商店街の共同施設(アーケードや広告塔)の修理費用の負担金の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

商店街の中に店舗を有する事業者は、商店街のアーケードや広告塔などの共同施設の修理費用を各店舗で負担することがあります。

今回は、商店街の共同施設(アーケードや広告塔)の修理費用の負担金についての消費税の取扱いについて解説したいと思います。 

 

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商店街の共同施設の修理費用の負担者

商店街の中に店舗を構えている事業者はたいていの場合、商店街振興組合や商店街協同組合などの同業者団体に加入することになります。

商店街のアーケードや広告塔などの共同施設は、基本的に同業者団体の所有物です。

これらの共同施設の修理費用や取替・設置費用などは、組合員である各店舗が共同して負担することとなります。

 

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商店街の共同施設の負担金の支払いは基本的に不課税仕入れ

同業者団体が共同施設の建設や修理などを行うに際して、会員の事業者に求める負担金等については、その同業者団体が実施する事業等に係る役務の提供と会員が負担する負担金との間に明確な対価関係があるかどうかにより判定します。

商店街振興組合や商店街協同組合などの同業者団体が、組合員からアーケードや広告塔などの修理や設置のための費用に係る負担金を徴収した場合は、基本的にそのアーケードや広告塔などの共同施設は組合員に帰属するものではなく、同業者団体においてかかった費用を負担するものなので、明白な対価関係があるとはいえません。

したがって、商店街の共同施設の修理費用等の負担金は、原則として、課税仕入れには該当せず、組合員において仕入税額控除を受けることはできません。

 

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明白な対価関係がある場合は課税仕入れ

商店街振興組合や商店街協同組合などの同業者団体が負担金を徴収する場合でも、その負担金の支払いと組合員が受けるエイムの提供との間に明白な対価関係があれば課税の対象となります。

例えば、特定の店舗の店名やメニューを表示する広告塔の設置費用に係る負担金を支払った場合は、明白な対価関係があると認められるため、その店舗においては課税仕入れとして計上することができます。

 

商店街の共同施設の負担金が課税仕入れに該当するかどうか不明な場合

商店街の共同施設の修理・設置に係る負担金が課税仕入れに該当するかどうか不明な場合は、所属する商店街振興組合や商店街協同組合などに問い合わせて確認するようにしましょう。

消費税法基本通達5-5-6、11-2-8に記載されているように、アーケードや広告塔の修理を行う同業者団体が資産の譲渡等の対価に該当しない旨をチラシやHPなどで公表しており、負担金を支払う事業者においても課税仕入れに該当しないこととしている場合は、課税仕入れには該当しないことになります。

(公共施設の負担金等)
5-5-6 特定の事業を実施する者が当該事業への参加者又は当該事業に係る受益者から受ける負担金、賦課金等については、当該事業の実施に伴う役務の提供との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、例えば、その判定が困難な国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のための負担金について、国、地方公共団体又は同業者団体等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その負担金を支払う事業者がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

(公共的施設の負担金等)
11-2-6 国若しくは地方公共団体の有する公共的施設又は同業者団体等の有する共同的施設の設置又は改良のため、国若しくは地方公共団体又は同業者団体等がこれらの施設の利用者又は受益者から受ける負担金、賦課金等で、当該国若しくは地方公共団体又は同業者団体等において、資産の譲渡等の対価に該当しないこととしているものについては、当該負担金、賦課金等を支払う事業者においても、課税仕入れに係る支払対価に該当しないのであるから留意する。

 

まとめ

商店街のアーケードや広告塔などの共同施設の修理費用等に係る負担金を支払った場合は、基本的には明白な対価関係があるとはいえないため、課税仕入れとはならず仕入税額控除を受けることはできません。

ただし、特定の店舗が直接的に役務の提供を受け、その負担金の支払いとの間に明白な対価関係があると認められるときは課税仕入れに該当します。

なお、対価関係があるかどうか不明な場合には、負担金について商店街振興組合や商店街協同組合が資産の譲渡等の対価に該当しないこととしており、組合員においても課税仕入れとして処理しないこととしている場合は、これが認められます。

 

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