税額計算上守る必要がある「かけ算・わり算の順序」とは

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

数学的に、かけ算やわり算の計算をする場合は、交換法則が成り立つため、数字の頭につける演算記号が合っていればどのような順序で立式をしても1つの正しい答えが導かれます。

しかし、税額の計算をする上では、掛け算や割り算の順序を守らないと正しい答えにならないことがあります。

今回は、税額計算上守る必要がある掛け算や割り算の順序について解説したいと思います。

 

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数学上、掛け算や割り算の立式の順番は関係ない

小学生レベルの当たり前の話になりますが、掛け算や割り算の立式の順番は、各数値の頭につける演算記号さえ間違っていなければどのような順番で立式しても正しい答えが導かれます。

例えば、「5×8÷4」は、「8×5÷4」「8÷4×5」「5÷4×8」「1÷4×5×8」など、各数値の頭につける演算記号さえ合っていればどのような順番で書いても同じ答え「10」になります。

毎年冬頃になると、小学2年生の子が掛け算を習う時期なのですが、小学校の先生にテストで掛け算の順序が授業で教わった通りと違っていてバツをつけられ、「この採点はおかしい!」というSNSの投稿がバズり、掛け算順序否定派と肯定派で激しい論争が繰り広げられるのが風物詩となっているそうです。

個人的には、小学校のテストの掛け算の順序なんて、交換法則が成り立つんだからどんな順番で書いても正解にしてあげればいいのにと思います。

しかし、税理士試験の答案や申告書で税額を計算する際は、かけ算・割り算の順序は守る必要があるのです。

 

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税額計算上、かけ算・割り算の順序は条文に規定されている

税額計算上は、掛け算や割り算の立式の順番を間違えると正しい答えにならないことがあります。

例えば、前期(期間は12か月)の確定年税額が500,000円の場合、当期の中間納付額(6か月分)は、税法の規定に従って計算すると次のようになります。

500,000円×6/12=249,900円

数学的に考えたら「色々とおかしいだろ!」とツッコミを入れられてしまいそうですが、税法上はこのように計算するのが正しいのです。

この理由は、税額の計算方法は、国税通則法及び各税法の条文で明確に記載されているからです。

掛け算や割り算の順序についても「〇〇の金額を××で除し、△△を乗じて計算する」といった形で規定されているため、条文の規定に沿った順序で計算する必要があります。

 

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端数処理の方法は国税通則法に規定されている

まず、国税についての基本的事項及び共通事項について定めた法律である「国税通則法」において、各税目に共通の計算ルールが定められています。

① 計算過程で生じた端数は1円未満切捨て

国税通則法第119条において、税金の計算過程における算出額に1円未満の端数があるときは、その端数金額は切り捨てることとされています。

(国税の確定金額を算出する過程における算出額の端数計算)
6 国税の確定金額を算出する過程におけるその算出額に、1円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てるものとする。

② 税金の確定金額は100円未満切捨て

また、国税通則法119条において、税金の確定金額に100円未満の端数があるときは、その100円未満の端数を切り捨てることとされています。

(国税の確定金額の端数計算等)
第百十九条 国税(自動車重量税、印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

 

(具体例1)中間納付額の計算方法

消費税の六月中間申告に関する条文では、中間納付額の計算方法について次のように規定しています。

一 当該課税期間の直前の課税期間の確定申告書に記載すべき第四十五条第一項第四号に掲げる消費税額で当該六月中間申告対象期間の末日までに確定したものを当該直前の課税期間の月数で除し、これに六を乗じて計算した金額

先ほどと同じ数値例になりますが、前期(期間は12か月)の確定年税額が500,000円の場合、当期の中間納付額(6か月分)は

「~消費税額で当該六月中間申告対象期間の末日までに確定したものを当該直前の課税期間の月数で除し、」という消費税法の条文の規定に従い

500,000円÷12=41,666.666…円 と計算します。

次に、国税通則法の規定に従って、計算過程で生じた端数について円未満の端数を切り捨てます。

41,666.666…円 → 41,666円

次に、「これに六を乗じて計算した金額」という条文の規定に従って

41,666円×6=249,996円 と計算します。

最後に、国税通則法の規定に従って、税金の確定金額は100円未満切捨てをするため

249,996円 → 249,900円 となります。

計算式は、500,000円×6/12=249,900円となります。

もし先に6をかけて後で12で割った場合、端数が切り捨てされず500,000円×6/12=250,000円となり、納付税額が異なってしまうため、条文の規定どおり「割ってから掛ける」という順序を守る必要があります。

(なお、住民税の予定納税額の計算では、条文上そもそも「割ってから掛ける」のではなく「掛けてから割る」ことになっているため、住民税の予定税額は500,000円×6/12=250,000円となることに注意しましょう。)

参考
41,666.666…を「金額」ではなく「比率」と捉えて計算する場合も
41,666.666…×6=249,999.9999… → 249,900(百円未満切捨)
となり同じ答えにになります。(数学的には「0.9999…=1」となりますが、税法上は小数点以下の「.9999…」は「円未満の端数」であるため、国税通則法の規定により切り捨てることとなります。)
この点については、次の記事でも詳しく解説しています。

 

(具体例2)基準期間に対応する期間における課税売上高の計算方法

合併や分割等があった場合の納税義務の判定を行う際は、被合併法人や新設分割子法人などの「基準期間に対応する期間における課税売上高」について「×12/12」などを掛けて年換算を行います。

実は、この年換算をする際の掛け算・割り算の順序についても、条文で規定されているのです。

例えば、吸収合併があった場合の合併事業年度の納税義務の判定では、被合併法人の「基準期間に対応する期間における課税売上高」の計算方法について、消費税法施行令第22条第1項で次のように規定されています。

第二十二条 法第十一条第一項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の合併法人の合併があつた日の属する事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した同項の被合併法人の各事業年度における課税売上高(当該各事業年度の国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額をいう。以下この条及び次条において同じ。)の合計額を当該各事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額とする。
一 当該各事業年度において行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額(当該各事業年度において行つた第十九条に規定する輸出取引等に係る対価の返還等の金額を含む。)
二 当該各事業年度において行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額

例えば、合併法人の合併があった日の属する事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した同項の被合併法人の各事業年度(12か月とする)における課税売上高が2,000万円であった場合、納税義務の判定で用いる「基準期間に対応する期間における課税売上高」は、次のように計算します。

まず、消費税法施行令の規定に従い、課税売上高2,000万円を事業年度の月数12ヶ月で割ります。

20,000,000円÷12=1,666,666.6666…

次に、これに12を乗じます。

1,666,666.6666…×12=19,999,999.9999…円

数学的には「0.9999…=1」となりますが、税法上は小数点以下の「.9999…」は「円未満の端数」であるため、国税通則法の規定により切り捨てることとなります。

19,999,999.9999…円 → 19,999,999円(円未満切捨)

よって、「基準期間に対応する期間における課税売上高」の計算式は以下のように表されることになります。

20,000,000円×12/12=19,999,999円

これも、中間納付額の計算と同じく、条文の規定とおり「割ってから掛ける」という順序を守らなければ、算出額が異なってしまうため注意が必要です。

 

まとめ

小学校のかけ算のテストでは、立式の順序が違うと「授業で教えた順序と違う!」というクソみたいな理由でバツをつけられることがあります。

一方、税理士試験の答案や申告書の作成上、掛け算や割り算の順序が違うと納付税額等が正しく計算されず不正解となってしまうことがありますが、これは小学校の理不尽なテスト採点とは異なり、租税法律主義に基づき、国税通則法や各税法の条文の規定に沿った計算を行う必要があるからです。

税務上は、掛け算や割り算について計算順序を固定しなければならない場合があることを念頭に置いて、条文の規定を確認しながら計算を行うようにしましょう。

 

(追記)

この記事の流入経路を調べてみると「かけ算 順序」という検索ワードでのアクセスが多く、税額計算の方法について知りたいというよりも、かけ算の順序問題に興味があってアクセスされている方が多いようです。

そのため、本題からは脱線しますが、小学校におけるかけ算の順序指導に対する筆者の考え方について少し書きたいと思います。

まず、本文中でも書いていますが、僕は小学校のテストでかけ算の順序が逆だと×にする採点方法には大反対という立場です。

そのような理不尽な採点方法は廃止すべきだと声を大にして訴えたいとともに、そのような採点をする教師は厳しい批判にさらされてしかるべきだと考えています。

かけ算の順序なんていちいち気にするのは税理士と腐女子くらいで十分だと思います。小学生にそんな無用かつ理不尽な負担を強いるべきではありません。

以下、その理由について説明します。

かけ算の順序指導は「手段」であって「目的」ではない

小学校の教科書では、かけ算の計算方法について、「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で記載しています。

例えば、4枚のお皿にそれぞれみかんが5個ずつのっている場合のみかんの合計数は

5(1つ分の数)×4(いくつ分)=20個

と表記して計算します。

このような表記によれば、5個のみかんがのったお皿が4枚ある状況を想定し、

5+5+5+5=20

となることが直感的にもわかりやすく、かけ算の理解の手助けとなります。

しかし、このような表記はあくまでもかけ算を理解するための「手段」であって、それ自体が「目的」となってしまっては本末転倒といえます。

かけ算の計算において一番重要なことは、積の因数をそれぞれ見つけ出すことです。

上記例題の場合、「5×4」と表記しても「4×5」と表記しても、いずれの場合であっても4と5がそれぞれ因数の関係であることが理解できていることが読み取れます。

また、数学上、かけ算は交換法則が成り立つため、5×4=4×5=20となり、因数をどの順序で表記してもひとつの正解にたどり着きます。

授業で「『1つ分の数』×『いくつ分』の順序で考えると分かりやすいですよ」と教えること自体はまったく問題ありませんし、かけ算の理解をスムーズにする良い指導法だと思いますが、テストの採点時にまでその順序でないと不正解とする採点方法は完全に「手段」と「目的」をはき違えているといえます。

たとえそれがかけ算を習い始めた時期の一時的なルールであったとしても、数学的に正しい立式をしているにもかかわらず不当に不正解とする採点方法は学問的知見からみても不誠実であり、交換法則を理解している生徒にとっても理不尽な思いをさせるため、教育的知見からみても好ましいとは思えません。

「3a」のような文字式の順序は固定されている→それは万国共通ルールだから

中学校以降で習う文字式の書き方は、例えば「3a」のように固定されており「a3」と表記することはありません。

このことをもって、「だから『1つ分の数』×『いくつ分』というかけ算の順序も固定して書くことを強制すべきだ」と主張する人がいますが、それはあまりにもお門違いです。

「3a」のように、「数字と文字同士の積の表記は数字が先」というルールは、研究論文などを書く際の万国共通のルールであり、世界中の数学者が守るべき表記の仕方であり誰もが認めているものです。

一方、かけ算の順序を「1つ分の数」×「いくつ分」と表記するルールなんて小学2年生のときだけで、中学・高校・大学などでは一切使われない日本の小学校独自のローカルルールです。

そんなローカルルールと、文字式のような万国共通の国際ルールを同列に扱おうなんて思い上がりもいいところです。

仮にもし「1つ分の数」×「いくつ分」の順序が万国共通のルールとなり、世界中のすべての数学者が研究論文等を執筆する際に必ず守らないといけないほどのグローバルスタンダートとなる日が来たとしたら、初等教育の段階から順序固定指導を徹底すべきだと思います。(まあそんな日が来ることなんて絶対にないでしょうけど。)

たかがローカルルールの分際で、万国共通ルールの文字式の順序と同列に扱ってかけ算の順序固定を徹底しろだなんて「身の程を知れ」という感想以外何も出てきません。

ちなみに、SNSなどのかけ算の順序論争のレスバトルでこの記事が引用されることがあるのですが、たまに本文をよく読まずに「ほれみろ!税額計算でも順序を固定する必要があるから、かけ算の順序指導は必要だ!」という主張に使われることがあります。しかし、それは全くお門違いです。「本文ちゃんとよく読め」と耳元で大声で言いたいです。

民主主義的に制定された法律の規定に従い、租税法律主義の要請に基づいてかけ算の順序を固定することと、日本の小学校でしか通用しないクソみたいなローカルルールに則ってかけ算の順序を固定することは全然違いますし、これらを同列に扱おうなど思い上がりもいいところです。身の程を知ってください。

何も考えず与えられた数をただ掛けている子もいる→出題を工夫すれば防げる

「かけ算の順序を意識しないと何も考えず与えられた数をただ掛けていても正解となる。だからかけ算の順序固定採点が必要だ。」という意見がありますが、それは出題を工夫することで防げます。

例えば、「りんごが2個のったお皿とみかんが3個のったお皿がそれぞれ3枚ずつあります。みかんは何個あるでしょう。」といった問題を出題すれば、何も考えず与えられた数をただ掛けている子は「2×3×3」と書いて不正解となります。

このような問題を出題するだけで何も考えず与えられた数をただ掛けている子をあぶり出すことができるので、かけ算の順序固定採点を必要とする論拠とはなり得ません。

順序を固定しないと割り算で間違える→別に間違えればいい

「かけ算の順序固定指導をしないと割り算で間違える」という意見がありますが、別に間違えればいいじゃないかと思います。

割り算はかけ算と違い、割る数と割られる数の立式の順序が間違っていると計算を誤ってしまいます。

そのため、割り算では、どれが割る数で、どれが割られる数なのかを意識し、立式の順序にも注意する必要があります。

しかし、「かけ算で与えられた数をなんとなく掛けていた子が割り算で間違えるといけないから、かけ算の順序固定採点が必要だ」という意見はあまりにも本末転倒で、これまた「手段」と「目的」をはき違えた主張だと思います。

そもそも、「割り算で間違えるといけないから」といいますが、別に間違えたっていいじゃないですか?

割り算で立式の順序を間違えて不正解となった場合、それは有意義な不正解です。その不正解が、割る数と割られる数の関係を理解していなかったことの気づきとなり、次は間違えないようにするための一助となります。

一方、かけ算で立式の順序が逆で不正解となるのは、無意義な不正解です。数学的に正しいにもかかわらず、授業で習った順序と違うということで不正解とされることによる学問的な気づきは何もなく、ただ理不尽な思いをするだけです。それどころか、理不尽な理由で不正解とされることにより勉強が嫌いになってしまうリスクもあります。

このように、別に間違えたらそのとき直せばいいだけのことなのに、割り算で間違えるといけないからという理由で、かけ算の順序が違っていると不正解とする理不尽な採点方法はあまりにも「手段」と「目的」をはき違えた本末転倒な教育法だと思います。

かけ算の順序指導を擁護する人は教員や塾講師などが多いようで、口をそろえて「かけ算の順序を固定しないと割り算で苦労する!みんな教育現場のことをまったくわかっていない!」と言いますが、そういう人に限って、かけ算の立式順序が逆で不正解とされ理不尽な思いをした生徒の心情をまったくわかっていないところがとても滑稽ですね。

そもそも、かけ算の本質を「累加」と考えるのが本当に妥当なのか?

小学校では、かけ算の本質について「累加」と習いますが、僕はそもそもその考え方自体をやめるべきだと思います。

「累加」とは「〇を△回足す」という考え方で、例えば「5を4回足す」は「5×4=20」と計算されます。

かけ算の本質は、このような「累加」であると捉えている人が多いと思いますが、果たして本当にそう言えるのでしょうか?

例えば、「0.2×0.4」は、0.2を何回足したんですか?

「3の平方根(2分の1乗)」は、3を何回足したんですか?

これらのかけ算は、「〇を△回足す」という「累加」で考えることはできないですよね。

さて、ここで突然ですが、京都大学の数学者望月新一氏が発表した「宇宙際タイヒミュラー理論」という論文をご存じですか?

2012年に公表された論文ですが、あまりに難解で査読に8年もかかったそうで、理解できる数学者は世界に10人くらいしかいないといわれています。

この理論は「ABC予想」という数学にとって極めて重要な予想を解決したとされ、数学史上、微分や積分の発見に匹敵するレベルの画期的な偉業といわれています。

そんな難しそうな「宇宙際タイヒミュラー理論」ですが、その内容は「足し算とかけ算の関係性」という、小学校ですぐ習う初歩的な演算同士の関係性について論じたものとなっています。

言うまでもなく細かい内容は僕もさっぱりわかっていないので、詳しい人から見たらだいぶ頓珍漢なことを言っているかもしれませんが、なんとなくのおおまかな内容を解説します。

この理論では、「かけ算」と「足し算」をそれぞれ別個の「宇宙」と捉え、「かけ算の宇宙」と「足し算の宇宙」との間を行き来する際の矛盾点を解消することを考えているそうです。

ここで、「かけ算」という演算と「足し算」という演算は本質的にまったくの別物であると考えて、それぞれが関連している部分と、関連していない部分を考えてみます。

例えば、因数が自然数である場合は、先に述べたような「〇を△回足す」という「累加」の関係として、「かけ算」と「足し算」との間で関連性を持ちます。

また、対数の場合、例えば「loga+logb=log(ab)」という関係が成り立つため、「かけ算」と「足し算」との間で関連性を持っているといえます。

一方、累乗の和と和の累乗の関係を考えた場合、「a^2+b^2 ≠(a+b)^2」となるため、「二乗する」という操作に「足し算」が加わることで、「かけ算の宇宙」と「足し算の宇宙」がつながらなくなります。

また、2数の和と積のそれぞれの演算の逆を考えた場合、例えば、5と3の積(5×3=15)を素因数分解すると、当然ながら「5×3」または「3×5」となり、それ以外では表すことができません。この場合、元の2数が因数として残っています。しかし、和の場合は元の数が特定できません。例えば、5と3の和(5+3=8)を再び和の形で表すと、「1+7」「2+6」「2.5+5.5」などあらゆる形で表すことができてしまい、元の2数(5と3)が特定できなくなっていまいます。このように、演算結果の逆を考えた場合、かけ算は元の数が残るのに対し、足し算は元の数を特定できなくなってしまうため、「かけ算の宇宙」と「足し算の宇宙」のつながりがなくなってしまいます。

つまり、「かけ算」と「足し算」の関係性というものは複雑怪奇なもので、切り取り方によって相互に関連性のある部分とない部分とがあるのです。

関連性のある部分のうち、我々にとって最もなじみ深く、小学生でも理解できる内容の関連性が「累加」なのです。

しかし、この「累加」という関係性は、「かけ算の宇宙」と「足し算の宇宙」がつながっている部分のうち、たまたま我々が理解しやすい関係性の一種を切り取ったものにすぎません。

「かけ算」と「足し算」の関係性は小学生はおろか、数学者でさえまだほとんどが完全には理解できていないものであり、「かけ算」の本質・定義を「〇を△回足す」という「累加」の関係として捉えるのは、果たして本当に妥当であるといえるのか、疑問が残るところです。

「かけ算」と「足し算」はそれぞれまったく別の演算であることを踏まえて、両者の関連性がある部分のうち最も理解しやすい関係が「累加」だと捉えるべきです。

小学校教育においても、この立場から教育を試みるべきで、「1つ分の数」×「いくつ分」といった「累加」を前提とした順序指導は、かけ算の導入時の理解を助ける場面以外では行うべきではありません。また、テストでの採点時などはもっての外、こんな順序にいちいち固執すべきではありません。

「宇宙際タイヒミュラー理論」は、今後の数学の発展に欠かせない極めて重要な理論になるといわれており、数学の世界を今までにない新たなステージへと導く転換点を迎えようとしているとさえいわれています。

そんな「かけ算」と「足し算」の関係性にまつわる画期的な論文が発表された今もなお「1つ分の数」×「いくつ分」というかけ算の順序にいちいちこだわる採点がなされている体たらくは、あまりにも時代遅れであるといって過言ではないでしょう。

 

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