![マイカー・自転車通勤者や徒歩通勤者の通勤手当は課税仕入れになる?](https://shouhizei-quiz.com/wp-content/uploads/2018/12/commute_1543987216-e1593766180164.jpg)
消費税法上、従業員に対して支払う通勤手当は、通勤のために通常必要と認めらる範囲内のものは課税仕入れに該当します。
電車で通勤する従業員に支払う通勤手当については、「乗車料金の支払いのために必要だから課税仕入れになるんだな」ということはイメージしやすいかと思います。
しかし、マイカーや自転車などの公共交通機関以外の移動手段で通勤する従業員や、会社の近所に住んでいるため乗り物を使わず徒歩で通勤する従業員に対して通勤手当を支払った場合、課税仕入れになるのでしょうか?
今回は、電車通勤者のほか、マイカー・自転車通勤者や徒歩通勤者の通勤手当の取扱いについて解説したいと思います。
通勤手当の取扱い
通勤手当の消費税法上の取扱いについては、国税庁の消費税法基本通達11-6-5において次のように規定されています。
(通常必要であると認められる通勤手当)
11-6-5 規則第15条の4第3号《請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れ》に規定する「通勤者につき通常必要であると認められる部分」とは、事業者が通勤者に支給する通勤手当が、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められるものをいう。
したがって、所法令第20条の2各号《非課税とされる通勤手当》に定める金額を超えているかどうかにかかわらないことに留意する。
太字にした部分のように、通勤手当が課税仕入れとして認められるためには、その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものであるかどうかがポイントとなります。
これを踏まえて、電車通勤者、マイカー通勤者、自転車通勤者、徒歩通勤者に対する通勤手当について、課税仕入れに該当するかどうかそれぞれ考えてみます。
電車通勤者に支払う通勤手当
電車通勤の場合は、その電車に乗るために乗車料金を支払わないといけません。
したがって、電車通勤者に対して支払う通勤手当は、その通勤に必要な交通機関の利用のために支出する費用に充てるものとして、通常必要と認められる範囲の金額であれば課税仕入れに該当することとなります。
マイカー通勤者に支払う通勤手当
マイカーで通勤する場合は、ガソリン代や高速道路代などの移動のために係る費用や、自賠責保険や車検費用、オイル交換などのメンテナンスに必要や費用を支出しなければなりません。
したがって、マイカー通勤者に対して支払う通勤手当は、その通勤に必要な交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして、通常必要と認められる範囲の金額であれば課税仕入れに該当することとなります。
なお、バイクで通勤する場合もマイカーと同様に考えます。
自転車通勤者に支払う通勤手当
では、自転車で通勤する場合はどうなるでしょうか?
だんだん難しくなってきましたが、結論から先に言うと、自転車通勤でも通勤手当は課税仕入れになります。
普段あまり自転車に乗らない人にとっては、「自転車は自力で漕いで移動するんだから交通用具の使用のために支出する費用はないいんじゃないの?」と思うかもしれません。
しかし、自転車で通勤するためには、チェーンオイルを塗ったりタイヤのチューブを取り替えたり、駐輪場の駐輪代などが必要になります。また、最近は名古屋市などの一部の自治体では自転車保険の加入を義務付けているため、保険料の支払いも必要になります。
自転車に乗るためには意外といろいろな支出が必要なのです。
したがって、自転車通勤者に対して支払う通勤手当は、その通勤に必要な交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして、通常必要と認められる範囲の金額であれば課税仕入れに該当することとなります。
徒歩通勤者に支払う通勤手当
最後に、徒歩通勤者に支払う通勤手当はどうなるでしょうか?
こちらは、結論から先に言うと、残念ながら課税仕入れに該当しません。
その理由は、交通のために充てる費用がないからです。
徒歩通勤者の中には、通勤のために歩きやすいシューズやリュック、スポーツウェアなどを購入している方もいるかもしれませんが、それらは交通用具に該当しません。
徒歩通勤の場合は、その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用がないため、徒歩通勤者に支払う通勤手当は課税仕入れに該当せず、給与として不課税仕入れとなります。
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