保険会社から受け取る「費用保険金」とは?消費税の課税対象になる?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

車両や建物等につき損害が発生した場合に、損害保険会社から損害保険金の他に「費用保険金」という保険金が支払われることがあります。

今回は、「費用保険金」とはどういうものなのか?消費税の取扱いはどうなるのか?について解説します。

 

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費用保険金とは

費用保険金は、保険の対象となる建物や家財が損害を受けた際に発生する諸費用等をサポートするために支払われる保険金です。

損害の発生に伴う臨時費用や片付け費用などのために充てられるもので、損害保険金とは別に収受することになります。

費用保険金の種類には、以下のようなものがあります。(保険会社により内容は異なります。)

臨時費用保険金

損害保険金が支払われる場合、臨時に生ずる費用に対して支払われる保険金

残存物取片づけ費用保険金

損害保険金が支払われる場合、建物の残存物の取片づけや清掃等に必要な費用に対して支払われる保険金

失火災見舞費用保険金

保険の対象である建物から発生した火災、破裂又は爆発の事故により、第三者の所有物に損害を与えた場合に要する見舞金等の費用に対して支払われる保険金

地震火災費用保険金

地震若しくは噴火又はこれらによる津波を原因とする火災によって、建物が半焼以上の損害を受けたとき臨時に生ずる費用に対して支払われる保険金

損害防止費用保険金

火災、落雷、破裂・爆発の事故が生じたときに、損害の防止または軽減のために支出した一定の費用に対して支払われる保険金

 

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費用保険金の受け取りは対価性のない取引のため消費税の課税対象外(不課税)

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

「保険金」は、病気や怪我の罹患、火災や地震などの一定の保険事故の発生に基づいて、保険会社から被保険者に支払われるお金です。

被保険者は「保険金」という収入を得るために、保険会社に対して何か物やサービスを提供したわけではないため、保険金は資産の譲渡等の対価として収受するものではありません。

したがって、費用保険金についても同様に、保険会社に対する資産の譲渡等の対価として受け取るものではなく、損害の発生に伴い支出する費用の補填として受け取るものであるため、課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たさず、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

 

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保険金を原資とする片付け費用等も課税仕入れとなる

損害の発生に伴い支出する片付け費用等は、不課税売上げとなる費用保険金が原資として充てられます。

この場合、片付け費用等は課税仕入れとして計上できるのでしょうか?

この点については、消費税法基本通達11-2-8において、次のように記載されています。

(保険金等による資産の譲受け等)
11-2-8 法第2条第1項第12号《課税仕入れの意義》に規定する「他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること」(以下11-2-8において「資産の譲受け等」という。)が課税仕入れに該当するかどうかは、資産の譲受け等のために支出した金銭の源泉を問わないのであるから、保険金、補助金、損害賠償金等を資産の譲受け等に充てた場合であっても、その資産の譲受け等が課税仕入れに該当するときは、その課税仕入れにつき法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるから留意する。

したがって、片付け費用等については、費用保険金が原資として充てられる場合であっても、課税仕入れとして仕入税額控除を受けることができます。

 

費用保険金を受け取った時の仕訳例

例えば、地震等の発生に伴い建物等が損害を受けたことにより片付け費用500万円を支払い、保険会社から損害保険金3,000万円及び費用保険金500万円を受け取った場合の仕訳例について考えてみましょう。

費用保険金の受け取りに係るイラスト

この場合、片付け費用 500万円は「雑損失」などの費用勘定で処理し、課税仕入れとして計上します。

また、損害保険金と費用保険金は合わせて「雑収入」などの収益勘定で処理し、不課税売上として計上します。

費用保険金の受け取りに係る仕訳

 

まとめ

地震や火災などにより建物等に損害が生じた場合に、損害保険金とともに受け取る費用保険金については、対価性のない取引であるため不課税売上げとして計上します。

また、片付け費用等の損害の発生に伴う支出は、その原資に費用保険金を充てたとしても、課税仕入れとして仕入税額控除を受けることができます。

 

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