法人の設立期間中の設備投資や創立費も消費税の課税仕入れにできる
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この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

会社を設立するためには、株主の募集や定款の作成、創立総会の開催、登録免許税の支払いなどの様々な費用が発生します。また、設立登記の前に建物の取得等の設備投資を行うこともあるかと思います。

これらの支出は、法人の設立登記よりも前に支出することになりますが、消費税の計算においては設立第1期の課税仕入れとして処理することができます。

今回は、法人の設立期間中の設備投資や創立費の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

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創立費とは

法人の設立のために要した費用のことを「創立費」といい、会計上は設立日に営業外費用として処理するか、「創立費」として繰延資産として計上し、5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって償却することが認められています。

創立費の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 定款および諸規則作成のための費用
  • 株主募集のための広告費用
  • 株式申込証、株券、目論見書などの印刷費用
  • 創立事務所の賃借料
  • 発起人への報酬
  • 設立事務に使用する使用人の給与
  • 証券会社など金融機関の取扱手数料
  • 創立総会の費用
  • 設立登記の登録免許税

 

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開業費との違い

「創立費」とよく似た勘定科目に「開業費」というものがあります。

「開業費」は開業準備のために要した費用であり、設立登記が完了してから営業を開始する日までの間に支出するものです。

創立費と開業費の違いをタイムテーブルで示すと、以下のようになります。

創立費と開業費の違い

 

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法人の設立期間中の設備投資や創立費の消費税法上の取扱い

「開業費」については、設立第1期事業年度内に支出しているため、「開業費」のうち課税仕入れに該当するものは設立第1期課税期間の課税仕入れとして処理することができます。

これに対し、設立登記前の設備投資や創立費については、設立登記日よりも前に支出しているため、設立第1期課税期間の課税仕入れにはできないのではないかと思う方も多いかもしれません。

しかし、設立期間中の設備投資や創立費の取扱いについては、消費税法基本通達9-6-1において次のような規定があります。

(法人の設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れの帰属)
法人の設立期間中に当該設立中の法人が行った資産の譲渡等及び課税仕入れは、当該法人のその設立後最初の課税期間における資産の譲渡等及び課税仕入れとすることができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れ又は当該法人が個人事業を引継いで設立されたものである場合における当該個人事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れについては、この限りでない。

(注) 本文の取扱いによる場合であっても、当該法人の設立後最初の課税期間の開始の日は、当該法人の設立の日となるのであるから留意する。

したがって、設立期間中の資産の譲渡等及び課税仕入れについては、設立第1期に帰属させることができます。

ただし、設立期間があまりにも長い場合や法人成りした個人事業者から事業を引き継ぐ場合はこのような取扱いはないので注意しましょう。

 

経理処理

法人の設立期間中に設備投資や創立費の支出をしている場合は、設立日において、建物や土地等の固定資産についてはそれぞれの勘定科目で、設立のために要した諸費用は「創立費」として計上します。

当社は、株主から資本金2,000万円の金銭出資を受けて設立された法人である。
設立登記の完了した日は×01年4月1日であり、設立登記前に以下の支出を行っている。
建物取得費用:500万円
土地取得費用:1,000万円
登録免許税等の非課税仕入れ:20万円
創立総会費用等の課税仕入れ:150万円

上記設例の場合の経理処理は以下のようになります。

設立登記日の仕訳

固定資産の取得費用以外の費用は「創立費」として計上します。

会計ソフト等で記帳するときは、「創立費」は課税仕入れとなる金額と課税仕入れに該当しない金額を分けて入力するようにしましょう。

 

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消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
1046 設立期間中に支出した創立費

 

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