発行した回数券の有効期限が切れた場合の経理処理と消費税の取扱い
andremcenroe / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

スポーツジムやダンス、ヨガなどのスクールを経営している事業者は、ジムの利用料やスクールの受講料として、利用者に対して回数券を発行しているところも多いかと思います。

一般的に、回数券には有効期限が設定されており、有効期限を過ぎてしまったらその回数券は使えなくなります。

では、有効期限を過ぎてしまった回数券に係る売上げの消費税の取扱いはどうなるのでしょうか?

今回は、発行した回数券の有効期限が切れた場合の経理処理と消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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課税資産の譲渡等の時期

消費税において、課税資産の譲渡等がいつ行われたかについては、国税庁のタックスアンサーにおいて次のように記載されています。

消費税の課税資産の譲渡等や課税仕入れの時期は、所得税、法人税の場合と同じように、原則として資産の引渡しやサ-ビスの提供があった時とされています。

したがって、消費税の課税売上げを計上するのは、資産の引渡しやサービスの提供があった時です。

資産の引渡しやサービスの提供を行う前に料金を収受した場合や、資産の引渡しやサービスの提供が行われなかった場合には課税売上げは計上されないこととなります。

 

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回数券を発行した場合

回数券の購入

スポーツジムなどを運営する事業者が利用客に対して回数券を発行して収受した金額は、まだこの時点では資産の譲渡等の対価として収受したものではないため、課税売上げは計上されません。

経理処理上は、回数券を発行して収受した金額は「前受金」として計上します。

数値例
スポーツジムを運営する当社は、利用客に対し10回分の回数券の綴りを5,000円で発行した。
なお、スポーツジムの利用料金は1回につき500円(税込)である。

上記数値例の場合における仕訳は以下のようになります。

回数券発行時の仕訳

 

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回数券が使用された場合

回数券の使用

回数券が使用されてはじめて、スポーツジム施設を利用させるというサービスの提供が行われたことになります。

したがって、回数券が使用された時に課税売上げを計上することになります。

なお、経理処理上は、使用された回数券に係る利用料金を「前受金」勘定から「売上」勘定に振り替えます。

数値例
スポーツジムを運営する当社は、利用客に対し10回分の回数券の綴りを5,000円で発行しており、本日、1回分の回数券が使用された。
なお、スポーツジムの利用料金は1回につき500円(税込)である。

回数券使用時の仕訳

 

回数券の有効期限が切れた場合

有効期限切れ

発行した回数券が使用されることなく有効期限を過ぎてしまい失効した場合は、サービスの提供が行われなかったことになります。

この場合、有効期限が切れた回数券に係る利用料金については、サービスの提供の対価に該当しないため、消費税法上不課税取引となります。

経理処理上は、使用されなかった回数券に係る利用料金は「前受金」勘定から「雑収入」勘定に振り替えますが、当該「雑収入」の金額は不課税売上げとなります。

数値例
スポーツジムを運営する当社は、利用客に対し10回分の回数券の綴りを5,000円で発行していたが、本日、3回分の回数券が使用されることなく有効期限切れとなり失効した。
なお、スポーツジムの利用料金は1回につき500円(税込)である。

回数券の有効期限が切れたときの仕訳

 

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