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終戦から70年以上が経った今でも、全国各地で太平洋戦争中に米軍が投下したものと見られる不発弾が見つかっています。

つい最近も、福岡で道路工事中に不発弾が見つかり4時間通行止めになるというニュースがありました。

不発弾7発も…北九州、道路工事中に発見 4時間通行止めに

このように不発弾を発見した場合は、安全確保のために周辺を封鎖して交通規制を行い、自衛隊に要請して信管(弾薬の起爆装置)の除去又は爆破処理を行うことになります。

では、法人や個人事業者が所有地内の建設作業現場等で不発弾を発見した場合、処理費用の消費税の取扱いはどうなるのでしょうか?

今回は不発弾処理に係る消費税の適用関係について考察してみたいと思います。

 

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そもそも不発弾の処理費用は誰が負担するのか

「不発弾が見つかりました!」というニュースがあった場合は、近隣の道路を交通規制したり電車の運行をストップし、自衛隊が出動して除去作業にあたるため、不発弾の処理費用は国や地方自治体などの行政機関が負担していると思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、不発弾の処理費用の負担先を規定する法令は存在しないため、「埋蔵物にも地主の所有権が及ぶ」という民法第207条の規定を根拠として、私有地内で見つかった不発弾の処理費用はその土地の所有者が負担することとされているのです。

(土地所有権の範囲)
土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。

これに対し「一切落ち度がない土地所有者が処理費用を負担するのはおかしい!戦後処理の一環として行政が処理責任を負うべきだ!」として大阪市の不動産管理業の男性が国と市に処理費用相当額の支払いを求める訴えを起こしました。

しかし、平成27年の大阪地裁判決で不発弾処理費用は「国民が等しく受忍しなければならない戦争損害」であるとして、請求は棄却されました。

原告は災害対策基本法や自衛隊法、地方自治法などの規定を根拠に行政の処理責任を追及しましたが、地裁は「国や市に不発弾処理や費用を負担する義務を課すものではない」と指摘し、原告側の訴えは退けられることとなったのです。

この判決を受け、吉村洋文大阪市長も、市長としての立場上判決内容に一定の理解を示しつつも「戦争を起こしたのは国。本来なら、不発弾の処理の費用は国が負担すべきではないか」と疑問を呈していました。

色々と納得のいかないところはあるかと思いますが、現状としてはこのような判例があるため、もし運悪く私有地から不発弾が見つかってしまった場合は自腹で処理をしなければなりません。

 

国や市に支払う不発弾処理費用は非課税になるのか

不発弾を処理するためには、自衛隊に爆発物処理業務を依頼するほか、災害対策基本法に基づき安全確保のために周辺を封鎖し、交通整理や警備などの費用を負担する必要があります。

消費税は、国や市などの行政機関に支払う以下の役務の提供に係る手数料については非課税とされています。

(1) 法令に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの

イ 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
ロ 検査、検定、試験、審査及び講習
ハ 証明
ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写
ホ 裁判その他の紛争の処理
ヘ 旅券の発給
ト 裁定、裁決、判定及び決定
チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付、更新、訂正、閲覧及び謄写
リ 審査請求その他これに類するものの処理

(2) 法令に基づいて行われる登録、認定、確認、指定、検査、検定、試験、審査及び講習で法令に手数料等の徴収の根拠となる規定がないもののうち、次に掲げる登録等の手数料等
イ 法令において、弁護士その他の法令に基づく資格を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うための要件とされている登録等
ロ 法令において、輸出その他の行為を行う場合にはその対象となる資産又は使用する資産について登録等を受けることが要件とされている登録等
ハ 法令において、登録等により一定の規格に該当するものとされた資産でなければ一定の規格についての表示を付し、又は一定の名称を使用することができないこととされている登録等
ニ 法令において、登録等を受けることが義務付けられている登録等
ホ 証明、公文書及び公文書に類するものの交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写

(3) 国又は地方公共団体が、法令に基づき行う他の者の徴収すべき料金、賦課金その他これらに類するものの滞納処分について、法令に基づき他の者から徴収する手数料等

(4) 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に規定する独立行政法人等又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律に規定する独立行政法人等のうち法別表第三に掲げる法人以外の法人が独法等情報公開法又は独法等個人情報保護法に基づき徴収する手数料

上記一覧の中には自衛隊出動費用や周辺封鎖に係る交通整理費用などの役務の提供は記載されていないため、不発弾処理に要する費用は、行政機関との取引において作成した公文書に係る手数料などを除いて、おおむね課税仕入れに該当するものと考えられます。

 

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課税仕入れの区分経理はどうなるのか

不発弾の処理費用の区分経理は、発見のきっかけとなった建設作業が何のために行われていたかにより異なります。

例えば、以下のケースの場合の不発弾の処理費用は、建設作業の目的に応じてそれぞれ次のように区分経理します。

① 課税商品の販売用店舗を建造するための建設作業中に不発弾が見つかった場合
 → 課税商品の売上げ(課税売上げ)に対応するため課税売上対応課税仕入れに該当
② 本社ビルの移転作業中に不発弾が見つかった場合
 → 会社業務全体に対応するため共通対応課税仕入れ
③ 居住用賃貸マンションの建設作業中に不発弾が見つかった場合
 → 住宅の貸付け(非課税売上げ)に対応するため非課税売上対応課税仕入れ

 

まとめ

運悪く私有地内から不発弾が見つかってしまった場合は、原則として処理費用は土地所有者が負担しなければなりません。

しかし、自衛隊出動費用や周辺封鎖に係る交通整理費用等の行政機関への支払いは非課税取引に該当しないため、課税仕入れとして処理することができます。

 

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