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最近、キャッシュレス決済が急速に普及しており、事業活動に係る費用をクレジットカードで決済している事業者も多いかと思います。

消費税の計算上、クレジットカードを利用してモノを購入したりサービスの提供を受けた場合にも仕入税額控除の適用を受けることができますが、適用を受けるための要件について勘違いをしている方が非常に多いので注意が必要です。

今回は、クレジットカードで決済した金額について仕入税額控除を受けるための要件について解説したいと思います。

 

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仕入税額控除を受けるためには帳簿及び請求書等の保存が必要

消費税法第30条第7項において、仕入税額控除を受けるための要件として次のような規定を設けています。

第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(中略)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ、特定課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

したがって、仕入税額控除の適用を受けるためには、会計ソフト等に記帳した「帳簿」のほかに、領収書や納品書などの「請求書等」を保存する必要があります。

ただし、購入金額が税込3万円未満である場合は、帳簿に法定事項の記載があれば請求書等の保存は不要です。

 

クレジットカード会社から送られてくる請求明細書は「請求書等」に該当しない

クレジットカードを利用している場合、クレジットカード会社から一定の期間ごとに請求明細書が送られてきますが、この請求明細書は仕入税額控除を受けるために必要な「請求書等」に該当するのでしょうか?

仕入税額控除の適用を受けるために保存が必要な「請求書等」の意義については、消費税法第30条第9項において次のように規定されています。

9 第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。
一 事業者に対し課税資産の譲渡等(中略)を行う他の事業者(中略)が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項(当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項)が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行つた年月日(課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間)
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ 課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

上記太字部分で示したように、「請求書等」は、課税資産の譲渡等を行った事業者が交付したものでなければなりません。

したがって、クレジットカード会社から送られてくる請求明細書は、課税資産の譲渡等を行った事業者が交付するものではないため、「請求書等」に該当しません。

 

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仕入税額控除を受けるためには、課税資産の譲渡等を行った事業者が作成した「ご利用明細」が必要

クレジットカード決済を行った場合の仕入税額控除については、国税庁の質疑応答事例に以下のような記載があります。

【照会要旨】
法人カードを利用している場合には、カード会社から一定期間ごとに請求明細書が交付されますが、この請求明細書は消費税法第30条第9項《仕入税額控除に係る請求書等の記載事項》に規定する請求書等に該当するのでしょうか。

【回答要旨】
クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が作成・交付した書類ではありませんから、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。
しかし、クレジットカードサービスを利用した時には、利用者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者が、「ご利用明細」等を発行しているのが通常です。
この「ご利用明細」等には、1その書類の作成者の氏名又は名称、2課税資産の譲渡等を行った年月日、3課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容、4課税資産の譲渡等の対価の額、5その書類の交付を受ける者の氏名又は名称が記載されていることが一般的であり、そのような書類であれば消費税法第30条第9項に規定する請求書等に該当することになります。

お店でクレジットカードで決済をした場合、通常、利用者に対して「ご利用明細」等が発行されます。

例えば、クレジットカード加盟店でクレジット決済をした場合、領収書とともに以下のような「クレジット売上票」が発行されます。

クレジット売上票

(出典:三井住友カード)

クレジット決済をした場合に仕入税額控除の適用を受けるためには、領収書とともに上記のような課税資産の譲渡等を行った事業者が作成する「ご利用明細」等を保存する必要があります。

 

よくある間違い

上述のとおり、クレジットカード会社から送られてくる請求明細書を保存するだけでは仕入税額控除を受けることができません。

しかし、クレジットカード会社から「利用明細書」という名称で請求金額の一覧表が送られてくることが多いため、クレジットカード会社から送付される「利用明細書」と事業者から交付を受ける「ご利用明細」を混同してしまうことがあります。そのため、クレジットカード会社から送付される「利用明細書」を保存しておけば仕入税額控除を受けられると勘違いしている方が非常に多いです。

明細書の名称にとらわれず、「誰が」発行した書類を保存する必要があるのかを間違えないように把握しておく必要があります。

保存が必要なクレジットのご利用明細

 

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