コンクールに入賞して賞金を受け取った場合の消費税の取扱い
qimono / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

近年、PCでの文章編集ソフトやイラスト編集ソフト、音楽制作ソフトなどの普及により、個人でもプロに引けを取らないクオリティの作品を制作できるようになりました。

もし、企業や個人事業者が事業に関連して制作した作品がコンクールで入賞し、賞金を受賞した場合、消費税の取扱いはどうなるのでしょうか?

今回は、賞金を受賞した場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

課税の対象の要件として「② 事業者が事業として行うものであること」と「③ 対価を得て行うものであること」があります。

コンクールに作品を応募することは、「② 事業者が事業として行うものであること」に該当するのでしょうか?

また、受賞するかどうかわからないコンクールに作品を応募して、結果として賞金を受賞することとなった場合、「③ 対価を得て行うものであること」に該当するのでしょうか?

 

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賞金等の取扱い

賞金や賞品を受け取った場合の消費税法上の取扱いについては、国税庁の消費税法基本通達5-5-8において、次のように規定されています。

(賞金等)
他の者から賞金又は賞品(以下5-5-8において「賞金等」という。)の給付を受けた場合において、その賞金等が資産の譲渡等の対価に該当するかどうかは、当該賞金等の給付と当該賞金等の対象となる役務の提供との間の関連性の程度により個々に判定するのであるが、例えば、次のいずれの要件をも満たす場合の賞金等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

(1) 受賞者が、その受賞に係る役務の提供を業とする者であること。

(2) 賞金等の給付が予定されている催物等に参加し、その結果として賞金等の給付を受けるものであること。

したがって、受賞者に賞金が給付されるコンクールに作品(事業に関連するもの)を応募して、それが入選して賞金を受け取った場合、「② 事業者が事業として行うものであること」と「③ 対価を得て行うものであること」の要件を満たすことになります。

 

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課税の対象となる賞金

コンクールに入選した漫画家

例えば、漫画家として事業活動を行っている個人事業者が、出版社のコミックコンテストに漫画作品を応募して、見事入選して賞金を獲得した場合は、賞金の給付が予定されているコンクールに、その賞金に係る役務の提供を業とする者が応募して受賞したこととなるため、上記通達の条件を満たし、当該賞金は課税売上げとなります。

また、馬主が競走馬をレースに出場させて、優勝した場合に賞金を獲得したときも当該賞金は課税売上げとなります。

 

課税の対象とならない賞金

次のような場合には、上記基本通達の要件を満たさず、消費税は不課税となります。

受賞者が賞金に係る役務の提供を業としていない場合

コンクールに入線した会社員

例えば、普段は会社勤めをしている会社員が、休日等に趣味で制作した漫画作品をコンクールに応募し、それが受賞して賞金を受け取った場合は、上記基本通達の「(1) 受賞者が、その受賞に係る役務の提供を業とする者であること。」の要件を満たしません。

この場合、課税の対象の4要件のうち「事業者が事業として行うものであること」の要件を満たさないため、消費税は不課税となります。

 

賞金の受賞と役務の提供との関連がない場合

くじ引き

例えば、加入している事業者団体の催事で行われた「くじ引き大会」でたまたま1等賞を引き当てて賞金を受け取った場合は、その賞金の受賞と役務の提供との間に関連性がなく、上記基本通達の「(2) 賞金等の給付が予定されている催物等に参加し、その結果として賞金等の給付を受けるものであること。」の要件を満たしません。したがって、課税の対象の4要件のうち「対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため消費税は不課税となります。

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
414 コンクールで受賞し支払いを受けた賞金
415 くじ引きで当たりを引いて給付を受けた賞金

 

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