助産施設として使用されていた建物の売却は非課税取引?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

消費税法上、「助産に係る資産の譲渡等」は非課税取引として位置づけられています。

では、助産施設として使用されていた建物を売却した場合も、「助産に係る資産の譲渡等」に該当し非課税取引となるのでしょうか?

今回は、助産施設として使用されていた建物の売却に係る消費税の課税関係について解説したいと思います。

 

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助産に係る資産の譲渡等は非課税取引

消費税法第6条の規定により、「助産に係る資産の譲渡等」は非課税取引に該当するものとされています。

八 医師、助産師その他医療に関する施設の開設者による助産に係る資産の譲渡等(第六号並びに前号イ及びロの規定に該当するものを除く。)

助産に係る資産の譲渡等は、平成3年改正以前は、異常分娩については「健康保険法等の規定に基づく医療の給付等」に該当するものとして非課税取引とされていましたが、正常分娩については非課税取引とされていませんでした。

しかし、出産という生命の尊厳に対するものにまで消費税を課すというのはいかがなものかという国民感情へ配慮するために、社会政策的な配慮として正常分娩に係る資産の譲渡等についても非課税取引として取り扱うこととされました。

 

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助産に係る資産の譲渡等の範囲

消費税法基本通達6-8-1では、助産に係る資産の譲渡等の範囲について次のように規定されています。

(助産に係る資産の譲渡等の範囲)
6-8-1 法別表第二第8号《助産に係る資産の譲渡等》に規定する「助産に係る資産の譲渡等」には、次のものが該当する。

(1) 妊娠しているか否かの検査
(2) 妊娠していることが判明した時以降の検診、入院
(3) 分娩の介助
(4) 出産の日以後2月以内に行われる母体の回復検診
(5) 新生児に係る検診及び入院

一般に「助産」とは正常に経過する胎児の娩出に係る状況判断等及び当該娩出に係る補助的に行う操作並びにそれらに付随する妊婦、産婦、じょく婦、胎児又は新生児(以下「妊産婦等」という。)の世話等をいうものとされています。

また、医師法の規定により、医師の医学的判断及び技術をもって行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為である医行為については原則として医師の独占業務とされていること、及び、保健師助産師看護師法の規定により、医師以外の者が行うことは本来許されない医行為に当然含まれる助産行為について、例外として助産師が行うことが許容されていることを併せ考慮すると、「助産に係る資産の譲渡等」とは、医師等の資格を有する者の医学的判断及び技術をもって行われる分娩の介助等ないしそれに付随する妊産婦等に対する必要な処置及び世話等をいうものと解されます。

 

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助産施設として使用されていた建物の売却は非課税とはならない

助産施設として使用されていた建物の譲渡は、「医師等の資格を有する者の医学的判断及び技術をもって行われる分娩の介助等ないしそれに付随する妊産婦等に対する必要な処置及び世話等」であるとはいえません。

したがって、助産施設として使用されていた建物の売却は、消費税法上非課税取引とされる「助産に係る資産の譲渡等」には該当せず、課税対象取引となります。

 

まとめ

「助産に係る資産の譲渡等」とは、医師等の資格を有する者の医学的判断及び技術をもって行われる分娩の介助等ないしそれに付随する妊産婦等に対する必要な処置及び世話等をいうため、助産施設として使用されていた建物の売却はこれに該当せず、非課税取引とはなりません。

参考判例:平成24年1月31日国税不服審判所採決

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
375 助産施設として利用されていた建物の売却代金

 

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