グループ通算制度を採用している場合の消費税の申告に関する注意点
MichaelGaida / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

法人税の計算においてグループ通算制度を採用している場合は、グループ間の所得金額と欠損金額を損益通算して申告することができます。

では、グループ通算制度を採用している場合は、消費税の計算にどのような影響が生じるのでしょうか?

今回は、グループ通算制度を採用している場合の消費税の申告に関する注意点について解説したいと思います。

 

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グループ通算制度とは

グループ通算制度は、従来の連結納税制度にあった損益通算の仕組みは維持しつつ、法人税の申告・納税は企業グループ内の各企業がそれぞれ個別に行う制度です。

連結納税制度では、企業グループを一つの法人と捉えて親法人が企業グループ全体の法人税の申告・納税をまとめて行うシステムでした。

しかし、負担が多くかかることなどが長く問題視されてきたことから、令和2年度税制改正により連結納税制度が廃止され、完全支配関係のある企業グループの各企業を納税単位として、より業務を簡素化できるグループ通算制度が創設されました。

 

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消費税は単体納付

グループ通算制度を採用している場合であっても、消費税は親会社・子会社がそれぞれ個別に申告します。

したがって、消費税は法人税のように親会社がまとめて申告納付する必要はなく、子会社が連帯納付責任を負うこともありません。

また、納税義務の判定もそれぞれ個別に行うため、親会社が課税事業者であったとしても子会社が免税事業者である場合は、親会社のみが消費税の納税義務を負います。

 

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子会社の課税期間を連結事業年度に合わせる必要がある

法人の課税期間は「事業年度」とされていますが、「事業年度」は法人税法に規定する事業年度をいいます。

法人税法では、グループ通算制度を採用する場合、通算子法人の事業年度は通算親法人の事業年度に合わせることとなり、通算子法人の事業年度は通算グループ加入日でカットされ、通算グループ加入日の前日までの事業年度は事業年度の特例により1事業年度とみなされます

したがって、消費税の課税期間も法人税の事業年度に合わせて、消費税の申告納付を行うことになります。

設例
親会社P社は子会社S社の株式を100%保有しており、×02年4月1日からグループ通算制度の適用を開始した。
なお、P社の事業年度は4月1日から3月31日まで、S社の事業年度は1月1日から12月31日までの1年間である。

グループ通算のタイムテーブル

上記設例の場合、S社の事業年度はP社に合わせることとなるため、×02年1月1日から×02年3月31日(通算グループ加入日の前日)までの期間が事業年度とみなされ、その後は毎期4月1日から3月31日までの通算事業年度に合わせて納付税額を計算することになります。

 

経理方式や計算方式を統一する必要はない

グループ通算制度を採用していたとしても、消費税法上は親会社と子会社は別の人格の法人と考えるため、経理方式や計算方式を統一する必要はありません。

例えば、親会社で税込経理方式を採用している場合に子会社で税抜経理方式を採用してもかまいません。また、親会社が原則課税方式で消費税額の計算をしている場合に子会社で簡易課税制度の適用を受けて消費税額の計算をしても大丈夫です。

 

提出期限の延長の特例はない

通算親法人は、会計監査人の監査により2月以内に決算が確定しない場合等は、税務署長の承認を受けることにより法人税の通算確定申告書の提出期限を2月延長することができます。

しかし、消費税の申告に関しては上記のような提出期限の延長の特例はないため、課税期間の末日の翌日から2月以内に申告書を提出する必要があります。

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
1095 連結納税制度の適用を受けている場合の連結親会社の納税義務
1096 連結納税制度の適用を受けている場合の連結子会社の納税義務

 

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