土地の抵当権や温泉利用権は非課税?土地の上に存する権利の範囲とは

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

消費税法上非課税とされる土地の譲渡・貸付けには、「土地の上に存する権利」の譲渡・貸付けも含まれることとされています。

「土地の上に存する権利」とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか?

その土地を使って何らかの事業活動などを行うための権利には借地権や鉱業権、耕作権、温泉利用権や土地を目的とする抵当権など様々なものがあります。

今回は、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」の範囲について解説したいと思います。

 

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土地の上に存する権利=土地の使用収益に関する権利

消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」とは、その土地の使用収益に関する権利のことをいいます。

「使用収益」とは、物を直接に利活用して利益・利便を得ることをいいます。

つまり、「土地の使用収益に関する権利」とは、土地を直接に利活用して利益・利便を得る権利のことをいいます。

これを踏まえて、どのような権利が「土地の上に存する権利」に該当するのか考えてみましょう。

 

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借地権

事務所のイラスト

「借地権」は、以下の3種類に分けて考えることができます。

① 土地賃借権
② 地上権
③ 地役権

土地の貸借契約を結んだ際に取得できる借主側の権利のことを「土地賃借権」といい、賃借人は契約の範囲で土地や工作物を使用し、代わりに賃料を支払う義務を負います。

他人の土地の工作物又は竹木を所有する権利のことを「地上権」といい、例えば、住宅や橋、トンネル、井戸などの建築物などを所有するために他人の土地を使う権利が地上権に該当します。

自分の土地を使用するために他人の土地を利用できる権利のことを「地役権」といい、例えば、公道と自分の土地の間にある他人の土地(私道)を通行したり、用水路から自分の土地まで水を引く権利が地役権に該当します。

上記の権利はいずれも、他人の土地を直接に利活用して、その土地や土地の上にある建物などの工作物などから利益・利便を得る権利であるため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当します。

借地権の更新料は非課税取引

土地の賃貸借契約の更新に際して支払われる更新料は、借地権の設定の対価として収受するものであるため課税取引となります。

借地権の名義書換料は非課税取引

借地権の名義書換料についても、上記と同様、借地権の設定の対価として収受するものであるため課税取引となります。

借地権の更新手数料は課税取引

借地権の更新手数料については、借地権の更新に係る事務作業に係る対価として収受するものであるため、非課税とされる「土地の上に存する権利」の譲渡・貸付けの対価ではなく「役務の提供」の対価として課税取引となります。

 

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耕作権

農家のイラスト

小作契約により、小作人が地主に小作料を支払って、その所有する農地を耕作しまたは採草放牧地で養蓄する権利のことを「耕作権」といいます。

耕作権は、他人の土地を直接に利活用して、その土地を使って育てた野菜などを販売することによる利益・利便を得る権利であるため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当します。

 

鉱業権

採掘のイラスト

鉱業法第5条で登録を受けた一定の土地の区域(鉱区)において、登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、及び取得する権利のことを「鉱業権」といいます。

鉱業権については、鉱業法第12条により物権とみなされ、実質的にその鉱区内にある鉱石等の所有権と同じであるため、土地そのものを直接利活用することにより利益・利便を得る権利とはいえないため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当しません。

 

土石採取権

土石のイラスト

他人の土地において岩石や砂利などを採取する権利のことを「土石採取権」といいます。

土石採取権についても、上記の鉱業権と同様に考え、実質的にその他人の土地にある土石等の所有権と同じであるため、土地そのものを直接利活用することにより利益・利便を得る権利とはいえないため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当しません。

 

温泉利用権

温泉のイラスト

土地に存在する温泉源を利用する権利のこと「温泉利用権」といいます。

温泉利用権についても、上記の鉱業権や土石採取権と同様に考え、実質的にその他人の土地にある温泉源から湧き出る温泉の所有権と同じであるため、土地そのものを直接利活用することにより利益・利便を得る権利とはいえないため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当しません。

 

土地を目的物とした抵当権

空地のイラスト

 抵当権は、被担保債権が弁済されなかった場合に、その目的物を処分することにより、その物の価格から優先的に弁済を受けることを内容とする担保物権であり、抵当権者は目的物について、その交換価値を把握するに過ぎず、その目的物の使用収益権は、依然として抵当権を設定した者が有します。

したがって、土地を目的物とする抵当権は、その土地を直接に利活用して利益・利便を得る権利(土地の使用収益に関する権利)ではないため、消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当しません。

また、抵当権の順位の譲渡も、同様に土地の使用収益に関する権利ではなく、その譲渡は課税の対象となります。

 

まとめ

消費税法上非課税とされる「土地の上に存する権利」に該当するかどうかは、その権利が土地の使用収益に関する権利であるかどうかがポイントとなります。

今回ご紹介したものをまとめると、次のようになります。

権利の種類 土地の上に存する権利」に該当するか
借地権
耕作権
鉱業権 ×
土石採取権 ×
温泉利用権 ×
土地を目的物とした抵当権 ×

 

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題番号 タイトル
99 土地の賃貸借契約の更新の際に収受する更新料
100 ]借地権設定に伴う名義書換料
101 賃貸借契約の更新に伴う更新手数料
345 借地権の譲渡
353 地役権の譲渡
354 温泉利用権の譲渡
362 土地の賃借権の譲渡
363 土地の土石採取権の譲渡
366 耕作権の譲渡
376 鉱業権の譲渡
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問題番号 タイトル
128 借地権の譲渡

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