企業活動を行ううえで、事業遂行上の必要から国・地方公共団体や水道・電機・ガス・鉄道事業などのインフラ関連の公益事業者に対して工事負担金を支払うことがあります。

今回は、工事負担金を支払った場合に消費税の課税仕入れに該当するかどうかについて解説したいと思います。

 

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課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

工事負担金の支払いが課税仕入れに該当するかどうかは、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たすかどうかがポイントとなります。

 

工事負担金の支払いは基本的に不課税仕入れ

工事負担金の支払いが消費税の課税対象取引となるかどうかは、その工事負担金の支払いと工事負担金を支払った事業者が受ける役務の提供との間に明白な対価関係があるかどうかにより判断します。

工事負担金として支払うものの多くは、自分だけが直接的に役務の提供を受けるものではありません。

例えば、地方公共団体が行う地下通路の整備事業に伴って支払う工事負担金については、その地下通路を自分も利用することもありますが、自分だけでなく他の人も使うことがあります。

このような場合に、工事負担金の支払いと工事負担金を支払った事業者が受ける役務の提供との間に明白な対価関係があると言えるのでしょうか?

この点については、国税不服審判所の裁決事例(平15.6.13裁決、裁決事例集No.65 920頁)が参考になります。

ポイントを要約すると「不特定多数の者を対象にして行われる工事は、工事の負担金を支払った者の便宜のみが支払っていない者に比して著しく増大することに起因して徴収されるものではないため、明白な対価関係があるとは認められない」ということが書いてあります。

したがって、一般的に工事負担金は複数の者が工事に係る費用を分担して支払うものであるため、工事負担金の支払いとその工事により事業者が受ける便益との間に明白な対価関係があるとはいえず、工事負担金の支払いは不課税取引となります。

これは、税金の納付が不課税取引になるのと同じ考え方になります。

法人税や住民税、事業税などの税金は、地方公共団体から受ける行政サービスの対価としての性質を持っていると捉えることもできますが、税金の納付額は人それぞれ異なるうえに、納付した金額の多寡により受けられる行政サービスの質や内容が変わるわけではないため、税金の納付と納税者が受ける行政サービスとの間に明白な対価関係があるとはいえず、税金の納付は不課税取引となります。

不特定多数の者を対象にして行われる工事に係る工事負担金も、これと同じ理由で不課税とされます。

 

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課税仕入れとなる工事負担金もある

一般的に、工事負担金の支払いは不課税取引となりますが、その工事負担金の性質や契約の内容によっては、課税仕入れとなることもあります。

例えば、太陽光発電設備を設置する際に電力会社に支払う「系統連系工事負担金」については、電力会社の所有物となる系統連系のための設備工事を発電業者が負担して支払うものであり、その工事負担金の支払いと事業者が受ける便益との間に明白な対価関係があるため、課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たし、課税取引となります。

このように、工事負担金とその工事に係る事業者が受ける便益との間に明白な対価関係がある場合は、その工事負担金の支払いは課税仕入れになることに注意しましょう。

なお、工事負担金の支払いが課税仕入れとなる場合は、工事が終了した日(=役務の提供のすべてが完了した日)において課税仕入れを計上します。

また、消費税法基本通達5-5-6(注)1に記載されているように、工事負担金が権利の設定に係る対価と認められる場合についても課税仕入れに該当します。

(公共施設の負担金等)
(注) 1 公共的施設の負担金等であっても、例えば、専用側線利用権、電気ガス供給施設利用権、水道施設利用権、電気通信施設利用権等の権利の設定に係る対価と認められる場合等の、その負担金等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

 

工事負担金が課税仕入れに該当するかどうか不明な場合

工事負担金が課税仕入れに該当するかどうか不明な場合は、その工事を行う事業者、国、地方公共団体に問い合わせて確認するようにしましょう。

消費税法基本通達5-5-6に記載されているように、工事を行う事業者、国、地方公共団体が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、工事負担金を支払う事業者においても課税仕入れに該当しないこととしている場合は、課税仕入れとして計上することはできません。

(公共施設の負担金等)
特定の事業を実施する者が当該事業への参加者又は当該事業に係る受益者から受ける負担金、賦課金等については、当該事業の実施に伴う役務の提供との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、例えば、その判定が困難な国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のための負担金について、国、地方公共団体又は同業者団体等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その負担金を支払う事業者がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

 

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