日本社会の高齢化に伴い、介護用品や福祉用具、身体障害者用物品の需要が高まっています。
今回は、介護用品や福祉用具、身体障害者用物品に係る消費税の取扱いについて解説したいと思います。
介護用品とは
介護用品とは、その名の通り介護のために用いる道具のことです。
例えば、紙おむつ、尿取りパッド、介護用食品、介護用衣服など、要介護者が通常の生活を行うために必要な消耗品全般が介護用品に該当します。
介護用品については、介護保険や健康保険の適用もなく、サービスではなく物であるため、消費税法上非課税とされる「介護サービス」にも該当せず、消費税が課税されます。
介護用食品など「飲食料品」に該当するものについては軽減税率8%が適用され、それ以外のものは標準税率10%が適用されます。
福祉用具とは
福祉用具とは、要介護者本人の日常活動作動能力の維持改善を見込んで用いられる道具のことを指します。
例えば、歩行器、手すり、スロープ、車椅子、床ずれ防止用具、特殊寝台、移動用リフト、自動排泄処理装置、簡易浴槽などがあります。
福祉用具の譲渡・貸付けについても、介護保険の適用対象とはならず、消費税法上非課税とされる「介護サービス」にも該当せず、消費税が課税されます。
ただし、その福祉用具が、下記で解説する「身体障害者用物品」に該当する場合は、これを譲り受ける者が要介護者であるか否かに関わらず、非課税とされます。
福祉用具については、その多くが身体障害者用物品に該当しますが、手すり、スロープ、腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用のリフトのつり具部分などの身体障害者用物品に該当しないものについては課税されます。
なお、手すりの設置など、住宅改修にかかる費用は課税とされますが、通常の車に改造を施した福祉車両を購入する場合はその全体が非課税となります。
福祉車両については、次の記事でも詳しく解説しています。
身体障害者用物品とは
新身体障害者用物品とは、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造または機能を有する物品で、厚生労働大臣が指定したものをいいます。
具体的には、『消費税法施行令第十四条の四の規定に基づき厚生労働大臣が指定する身体障害者用物品及びその修理を定める件』に記載されているものが「身体障害者用物品」に該当します。
身体障害者用物品に該当するものの具体例として、以下のようなものがあります。
身体障害者用物品に該当するものについては、利用者自身が身体障害者であるかどうかにかかわらず、その譲渡・貸付けは消費税の非課税取引とされます。
なお、他の者から委託を受けて身体障害者用物品以外の物品を身体障害者用物品に改造する行為は、身体障害者用物品の製作の請負に該当し、非課税となります。
ただし、身体障害者用物品を製作するための材料や部品については、非課税にはなりません。
まとめ
介護用品については消費税は非課税とされませんが、福祉用具については新身体障害者用物品に該当するものは非課税となります。
身体障害者用物品については、すべて非課税とされます。
種類 | 消費税の課税関係 | |
介護用品 | 課税 | |
福祉用具 | 下記以外(手すり、スロープ、床ずれ防止用具など) | |
身体障害者用物品(車椅子、特殊寝台など) | 非課税 | |
上記以外の身体障害者用物品 |
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