領収書や契約書を作成する際は、収入印紙の貼り付けが必要になる場合があります。
実は、収入印紙は購入する場所によって消費税がかかる場合とかからない場合とがあることをご存知でしょうか?
今回は、コンビニや金券ショップなどで収入印紙を購入した場合の消費税の取扱いについて解説したいと思います。
収入印紙とは
収入印紙は、見た目は切手のような形状をしていますが、収入印紙は印紙税という税金を払うために用いられる証書です。
購入した収入印紙を契約書や領収書に貼り付け、その収入印紙に押印(消印)することにより印紙税を支払ったことになります。
契約書や領収書を作るだけなのに印紙税が課される理由は、契約書などの文書が作成される場合には、その取引に伴って生じる経済的利益があると推定されるからです。文書作成の背景にある経済取引に担税力があるとして、課税が行われているのです
収入印紙の譲渡は原則として非課税
収入印紙の譲渡は、原則として消費税は非課税とされています。
2 主な非課税取引
・・・(中略)・・・
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
収入印紙の購入という行為は、印紙税を支払うために行われるものであるため、 これに消費税を課すことは、消費税という税の性格に馴染みません。したがって収入印紙の購入は、消費税法上非課税取引とされているのです。
ただし、この取扱いは「印紙の売渡し場所」において収入印紙を購入した場合に限られます。
「印紙の売渡し場所」とは、郵便局や法務局、正式に販売委託を受けたコンビニエンスストアやタバコ屋などが該当します。
「郵便切手類販売所」や「印紙売りさばき所」ということもあります。
セブンイレブンやファミリーマート、ローソンなどの大手のコンビニはたいていは「印紙の売渡し場所」に該当します。
したがって、郵便局や法務局、コンビニなどで収入印紙を購入した場合は、消費税は非課税となります。
なお、金券ショップなどの「印紙の売渡し場所」に該当しない場所で収入印紙を購入した場合は、消費税は非課税となりません。
郵便局や法務局、コンビニなどで収入印紙を購入した場合の仕訳例
郵便局や法務局、コンビニなどで収入印紙を購入した場合は消費税は非課税とされるため、その購入金額は非課税仕入れとなります。
具体例をもとに、会計処理を見てみましょう。
原則処理
原則として、購入時は「貯蔵品」勘定で計上し、使用時に「租税公課」勘定に振り替えます。
例外処理
継続適用を要件に、購入時に「租税公課」として処理することもできます。この場合、「租税公課」は不課税仕入れとして処理します。なお、非課税仕入れとして処理しても不課税仕入れとして処理しても消費税額の計算に影響はないため、実務的にはどちらでも構いません。
金券ショップなどで収入印紙を購入した場合の仕訳例
金券ショップなどの「印紙の売渡し場所」に該当しない場所で収入印紙を購入した場合は消費税は非課税とされないため、その購入金額は課税仕入れとして処理します。
具体例をもとに、会計処理を見てみましょう。
原則処理
原則として、購入時は「貯蔵品」勘定で計上し、使用時に「租税公課」勘定に振り替えます。仕訳を行う際は、「貯蔵品」勘定を課税仕入れとして計上し、「租税公課」は不課税仕入れとします。
例外処理
継続適用を要件に、購入時に「租税公課」として処理することもできます。この場合、「租税公課」を課税仕入れとして処理します。「租税公課」勘定を課税仕入れとして計上するのは少し違和感があるかもしれませんが、摘要欄に金券ショップで購入したことを明記しておき、購入時のレシートをちゃんと取っておけば問題ありません。
どうしても気持ち悪いと思う方は上記の原則処理を採用しましょう。
(参考)例外処理の根拠
消費税法基本通達11-3-7において、切手や収入印紙などの郵便切手類の課税仕入れの取扱いについて、以下のような記載があります。
(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)
法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。
収入印紙は金券ショップで買う方が有利?
郵便局や法務局、コンビニなどの「印紙の売渡し場所」で販売されている収入印紙は、財務省から仕入れたものであるため割引販売されることはありません。
しかし、金券ショップは、一般消費者や企業から未使用の収入印紙を安く仕入れているため、額面よりも安く販売されていることが多いです。
また、金券ショップで収入印紙を購入する場合はその購入金額を課税仕入れとして処理できるため、仕入税額控除を受けることもできます。
したがって、収入印紙は金券ショップで買う方が安く買える上に節税にもつながるため有利であると言えます。
ただし、金券ショップでは店頭在庫に限りがあり、収入印紙を大量に購入できないというデメリットがあります。また、金券ショップでは、ごくまれにですが収入印紙の偽造品が出回ることもあるため、そのような偽造品を買ってしまうリスクも考えると、必ずしも「収入印紙は金券ショップで買う方が絶対に良い」とは言い切れません。
まとめ
郵便局や法務局、コンビニなどの「印紙の売渡し場所」で収入印紙を購入する場合は消費税は非課税とされますが、金券ショップなどの「印紙の売渡し場所」に該当しない場所で収入印紙を購入する場合は消費税は非課税とされません。
金券ショップでは額面より安く購入できるうえに仕入税額控除を受けられるというメリットがありますが、大量に購入できない場合があったり、ごくまれに偽造品を購入してしまうリスクがある点に注意しましょう。
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