理論上、税理士登録ができる最年少の年齢は17歳(ただし女子に限る)
この記事の内容は、令和4年3月31日以前の改正前の民法の規定に基づいて解説しています。改正民法施行後(令和4年4月1日以後)は、男女関係なく最年少税理士登録可能年齢は18歳となります。

日本は急速に高齢化が進んでおり、若い働き手が減っていることが問題となっています。

税理士業界も同様に高齢化が進んでおり、税理士の平均年齢はすでに60歳を超えています。

手前味噌ではありますが、僕は20代前半で運良く税理士試験に合格することができ、今所属している税理士支部会の中では最年少らしいのですが、「理論上可能な最年少税理士登録年齢は何歳なんだろうか?」という疑問が湧いてきたので調べてみました。

その結果、「女の子であれば17歳で税理士登録できる」ということが判明いたしました。

今回は、税理士に最年少で登録するための条件について考えてみます。

 

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税理士登録するためには

税理士登録するためには、以下の(1)及び(2)の要件に該当する者が、日本税理士会連合会に備える税理士名簿に登録しなければなりません。

(1) 税理士となる資格
イ 税理士試験に合格した者
ロ 税理士法の規定により、試験科目の全部について税理士試験を免除された者
ハ 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
ニ 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)
(注) 平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者については、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士となります。
(2) 実務経験
上記(1)に該当する者のうち、イ又はロの者については、会計に関する事務(貸借対照表勘定及び損益計算書を設けて経理する事務)などに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とします。

税理士試験に官報合格して登録する場合

税理士試験は受験資格さえ満たしていれば年齢に関係なく受験することができるため、税理士試験5科目に合格(官報合格)し、2年間の実務経験があれば税理士になれます。

中学校までは義務教育なので働けないため、中学卒業後すぐに会計事務所に勤務し、税理士試験に官報合格すれば早ければ 17歳で上記要件を満たします。

科目免除を受けて登録する場合

大学院で税法に関する論文を書けば2科目の免除を受けることができますが、大学院で免除を受けて合格する場合は早くても 24歳になります。

また、国税専門官として10年働けば3科目免除、23年働けば全科目免除になりますが、国税専門官採用試験の受験資格は21才以上30才未満の年齢制限があるため、国税専門官として3科目免除を受けて合格する場合は早くても 31歳(全科目免除を受ける場合は早くても44歳となります。

司法試験に合格して登録する場合

司法試験については、受験資格を得るためには法科大学院をするか、予備試験に合格する必要があります。また、司法試験に合格した場合でも、1年間の司法修習を終了していなければ税理士登録はできません。司法修習生である期間中は兼業・副業は禁止されるため、その分税理士試験に合格した場合よりも会計事務の実務経験を満たすのが遅くなります。

予備試験の受験には受験資格や年齢制限はないため、中学生でも受験することはできますが、仮に中学校在学中に予備試験で司法試験に合格し、中学卒業後すぐに司法修習を1年間受講したとしても、その間は副業・兼業ができないため、司法試験に合格して司法修習を受けてから2年間の実務経験を満たすのは早くても 18歳となります。

公認会計士試験に合格して登録する場合

公認会計士試験に合格した場合については、3年間の実務補習を修了した者でなければ税理士登録することはできません。

公認会計士試験にも年齢制限はないため中学生でも受験することはできますが、中学在学中に公認会計士試験に合格した場合であっても、実務補習を終了するのは早くても 18歳となります。

最速は税理士試験に官報合格すること

以上より、最速で上記の要件を満たすことができるのは、17歳までに税理士試験に官報合格することです。

 

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税理士試験の受験資格

税理士試験は誰でも受けられるわけではなく、受験資格が必要となります。税理士試験の主な受験資格には以下のようなものがあります。

税理士試験の受験資格
(1) 学識による受験資格
イ 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
ロ 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
ハ 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
ニ 司法試験合格者
ホ 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
(2) 資格による受験資格
イ 日商簿記検定1級合格者
ロ 全経簿記検定上級合格者
(3) 職歴による受験資格
イ 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
ロ 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
ハ 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

上記のうち、年齢にかかわらず取得できる受験資格は「司法試験合格」「公認会計士試験の短答式試験合格」「日商簿記1級合格」「全経簿記上級合格」であり、これらに該当すれば中学生でも税理士試験の受験資格を得ることができます。

大学入学は18歳以上、専修学校入学及び就職は15歳以上からしかできないため、最も早く受験資格を得ることができるのは上記の4つです。

難易度を考えたら「日商簿記1級合格」又は「全経簿記上級合格」が最も早く受験資格を取得できる方法だと思います。

(追記)

税理士法改正により、令和5年度(第73回)以降の税理士試験の受験資格が緩和されることとなりました。

詳しくは、国税庁の「受験資格について」をご覧ください。

 

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欠格事由

税理士法第4条において、未成年者は税理士となる資格を有しないこととされています。

(欠格条項)
次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、税理士となる資格を有しない。
一 未成年者
・・・(後略)

税理士法の条文上、「未成年者」についての定義が規定されていないため、一般法である民法の規定に従うものと考えられます。

民法(令和4年改正前)第4条において、年齢20歳をもって成年とすることとされているため、「未成年者」とは、20歳未満の者をいいます。

(成年)
年齢二十歳をもって、成年とする。

しかし、民法(令和4年改正前)第753条の規定により、20歳未満であっても結婚をしている場合は成年とみなすこととされています。

(婚姻による成年擬制)
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法(令和4年改正前)第731条の規定により、結婚ができる年齢は、男性は18歳から、女性は16歳からとされています。

(婚姻適齢)
男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

したがって、女性なら17歳でも既婚者であれば成年とみなされるため、税理士登録の欠格事由には該当しないことになります。

男性の場合は、結婚できる年齢が18歳からであるため、税理士登録できるのは早くても18歳となります。

 

まとめ

以上のことから、次の要件をすべて満たした場合は、17歳で最年少税理士登録をすることができます。

① 女性であること
② 17歳までに結婚していること
③ 日商簿記1級合格などにより税理士試験の受験資格を取得し、17歳までに税理士試験5科目に合格すること
④ 中学校卒業後すぐに会計事務所に勤務し、2年間の実務経験を満たしていること

2022年(令和4年)4月1日から民法が改正され、成人年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられるとともに、婚姻可能な年齢が男女ともに18歳とされるため、17歳で税理士登録できるチャンスはあと2年ちょっとしかありません。

もし17歳で税理士登録することができれば、永遠に語り継がれる伝説の税理士となれることでしょう。

もし今、税理士の仕事に少しでも興味があるうら若き乙女たちがこの記事を読んでいましたら、是非とも伝説の税理士を目指してみてください!

※「永遠の17歳です♡」というのはナシでお願いします。

(追記)

民法改正により、2022年(令和4年)4月1日以後は婚姻可能な年齢が男女ともに18歳とされたため、税理士登録可能な最年少の年齢は男女関係なく18歳となります。

 

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