国内で引渡しを受けたレンタル品を海外で使用する場合の消費税の取扱い

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

海外旅行に行く際に、ポケットWi-Fiをレンタルすることがあるかと思います。

この場合、ポケットWi-Fiの機器のレンタル及び返却は日本国内において行いますが、ポケットWi-Fiを使用するのは海外にいる間となります。

このような場合、消費税は課税されるのでしょうか?

今回は、国内で引渡しを受けたレンタル品を海外で使用する場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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消費税の課税の対象の4要件

消費税は、次の4要件を満たす取引が課税の対象となります。

課税の対象の4要件
① 国内において行うものであること
② 事業者が事業として行うものであること
③ 対価を得て行うものであること
④ 資産の譲渡・貸付け、役務の提供であること

国内で引渡しを受けたレンタル品を海外で使用する場合に消費税の課税対象となるかは、上記の課税の対象の4要件のうち「① 国内において行うものであること」の要件を満たすかどうかがポイントとなります。

 

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資産の貸付けは原則「貸付けの時の資産の所在場所」で判定

課税の対象の4要件のうち「① 国内において行うものであること」の要件を満たすかどうかは、次に定める場所が国内にあるかどうかにより判定を行います。

3 資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。ただし、第三号に掲げる場合において、同号に定める場所がないときは、当該資産の譲渡等は国内以外の地域で行われたものとする。
一 資産の譲渡又は貸付けである場合 当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所(当該資産が船舶、航空機、鉱業権、特許権、著作権、国債証券、株券その他の資産でその所在していた場所が明らかでないものとして政令で定めるものである場合には、政令で定める場所)

上記太字部分のとおり、資産の貸付けが国内取引に該当するかどうかは、その資産の貸付けが行われる時にその資産が所在していた場所が日本国内であるかどうかで判定を行います。

この判定方法によると、海外旅行で使用するポケットWi-Fiのように、国内で引渡しを受けたレンタル品を海外で使用する場合は、「資産の貸付けの時の所在場所」は日本国内となるため、「① 国内において行うものであること」の要件を満たすこととなり、消費税の課税対象となってしまいます。

でもそれって、引き渡しを受けるのは確かに日本国内ですが、使用するのは海外にいる間のみという場合には、日本国内で全く使用していないのに日本の消費税が課されることとなるので、消費税課税主義の観点から考えておかしいと思いませんか?

実は、使用場所が国外に限定されている場合は、上記によらない取り扱いが認められています。

 

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使用場所が国外に特定されている場合は国内取引に該当しない

消費税法基本通達5-7-12において、次のような記載があります。

(貸付けに係る資産の所在場所が変わった場合の内外判定)
5-7-12 資産の貸付けが国内取引に該当するかどうかについては、当該貸付けの時において当該資産が所在していた場所で判定するのであるが、賃貸借に関する契約において貸付けに係る資産(特許権等の無形資産を除く。以下5-7-12において同じ。)の使用場所が特定されている場合で、当該契約に係る当事者間の合意に基づき、当該資産の使用場所を変更した場合には、変更後の当該資産の使用場所が国内にあるかどうかにより当該資産の貸付けが国内において行われたかどうかを改めて判定することとなるのであるから留意する。

この通達によると、使用場所が国外に特定されている場合は、資産の使用場所が国内であるかどうかにより国内取引の判定を改めて行うこととなります。

したがって、海外旅行で使うポケット wi-fi のように資産の使用場所が国外である場合は課税の対象の4要件のうち「① 国内において行うものであること」の要件を満たさないことになり、そのレンタル料は消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

(参考)国内で使用していた資産の使用場所を変更した場合も同様

国内で使用していた資産の使用場所を変更した場合も同様に考えます。

上記の通達では、日本国内で使用し続けていた資産の使用場所を変更して海外に移送した場合などは、その変更後のレンタル料は課税対象外(不課税取引)として取り扱うことができます。

 

まとめ

「資産の貸付け」が国内取引に該当するかどうかは、原則としてその資産の貸付の時における所在場所が日本国内であるかどうかにより判定を行います。

しかし、国内で引渡しを受けたレンタル品であっても、使用場所が国外に特定されている場合は、国内取引に該当しないものとして消費税の課税対象外(不課税取引)として取り扱うことが認められています。

海外旅行で使用するポケットWi-Fiなどのレンタル品は、引き渡しを受けるのが日本国内であっても、使用場所が海外に限定されている場合は、そのレンタル料金は消費税の課税対象外となります。

 

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