他者所有の土地に貸ビルを建設する場合の地代相当額の消費税の取扱い
MichaelGaida / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

消費税法では、貸付期間が1月以上の土地の貸付けは非課税取引とされています。

しかし、他者所有の土地に貸ビルを建設する場合は、地代相当額として支払う賃借料は土地の貸付けの対価には該当せず、非課税とはならないということをご存知でしょうか?

今回は、他者所有の土地に建物を建設する場合の地代相当額の消費税の取扱いについて解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

土地の貸付けは非課税取引

消費税法上、土地の貸付けは非課税取引とされています。

土地(土地の上に存する権利を含む。)の譲渡及び貸付け(一時的に使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)

なお、貸付期間が1月未満の土地の貸付けは非課税とされる土地の貸付けの範囲から除外されます。

(土地の貸付けから除外される場合)
法別表第二第一号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴つて土地が使用される場合とする。

 

スポンサーリンク

貸ビル建設期間中に借主が支払う地代相当額は権利金と同じ扱い

他者所有の土地の上に貸ビルを建設することとし、当該貸ビルを当社が専属的に利用する場合に支払われる建設期間中の地代相当額は、実は土地の貸付けの対価には該当しません。

建設期間中の地代相当額については、国税庁の質疑応答事例において、以下のように記載されています。

【照会要旨】
A社は、B社がB社の所有する土地に建設するビルを専属的に賃借することを条件として、当該ビルの建設期間中に係る地代相当額を支払うこととしました。
この場合、A社がB社に支払う地代相当額は土地賃貸料として非課税となるのでしょうか。

 貸ビル建設期間中に借主が支払う地代相当額の図

【回答要旨】
A社が支払う地代相当額は土地の使用に係る対価ではありませんから非課税とはならず、完成後のビルをA社が専属的に利用することを条件として支払われる金銭であることから、ビル賃貸借契約に係る権利金等と同様の性格を有するものと考えられます。したがって、当該地代相当額は課税の対象となります。
なお、ビルの完成後において土地の地代相当額を支払うこととしても、その土地の使用はビルの賃貸に伴うものであり、非課税となる土地の貸付けには該当しません。

したがって、建設期間中の地代相当額は、土地の貸付けに係る対価ではなく、ビルの賃貸借契約に係る権利金と同様に取り扱います。

なお、権利金の消費税の取り扱いについては、次のように規定されています。

3 権利金、敷金などの取扱い
事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金又は更新料などのうち、返還しないものは、権利の設定の対価となりますので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となり、契約の終了により返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。

建設期間中の地代相当額は返還されるものではないため、消費税の課税仕入れに該当することになります。

 

スポンサーリンク

貸ビル完成後に支払う地代家賃は施設の利用に伴って土地が利用される場合に該当する

では、貸ビルが完成したあとに、土地の所有者に地代を支払った場合は、消費税の取扱いはどうなるでしょうか?

この場合、当該地代相当額は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当します。

(土地付建物等の貸付け)
令第8条《土地の貸付けから除外される場合》の規定により、施設の利用に伴って土地が使用される場合のその土地を使用させる行為は土地の貸付けから除かれるから、例えば、建物、野球場、プール又はテニスコート等の施設の利用が土地の使用を伴うことになるとしても、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれないことに留意する。

したがって、貸ビルの利用に伴って支払われる地代相当額は、非課税とされる土地の貸付けの範囲から除外されるため、消費税の課税仕入れに該当します。

 

まとめ

他者所有の土地に建物を建設する場合の地代相当額の消費税の取扱いについてまとめると、以下のようになります。

貸ビル建設期間中の地代相当額
→ 権利金と同様に取り扱うため課税仕入れ
 
貸ビル完成後の地代相当額
→ 施設の利用に伴って土地が使用されるため課税仕入れ

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
746 建物を専属的に賃借する条件で支払う建設期間に係る地代相当額

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事