みなさんは初めて訪れた町で道に迷ったことはありますか?僕はしょっちゅう迷子になります。
特に道路がぐにゃぐにゃ蛇行している場合、自分がどの方角に向かっているのかわからなくなったりしてとても不便ですよね。
実は、僕のような方向音痴のために、地方公共団体が都市計画の一環として「土地区画整理事業」という事業を行っているということをご存知でしょうか?
今回は、土地区画整理事業に伴って「換地処分」という行政処分が行われた場合の消費税の取扱いと会計上の仕訳例について解説したいと思います。
土地区画整理事業とは
「土地区画整理事業」というのは、未整備な市街地または市街地予定地を健全な市街地に造成するため、定められた一定の区域において道路や公園等の公共施設の整備を行うとともに、宅地の区画形状を整える事業です。
簡単に言うと、以下の画像のように、ぐにゃぐにゃに曲がった土地や道路をパキパキにピシッとさせることです。
換地処分とは
「換地処分」とは、土地区画整理事業を行う際に土地区画整理法の規定に基づいて実施される行政処分です。「換地処分」には、2種類の方法があります。
上記のいずれの方法で換地処分を受けるかにより、消費税の課税関係は変わってきます。
権利変換により土地の割り当てを受ける場合
権利変換により換地処分が行われる場合は、土地区画整理法第104条の規定により、換地計画において定められた換地は換地処分公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされることとされています。
法律上、権利変換により取得する換地は従前の土地と何ら変わらないものとして扱われるため、消費税法上も、以前から所有していた土地を相変わらず所有し続けているものとして考えます。
したがって、権利変換により換地を取得したとしても、消費税法上は不課税取引となります。
権利変換により換地を取得した場合は、新たに取得する換地は従前の土地とみなされるため、特に何も仕訳は行いません。
(参考)資産の交換には該当しない
消費税法上、資産を交換した場合の資産の譲渡等の対価の額は、交換により取得する物品の時価(交換差金を受け取る場合はその金額を加算した金額とし、交換差金を支払う場合はその金額を控除した金額)とされています。
ここでいう「資産の交換」というのは、交換資産(譲渡する資産)と交換取得資産(もらう資産)がそれぞれ別物である場合です。
権利変換により土地を取得した場合は、従前の土地と新しい土地を交換したように見えるかもしれませんが、土地区画整理法の規定では、新しい土地も従前の土地とみなすこととされているため、「資産の交換」には該当せず不課税取引となります。
したがって、従前の土地の換地指定時の時価を非課税売上げとして計上する必要はなく、土地の帳簿価額は従前の土地の金額は引き継ぎます。
(注)「みなす」という表現は、ある事柄について,他の性質の異なる事柄と法律上同一視し,同一の法律効果を生じさせることを意味します。
清算金の交付を受ける場合
土地区画整理法第90条の規定による換地不交付の申出を行うことにより、換地の交付を受けることに代えて、清算金の交付を受けることもできます。
土地区画整理事業の換地処分により取得する清算金は、課税上、換地処分により譲渡した資産の対価とされます。
したがって、交付を受けた清算金は、土地の譲渡対価として収受するものであるため、消費税法上、非課税売上げとして計上することになります。
この場合、土地を3,000万円で譲渡したものと考えるため、仕訳は以下のようになります。
まとめ
土地区画整理事業に伴い換地処分された場合の消費税の課税関係は、以下のようになります。
なお、「換地処分」と似た雰囲気の言葉で「強制換価手続」というものがあります。(まったく内容は異なるものですが、何となく名前の雰囲気が似ているため、勉強を始めたばかりの頃はよく混同していました。)
「強制換価手続」が行われた場合の消費税の取扱いについては、以下の記事で解説していますので、もし興味があれば是非ご一読くださいませ。
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問題番号 | タイトル |
440 | 土地区画整理法の換地処分により取得した清算金 |
488 | 土地区画整理法の換地処分による権利変換 |