外国公館等と取引を行う場合の消費税の取引分類と手続き上の注意点
jensjunge / Pixabay

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

平成から令和に時代が変わり、新天皇陛下のご即位を世界各国の在日外国公館大使が祝意を表しました。

外国公館については、このような外交儀礼に関するニュース以外では普段あまり見聞きすることはないかと思いますが、実は、外国公館との間で取引を行うこととなった場合、消費税の計算上注意が必要になるということはご存知でしょうか?

今回は外国公館と取引を行った場合の消費税の取引分類と手続き上の注意点について解説したいと思います。

 

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外国公館等に対する課税資産の譲渡等に係る免税

外国公館等に対して課税資産の譲渡等を行った場合は、租税特別措置法第86条《外国公館等に対する課税資産の譲渡等に係る免税》の規定に基づき、免税取引とされます。

(外国公館等に対する課税資産の譲渡等に係る免税)
事業者が、本邦にある外国の大使館、公使館、領事館その他これらに準ずる機関(以下この条において「大使館等」という。)又は本邦に派遣された外国の大使、公使、領事その他これらに準ずる者(以下この条において「大使等」という。)に対し、課税資産の譲渡等を行つた場合において、当該外国の大使館等又は大使等が、外交、領事その他の任務を遂行するために必要なものとして、政令で定める方法により、当該課税資産の譲渡等に係る資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は当該課税資産の譲渡等に係る役務の提供を受けるときは、当該課税資産の譲渡等については、消費税を免除する。ただし、外国にある本邦の大使館等又は外国に派遣された本邦の大使等が譲り受け、若しくは借り受ける資産又は提供を受ける役務について消費税に類似する租税の免除に制限を付する国の大使館等又は大使等については、相互条件による。

ここで、注意すべきなのは「課税資産の譲渡等」については、消費税を免除するということです。

 

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外国公館等に課税商品を販売した場合

国内において外国公館等に課税商品を販売した場合は、外国公館等に対する「課税資産の譲渡等」であるため、租税特別措置法の規定により消費税の免税取引に該当します。

取引分類図で考えると以下のようになります。

外国公館等に課税商品を販売した場合の取引分類図1

 

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外国公館等に土地や住宅を貸し付けた場合

国内において外国公館等に土地や住宅を貸し付けた場合(いずれも貸付期間1月以上とする)は、外国公館等に対して「課税資産の譲渡等」を行ったことにはなりません。

そのため、租税特別措置法第86条の規定の適用はなく、非課税取引に分類されます。

取引分類図で考えると以下のようになります。

外国公館等に土地や住宅を貸し付けた場合の取引分類図

課税の対象となる取引についての取引分類を考える際は、まず非課税取引に該当するかどうか判断し、非課税取引とならないものについて免税取引に該当するかを判断します。

「外国公館等との取引は免税取引だったような気がするな…」と何となく覚えているだけだと、取引分類を誤ってしまうおそれがあります。

上記取引分類図を頭の中でしっかりイメージできるようにすることが大切です。

 

免税を受けるための手続き

外国公館等に対して免税で取引を行うためには、外務省に『外国公館等に対する消費税免除指定店舗申請書』を提出して消費税免除指定店舗の指定を受けた上、所定の手続に基づいて取引を行い、「外国公館等用免税購入表」等を保存しておく必要があります。

具体的な申請方法等については、国税庁から公表されているパンフレットに記載されています。

これらの手続きを行っていない場合には、免税を受けることができないので注意しましょう。

前項の規定は、同項の課税資産の譲渡等を行つた事業者が、当該外国の大使館等又は大使等が同項に規定する方法により消費税の免除を受けて当該課税資産の譲渡等に係る資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は当該課税資産の譲渡等に係る役務の提供を受けたことを証する書類を、政令で定めるところにより保存しない場合には、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により当該書類を保存することができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

 

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問題番号 タイトル
14 外国公館等に対する製品の販売
127 外国大使館の書記官に対する駐車場の貸付け
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