自動車やバイクのオイルリザーブシステム利用時の消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年10月現在の最新の税制に対応しています。

自動車やバイクのエンジンオイルをあらかじめキープしておくシステムとして「オイルリザーブシステム」というものがあります。

今回は、オイルリザーブシステムを利用した場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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オイルリザーブシステムとは

オイルリザーブシステムとは、システムに加入した時点で一定量のエンジンオイルをリザーブ(予約・確保)し、全国の加盟店でいつでも手軽にオイル交換ができるシステムです。

缶で購入する場合と比べて、余ったオイルが無駄にならず、保管や廃油処理などのわずらわしさの問題がなく効率的にオイル交換ができるため、多くの自動車やバイクの販売店がこのシステムを採用しています。

オイルリザーブシステムに加入する場合は、加入時にリザーブ量に応じた一定の加入料金を支払い、リザーブ量を使い切ったら継続加入で新たにオイルをリザーブすることができます。

また、一定の条件のもと、オイルの残量に応じて加入額の一部の払い戻しを受けることもできます。

 

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オイルリザーブの加入料金は消費税法上「物品切手等」に該当する

オイルリザーブの加入料金は消費税法上どのように扱うのでしょうか?

オイルリザーブシステムに加入した場合は、会員証等にオイルのリザーブ量が記録され、オイル交換の際はそれを提示することによりリザーブ残量の範囲内でエンジンオイルの給油を受けることができます。

これは、下記の「物品の給付、貸付け又は役務の提供に係る請求権を表彰する証書」に該当することから、消費税法上は「物品切手等」に該当することになります。

(請求権を表彰する証書の意義)
法別表第二第4号ハ《物品切手等の譲渡》及び令第11条《物品切手に類するものの範囲》に規定する「請求権を表彰する証書」とは、証書の所持人に対してその作成者又は給付義務者がこれと引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供をすることを約する証書をいい、記名式であるかどうか、又は当該証書の作成者と給付義務者とが同一であるかどうかを問わない。
(注) 資産の寄託者が倉庫業者あてに作成する出荷依頼書等又はこれらに類する文書は、物品切手等に該当しない。

 

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原則として給油を受けた際に課税仕入れとして処理

消費税は、国内で消費されるモノやサービスに対して課される税金です。サービス(役務の提供)については、サービスの提供が行われた時に「消費」が行われたものとして消費税が課税されることになります。

したがって、オイルリザーブシステムの加入料金は、原則として、加入した時点では課税仕入れにならず、実際に使用したとき(エンジンオイルの給油を受けたとき)に課税仕入れとして計上します。

(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)
11-3-7 法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるから留意する。

なお、インボイス制度導入前(令和5年9月30日以前)は、毎期継続適用要件に物品切手等を購入した時点で全額課税仕入れとして処理することが認められていましたが、インボイス制度導入後(令和5年10月1日以後)は、そのような取扱いは認められなくなったため注意しましょう。

ただし、物品切手等で適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されているものが、引換給付を受ける際に適格請求書発行事業者により回収される場合、当該物品切手等により役務又は物品の引換給付を受ける買手は、インボイス制度導入後(令和5年10月1日以後)も、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることとされています。

もしオイルリザーブがチケットのようになっており、給油時に適格請求書発行事業者により回収される場合は、オイルリザーブに加入時に全額を課税仕入れとして処理する方法も考えられます。

 

具体的な仕訳例(原則処理)

オイルリザーブシステムの加入料金の具体的な仕訳例について見てみましょう。

オイルリザーブシステム加入時の仕訳

数値例
当社の営業用車両につき「オイルリザーブシステム」に加入し、加入料金30,000円を現金で支払った。
なお、エンジンオイルのリザーブ量は30Lである。

原則処理を採用している場合は、オイルリザーブシステムの加入料金は「貯蔵品」又は「前払金」などの資産勘定で処理しておきます。

エンジンオイル給油時の仕訳

数値例
当社の営業用車両のエンジンオイルの給油を行った。なお、給油量は5Lである。

原則処理を採用している場合、給油量に応じて「貯蔵品」又は「前払金」などの資産勘定から「車両費」又は「消耗品費」などの費用勘定に振り替え、当該金額を課税仕入れとして計上します。

エンジンオイル給油時の仕訳(原則処理)

(※)貯蔵品の振替額:30,000円×5L/30L=5,000円

加入料金の払い戻しを受けたときの仕訳

数値例
当社の営業用車両につき加入していたオイルリザーブシステムを解約することとしした。
リザーブ残量は8Lであり、払戻金として現金6,000円の支払いを受けた。

オイルリザーブシステムの加入料金の一部の払い戻しを受けた場合は、物品切手等の払い戻しと同様に不課税取引となります。

リザーブ残量と払戻金に差額がある場合は、当該差額は「雑損失」又は「雑収入」などで処理します。

加入料金の払い戻しを受けたときの仕訳(原則処理)

(※)貯蔵品の振替額:30,000円×8L/30L=8,000円

 

まとめ

オイルリザーブシステムの加入料金は、消費税法上「物品切手等」に該当するものと考えられます。

したがって、原則として、給油を受けた時点で給油量に応じて課税仕入れを計上することになります。

もしオイルリザーブがチケットのようになっており、給油時に適格請求書発行事業者により回収される場合は、オイルリザーブに加入時に全額を課税仕入れとして処理する方法も考えられます。

 

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