車やバイクに乗っている人は、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の会員になっている人も多いかと思います。
JAFの会員は、車が故障した場合などにロードサービス等の役務の提供を受けることができます。しかし、もし故障等が起きずロードサービス等の役務の提供を受けなかったとしても、JAFに支払う年会費の金額は一定です。
この場合、JAFの年会費は、消費税の計算上、課税仕入れとして仕入税額控除をすることができるのでしょうか?それとも、対価関係が明白でないため課税仕入れとはならないのでしょうか?
今回は、JAFの年会費の消費税法上の取扱いについて説明したいと思います。
JAF(一般社団法人日本自動車連盟)とは
JAFの正式名称は一般社団法人日本自動車連盟(Japan Automobile Federation)といいます。
JAFは、バッテリーが上がってしまったり、パンクした場合や溝などに落輪してしまった場合に電話一本ですぐに駆けつけてくれるロードサービスを提供しています。
また、JAF会員は会員割引協定を結んでいる全国の施設で会員優待サービスを受けることができ、食事代や娯楽施設利用料などのさまざまな料金の割引を受けることができます。
その他にも、オーナードライバーの権益を保護するための様々な自動車に関する事業を行っています。
会費、組合費等の取扱い
同業者団体や組合等に支払う会費については、消費税法基本通達5-5-3(会費、組合費等)において、次のように規定されています。
(会費、組合費等)
同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。
JAFの年会費については、ロードサービス等の役務の提供との間に明白な対価関係がなく、資産の譲渡等の対価であるかどうか判定するのは困難です。
そこで、上記通達の太字部分に記載されているように、JAF側が年会費は資産の譲渡等の対価に該当しないものとして公表している場合は、年会費は課税仕入れに該当しないこととなります。
JAFが公表している年会費の取扱い
JAFは、公式ホームページのFAQ(よくあるお問い合わせ)ページで、消費税の取扱いについて以下のように公表しています。
Q.JAFの会費には消費税がかかりますか?
A.回答
JAFの入会金・会費は「非課税」です。消費税はかかりません。
税理士の立場からすると「非課税」じゃなくて「不課税」だろ!とツッコミたくなりますが、細かいことは置いといて、とりあえず「消費税はかかりません」と記載してあることから、JAFにおいて年会費は資産の譲渡等の対価として取り扱っていないことがわかります。
したがって、JAFの年会費は課税仕入れに該当しないことになります。
機関誌代相当額は課税仕入れ
なお、公式ホームページのFAQ(よくあるお問い合わせ)ページの回答のただし書きで、次のような記載があります。
ただし、個人会員の会費および法人会員の法人毎会費金額には、機関誌代(860円+消費税10%の86円=946円/年)が含まれています。
したがって、JAFの年会費のうち946円分は、機関誌代相当額として課税仕入れとなります。(適用税率は標準税率10 %)
それ以外の部分については、上述のとおり不課税仕入れとして処理します。
年会費とは別に支払うロードサービス料金は課税仕入れ
JAF会員の場合、バッテリー上がりや燃料切れ、パンク、故障などのトラブルがあった際、一定の範囲内でロードサービスを無料で受けることができます。
しかし、会員無料範囲を超える場合は、JAF会員であっても料金を支払う必要があります。例えばけん引が15kmを超える場合や事故車の処理、落輪や転落車の引き揚げ作業などには一定の料金がかかります。
この場合は、ロードサービスという役務の提供を受けた対価として支払うものなので、対価性のある取引として課税取引となり、支払額は課税仕入れとなります。適用税率は標準税率10%です。
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