で提出した場合は税務署に到着した日が提出日とされることに注意しましょう。

 

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