インターネット通販サイトのアマゾン(Amazon)で商品を出品すると、諸々の手数料が掛かります。
「アマゾンは海外の企業だけど、手数料にの日本の消費税はかかるの?」と疑問に思う方も多いかと思います。
そこで今回は、アマゾン(Amazon)に出品するための手数料に消費税はかかるのかどうかについて解説したいと思います。
Amazonで出品する際の契約先はアマゾンジャパン合同会社
アマゾンで商品を出品するためには「Amazon サービスビジネスソリューション契約」を締結する必要があります。
Amazon サービスビジネスソリューション契約を締結する契約先は、以下のとおり「アマゾンジャパン合同会社」となっています。
本契約で使用される「Amazon」とは、Amazon契約当事者またはその関連会社を意味し、「サービス利用者」とは申込者(個人でサービスに登録しまたはこれを利用する場合)または申込者を雇用している事業体(事業体としてサービスに登録しまたはこれを利用する場合)およびその関連会社を意味します。
・・・(中略)・・・
「Amazon契約当事者」とは、アマゾン ジャパン合同会社を意味します。
したがって、契約先が日本国内の法人であるため、日本国内での商品の出品に係る手数料は基本的にすべて消費税の課税対象となります。
手数料の種類
アマゾンで出品する際に発生する手数料には、以下のような項目があります。
基本成約料(小口出品プラン)
Amazonで商品を出品する場合は、まず「小口出品プラン」か「大口出品プラン」かを選択します。
「小口出品」プランの場合、商品1点が注文されるごとに基本成約料として税抜100円の手数料がかかります。
基本成約料は仕訳上「支払手数料」などの勘定科目で処理し、消費税法上、課税仕入れに該当します。適用される税率は販売した商品の内容にかかわらず標準税率10%です。
月額登録料(大口出品プラン)
「大口出品プラン」を選択している場合は、月額登録料として税抜4,900円が毎月発生します。
月額登録料は仕訳上「支払手数料」などの勘定科目で処理し、消費税法上、課税仕入れに該当します。適用される税率は販売した商品の内容にかかわらず標準税率10%です。
販売手数料
商品が購入されると、商品の販売価格に対し、カテゴリーごとに定められた料率をかけた販売手数料が発生します。
販売手数料は仕訳上「支払手数料」などの勘定科目で処理し、消費税法上、課税仕入れに該当します。適用される税率は販売した商品の内容にかかわらず標準税率10%です。
カテゴリー成約料
本やミュージック、ビデオ・DVDなどのメディア商品については、上記の販売手数料の他に、カテゴリー成約料が発生します。
カテゴリー成約料は仕訳上「支払手数料」などの勘定科目で処理し、消費税法上、課税仕入れに該当します。適用される税率は販売した商品の内容にかかわらず標準税率10%です。
FBA手数料
FBA(フルフィルメント by Amazon)とは、Amazonマーケットプレイスでの販売者向けに商品の保管・管理・配送を代行するサービスのことをいいます。
FBAサービスを利用すると、商品の配送に係る「配送代行手数料」と倉庫(フルフィルメントセンター)での保管費用として「在庫保管手数料」が必ず発生します。
また、一度FBAに保管した商品を返送したり、返品されて販売できなくなった在庫や長期間売れ残り不良在庫となったものを破棄する場合の手数料として「返送・所有権の放棄手数料」や、納品の際に指定された梱包等がなされていない場合に徴収される「納品不備受領作業手数料」などの手数料が発生することもあります。
これらはすべて仕訳上「支払手数料」などの勘定科目で処理し、消費税法上、課税仕入れに該当します。適用される税率は販売した商品の内容にかかわらず標準税率10%です。
返金手数料
購入者から返品を受けたり、品質不良によるクレームを受けた場合に購入額の一部または全部を返金する場合は、Amazonに返金額からそれに応じた販売手数料を差し引いた金額を返金手数料として支払います。
返金手数料は、商品の販売対価の値下げであるため、仕訳上「売上値引」などの勘定科目で処理し、消費税法上、売上げに係る対価の返還等に該当します。適用される税率は、販売した商品に適用された税率と同じになります。
なお、返金額から差し引かれる販売手数料は、一度発生した課税仕入れの戻しであるため、仕入れに係る対価の返還等として処理し、適用税率は標準税率10%となります。
個別対応方式の場合は「課税売上対応」
仕入税額の計算について個別対応方式を採用している場合は、上記のAmazonの諸々の手数料はすべて商品を販売するために要する課税仕入れなので、用途区分は「課税売上対応」となります。
ただし、車いすや補聴器などの非課税とされる商品を販売している場合は「非課税売上対応」、課税商品と非課税商品の両方を販売している場合は「共通対応」となることに注意しましょう。
(参考)税制改正で2015年10月以後すべての手数料が課税対象に
2015年(平成27年)9月以前は、日本国内での商品の保管・配送費用であるFBA手数料以外は、米国アマゾン社との取引である「国外取引」として、消費税の課税対象外とされていました。
しかし、平成27年の国境を越えて行われる役務の提供に係る内外判定の改正により、2015年(平成27年)9月以後は米国アマゾン社との取引についても課税対象となったため、基本成約料、月額登録料、販売手数料、カテゴリー成約料などの手数料にも消費税が課されるようになりました。
2015年(平成27年)9月以前はFBA手数料のみ課税対象
2015年(平成27年)9月以前は、役務の提供に係る国内取引の判定は「役務の提供が行われた場所」が国内であるかどうかにより行うこととされていました。
また、国内及び国外にわたって行われる役務の提供で、その役務の提供が行われた場所が明らかでない場合は、役務の提供に係る事務所等の所在地がどこにあるかによって判定を行うこととされているため、FBA手数料以外のAmazon手数料についての内外判定は「米国アマゾン社の所在地」が国外であることから、国外取引として消費税の課税対象外(不課税)とされていました。
なお、配送代行手数料や在庫保管手数料などのFBA手数料については、役務の提供が行われる場所が国内であるため、2015年(平成27年)9月以前も課税対象とされていました。
2015年(平成27年)10月以後はすべての手数料が課税対象
2015年(平成27年)10月以後は、ネット通販上において商品を販売するサービスの提供などの「電気通信利用役務の提供」については、役務の提供を「受ける者」の住所等で国内取引の判定を行うことになったため、FBA手数料以外の手数料についても国内取引に該当するものとして課税の対象に含まれることになりました。
また、2015年(平成27年)10月以後に国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合は、出品者に「リバースチャージ方式」による消費税の納税義務が課されることとなってしまい非常に面倒になるため、2016年5月以後、アマゾン社は出品サービスの契約先を日本の「アマゾンジャパン合同会社」に変更することにしました。
国内の事業者から電気通信利用役務の提供を受ける場合はリバースチャージ方式の適用はないため、出品者は申告の際に面倒な手間を省くことができます。
まとめ
アマゾン(Amazon)に商品を出品し、日本の消費者に対して商品を販売するために発生した手数料は、いずれも消費税の課税対象となります。
基本的には、商品の内容にかかわらず標準税率10%適用の課税仕入れとして処理しますが、返金手数料については「売上げに係る対価の返還等」として処理し、適用税率はその商品に適用された税率と同じになります。
また、返金時に返還される販売手数料は、仕入れに係る対価の返還等として処理します。