利子補給金を受け取った場合の仕訳例と消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

国や地方公共団体が、事業者を政策的に保護したり産業の新興を図る等の目的で、事業者が融資を受けた際の利子の支払額の一部又は全部を負担することがあります。

このような場合、事業者に対して、国や地方公共団体が負担する利子相当額について「利子補給金」という名目で金銭が支払われます。

今回は、利子補給金を受け取った場合の仕訳例と消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

利子補給金とは

利子補給とは、自治体が住民の住宅取得を促したり、企業が従業員の住宅取得をバックアップしたり、国や地方公共団体が災害の被災者の事業振興や雇用維持を応援する時などに、金融機関からの借入金利子の一部または全部を負担することをいいます。

代表的なものとしては、住宅ローンやマイカーローンに係る利子補給金や、中小企業制度融資に係る利子補給金、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染特別貸付や新型コロナウイルス対策マル経融資に係る特別利子補給金、商工中金等による危機対応融資に係る特別利子補給金などがあります。

利子補給が受けられる場合でも、利子の支払い自体が免除になるわけではなく、国や地方公共団体から利子相当額分の助成金が交付されることにより、実質的に低利率又は無利子で融資を受けることができるようになるというものです。

お金の流れをイラストで示すと、以下のようになります。

利子補給金のイラスト

 

スポンサーリンク

利子補給金の受け取りは不課税取引

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

補助金や給付金、助成金は、商品やサービスの提供をした対価として受け取るものではなく、国や自治体の政策目的を実現するために支給されるものであるため、上記の課税の対象の4要件のうち「③ 対価を得て行うものであること」を満たさしません。

したがって、利子補給金は、事業者が金融機関から融資を受けた借入金に係る利子に充当する目的で交付される助成金であるため、課税の対象外(不課税取引)となります。

 

スポンサーリンク

利子の受け取り(非課税取引)ではないことに注意

消費税法第6条《国内取引の非課税》の規定により、以下のような利子を対価とする金銭の貸付け等は非課税取引とされています。

(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など

利子補給金の受け取りは、その名称に「利子」とついているため、「利子を受け取ったの?じゃあ非課税取引?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

金銭を貸し付けた相手から元本部分以外の支払いを受けた場合は「利子」となりますが、利子補給金は金融機関への利子の支払いに充当する目的で交付されるものであり、国や地方公共団体に金銭を貸し付けた見返りにもらうものではないため、非課税売上げではなく不課税売上げとなります。

 

仕訳例

利子補給金の交付を受けた場合の仕訳例について見てみましょう。

数値例
当社は、金融機関から借入総額300万円、借入期間1年、利率年1%、毎月252,500円均等払いの条件で借り入れを行った。
なお、支払完了時に、国から利子補給金(利息相当額30,000円)が交付される。

利子補給金は、入金されたタイミングで「雑収入」などの収益勘定で計上し、対象外(不課税売上げ)として処理します。

利子補給金の仕訳

 

会社が従業員に支給する利子補給金は給与扱い

会社が従業員の住宅ローン等の利息相当額を支給する場合においても「利子補給金」という名目で支払われることがあります。

この場合は従業員に対する給与として取り扱われるため、どちらにせよ不課税取引となります。

 

まとめ

利子補給金の受け取りは、利子そのものを受け取ったのではなく、金融機関への利子の支払いに充当する目的で交付される助成金なので、消費税法上の取引区分は「不課税取引」となります。

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
450 地方公共団体から受ける利子補給金

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事