利息を明示して貸し付けるリース資産の取得費用の課税仕入れの区分

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

この記事では、リース会社などが、ファイナンス・リース取引により貸し付けるためにコピー機などの備品や機械装置などのリース資産を取得した場合の課税仕入等の区分経理の方法について解説します。

この記事は、リース物件を「借りる側」の話ではなく、「貸す側」(リース会社)の話です。

 

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消費税法上の利息相当額の取り扱いは、契約書に明示されているかどうかで異なる

消費税法基本通達6-3-1において、消費税法上非課税取引とされる利子を対価とする金銭の貸付等の範囲について次のように記載されています。

(金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等)
6-3-1 法別表第二第3号《利子を対価とする貸付金等》の規定においては、おおむね次のものを対価とする資産の貸付け又は役務の提供が非課税となるのであるから留意する。

・・・(中略)・・・

(17) 所法第67 条の2 第3 項《リ-ス取引の範囲》又は法法第64 条の2 第3項《リ-ス取引の範囲》に規定するリース取引でその契約に係るリース料のうち、利子又は保険料相当額(契約において利子又は保険料の額として明示されている部分に限る。)

上記太字部分のとおり、リース契約に係る利息相当額は、契約書に利息相当額が明示されている場合は、非課税売上げとなります。

 

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リース資産の取得価額は課税売上対応?共通対応?

個別対応方式を採用している場合、ファイナンス・リース取引により貸し付けるためのコピー機などの備品や機械装置など(リース資産)の課税仕入れの区分経理はどうなるのでしょうか?

リース契約において利息を明示して貸し付ける場合は、当該利息相当額は非課税売上げとなるため、リース料の受取額(課税売上げ)と受取利息(非課税売上げ)の両方にかかる課税仕入れとして共通対応課税仕入れとなるのでしょうか?

それとも、取得時においては、リース契約で利息が明示されるかどうか分からないため、リース料の受取額(課税売上げ)のみに係る課税仕入れとして課税売上対応課税仕入れとしても良いのでしょうか?

 

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結論:課税売上対応でOK

リース資産の取得費用に係る課税仕入れの個別対応方式における区分について、国税庁が公表している質疑応答事例『利子等を明示した場合のリース資産の仕入税額控除について』で次のように記載されています。

【照会要旨】
 所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース契約に利子等が明示されている場合、消費税法上、課税売上割合が95%未満で個別対応方式を採用する賃貸人(リース会社)は、仕入税額控除の適用に当たって、リース資産の取得費用における課税仕入れに係る消費税額をどのように計算することになりますか。

【回答要旨】
 消費税法上、仕入税額控除の適用に当たっては、個別対応方式を適用する賃貸人は、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース契約に利子等が明示されている場合であっても、リース資産の取得費用における課税仕入れに係る消費税額を課税資産の譲渡等にのみ要するものとして、仕入控除税額を計算することとなります。

(理由)
 消費税法上、仕入控除税額の計算に当たっては、個別対応方式による場合、1課税資産の譲渡等にのみ要するもの、2その他の資産の譲渡等にのみ要するもの、31及び2に共通して要するものに区分して課税仕入れ等に係る税額を計算することとされています(消費税法第30条第2項第1号)。
 所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース契約において利子相当額が明示されている場合には、この取引に係るリース料は、課税取引とされる資産の譲渡に対する対価の額と非課税取引とされる利子相当額を対価とする役務の提供に係る対価の額に区分されることから、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る課税仕入れに係る消費税額を算出する場合には、1から3までの区分を行うこととなります。
  この場合、リース会社における据付工事費及び運賃等も含めたリース資産の取得費用は、非課税取引となる利子相当額を対価とする役務の提供に要する費用ではなく、課税取引とされる資産の譲渡に要する費用の額であることから、仕入税額控除の適用に当たって1に該当するものとして仕入税額控除額を計算することとなります。

【関係法令通達】
 消費税法第30条第2項第1号

上記太字部分の通り、リース資産の取得費用についてはリース契約に利子等が明示されている場合であっても、課税売上対応課税仕入れとして処理してOKということになります。

その理由としては、質疑応答事例の回答文中では書かれていませんが、まず、ファイナンス・リース取引とは、リース資産の貸し手(レッサー)による借り手(レッシ―)に対する「金銭の貸し付け」と、借り手(レッシ―)によるリース資産の購入という「売買取引」の両側面を持っています。

個別対応方式を考える上では、これらの取引はそれぞれ別個のものと考え、リース資産の取得費用及び据付工事費及び運賃等は「売買取引」部分にのみ対応する課税仕入れとして、リース料の受取額(課税売上げ)のみに係る課税売上対応課税仕入れと区分します。

リース契約に係る利息の受取額は、リース取引とは別の「金銭の貸し付け」に伴い生じる非課税売上げとして考えるため、共通対応課税仕入れとする必要はありません。

 

まとめ

所有権移転外ファイナンスリース取引によりリース資産を貸し付ける場合、リース契約において利息相当額を明示されているときは、リース料の受取額(課税売上げ)と受取利息(非課税売上げ)が生じることになります。

しかし、リース取引は「売買取引」と「金銭の貸付け」という2面性を持っており、これらはそれぞれ別個のものとして考えます。

したがって、リース資産の取得費用及び据付工事費及び運賃等は「売買取引」部分にのみ対応するものとして、課税売上対応課税仕入れに区分します。

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
1045 利子等を明示した場合のリース資産の取得費用

 

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