簡易課税制度における2以上の事業を行っている場合の区分方法

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

2以上の事業を行っている事業者が、消費税額の計算上簡易課税制度の適用を受ける場合は、課税売上高をそれぞれ事業の種類ごとに区分することとされています。

今回は、具体的にどのような方法で区分すればいいのかについて解説したいと思います。

 

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簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率

簡易課税制度を適用している場合は、各売上を第一種事業から第六種事業までの6種類に分類し、課税売上高に各事業ごとに定められたみなし仕入率を乗じて控除対象仕入税額を計算します。

事業分類とみなし仕入率は、次の表のとおりです。

事業区分 主な業種 みなし仕入率
第一種事業 卸売業 90%
第二種事業 小売業 80%
第三種事業 製造業 70%
第四種事業 その他の事業 60%
第五種事業 サービス業 50%
第六種事業 不動産業 40%

2以上の事業を行う事業者が簡易課税制度の適用を受ける場合は、事業の種類ごとに区分する必要があります。

ただし、区分の程度としては、事業の種類ごとの課税売上高が客観的に見て確認できる状況であれば問題ないため、仕入税額控除の計算上支障がない程度に区分がなされていれば大丈夫です。

 

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具体的な区分方法

簡易課税制度の適用を受ける場合において、事業の種類ごとに区分する方法としては、次のような方法があります。

事業の種類の区分方法
① 帳簿に事業の種類を記載する方法
② 納品書、請求書、売上伝票などの取引の原始帳票等に事業の種類を記載し、その区分ごとの課税売上高を集計して記録する方法
③ レジペーパー等に印字された商品の品番等をもとに事業の種類を区分し、その区分ごとの課税売上高を集計して記録する方法
④ 事業場ごとに一の種類の事業のみを行っている事業者にあっては、当該事業場ごとに区分する方法

① 帳簿に事業の種類を記載する方法

帳簿に事業の種類を記載する方法が最も一般的な方法だと思われます。

昨今は会計ソフトがかなり普及しているため、日々の取引を会計ソフトで記帳している方も多いかと思います。

会計ソフトでは、簡易課税制度を選択している場合、売上高等について事業区分を設定することができるため、記帳の際に設定した事業区分をもとに事業の種類ごとに集計を行って、仕入税額控除の金額を計算します。

② 納品書、請求書、売上伝票などの取引の原始帳票等に事業の種類を記載し、その区分ごとの課税売上高を集計して記録する方法

納品書や請求書、売上伝票の控えなどに事業の種類を記載し、その記載に基づいて事業の種類ごとの課税売上高を計算し、その計算結果の記録を保存することで事業区分を行ってもかまいません。

なお、納品書や請求書、売上伝票の控えなどへの事業区分の記載方法は、記号等による表示であっても、事業の区分が反映するものであれば差し支えありません。

③ レジペーパー等に印字された商品の品番等をもとに事業の種類を区分し、その区分ごとの課税売上高を集計して記録する方法

小売店などの場合は、1日の売上高等をレジで集計した記録(レジペーパーなど)に基づき、商品の品番等を基に事業の種類を区分して、その区分ごとの課税売上高を集計して記録・保存してもかまいません。

④ 事業場ごとに一の種類の事業のみを行っている事業者にあっては、当該事業場ごとに区分する方法

A市の店舗では第二種事業である「小売業」のみ、B市の店舗では第三種事業である「製造業」のみ行っている場合など、業場ごとに一の種類の事業のみを行っている場合は、それぞれの事業場ごとの課税売上高を集計し、記録・保存することにより事業の種類を区分しても構いません。

 

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1種類だけ区分していない場合は差額でOK

2以上の種類の事業を行っている事業者が、1種類だけ事業区分をせず、残りの種類の事業はすべてちゃんと区分している場合は、その事業区分をしていない1種類の事業の課税売上高は、全体の課税売上高からちゃんと区分している事業の課税売上高を引いた差額で求めることが認められています。

例えば、第一種事業、第二種事業及び第三種事業を行っている事業者が、帳簿上、第一種事業と第二種事業に係る課税売上げを区分している場合には、区分していない残りの課税売上げは第三種事業として区分しているものとして取り扱うこととなります。

 

事業区分を行っていない場合は、すべて一番低い事業区分に合わせる

2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。

これは、税額計算上不利になる取り扱いです。ちゃんと区分しないといけないのに、全然していないという場合の取扱いなので当たり前っちゃ当たり前です。

例えば、第一種事業、第二種事業及び第三種事業を行っている事業者が、まったく事業区分を行っていない場合は、すべての課税売上げを、一番みなし仕入率の低い「第三種事業」に該当するものとして仕入税額控除を計算します。

 

(参考)2以上の事業を行っている場合の特例計算

複数の事業を行っている場合には、特定1事業又は特定2事業による控除対象仕入税額の計算方法の特例が設けられています。

この点については、詳しくは次の記事をご覧ください。

 

まとめ

2以上の事業を行っている場合の事業の種類の区分方法には、帳簿に記載する方法の他、納品書、請求書、売上伝票、レジペーパーなどの記載に基づいて区分を行うことも認められています。

また、事業場ごとに一の種類の事業のみを行っている事業者にあっては、当該事業場ごとに区分する方法によってもかまいません。

 

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