令和2年4月30日に成立した「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」の規定により、新型コロナウイルス感染症及びその蔓延防止のための措置の影響を受けている事業者に対して、消費税の届出等に関する特例が設けられることとなりました。

今回は新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている事業者に対する消費税法上の特例について解説したいと思います。

なお、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下「新型コロナ税特法」といいます。)の条文のについては、以下の記事で見やすいレイアウトにして掲載しています。

実際の条文を参照されたい方は是非こちらもご覧ください!↓

 

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特例の対象となる事業者

新型コロナ税特法の施行日(令和2年4月30日)以後に申告期限が到来する課税期間において、新型コロナウイルス感染症等の影響により令和2年2月1日から令和3年1月31日までの期間のうち、任意の連続した1か月以上の期間(調査期間)の事業としての収入金額が、前年の同期比と比べて著しく(概ね50%以上)減少している事業者の方はこの特例の対象となります。

比較する期間は、持続化給付金のように同月比で比較するのではなく、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの期間のうち1か月以上の期間であればどこでもいいため、例えば、令和2年5月15日から令和2年6月25日までの期間の収入金額が、令和元年5月15日から令和元年6月25日までの期間の収入金額と比べて概ね50%以上減少している場合はこの特例の対象となります。

なお、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む 課税期間のことを「特定課税期間」といいます。(前年等の売上高による納税義務の免除の特例の「特定期間」と名称は似ていますが全く異なるので注意しましょう。)

新型コロナウイルス感染症等の影響により収入が著しく減少している場合の図

特例の対象となるかどうかを判定する際の「収入金額」の計算に当たっては、事業者の事業上の売上その他の経常的な収入の額を含めますが、持続化給付金や休業協力金などの各種給付金など臨時的な収入は含めません。

また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、事業者が収入すべき対価の額を減免又は猶予した場合のその減免額又は猶予額についても「収入金額」に含めません。例えば、不動産賃貸人が政府の要請に基づき賃借人が支払うべき賃料の支払を猶予していると認められる場合、「収入金額」の計算に当たっては、調査期間における賃料収入に計上される額からその猶予額を控除します。

なお、事業開始1年未満であることにより、前年同時期との比較ができない場合は、令和2年1月以前で調査期間の収入金額と比較する期間として適当と認められる期間を比較対象として差し支えありません。また、年間収入しか集計していない場合など、調査期間に対応する期間の収入金額が不明な場合は、調査期間の直前1年間の収入金額を 12 で除し(平均収入)、これを割り当てる方法その他適当な方法により算定した金額を比較対象として差し支えありません。

 

消費税の課税選択の変更に係る特例

特例対象事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間(新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間)以後の課税期間について、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又は選択をやめる)ことができます。

この特例の承認を受けようとする場合は、「新型コロナ税特法第10条第1項(第3項)の規定に基づく課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」に「新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があったことを確認できる書類」を添付して、課税事業者選択(不適用)届出書と併せて、次の期限までに納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

添付する書類は、損益計算書、月次試算表、売上帳、現金出納帳、預金通帳のコピーなどで、調査期間と調査期間に対応する期間の事業としての収入の金額が確認できる書類です。

申請期限
① 課税事業者を選択する場合
  特定課税期間の末日の翌日から2月以内(※1)
 
② 課税事業者の選択をやめる場合
  特定課税期間の確定申告書の提出期限(※2)(※3)

(※1)個人事業者の 12 月 31 日の属する課税期間である場合には 3 月以内となります。なお、国税通則法第 11 条の規定の適用により、この承認申請の期限を延長することができます。

(※2)国税通則法第 11 条の規定の適用により申告期限の延長を受けている場合にはその延長された期限となります。

(※3)「特定課税期間」から課税事業者の選択をやめる場合及び「特定課税期間の末日が課税事業者選択届出書の提出により課税事業者となった課税期間の初日以後2年を経過する日(2年経過日)以後に到来する場合でその特定課税期間の翌課税期間以後の課税期間」から課税事業者の選択をやめる場合の期限です。これ以外の場合には、「2年経過日の属する課税期間の末日」と「課税事業者の選択をやめようとする課税期間の末日」とのいずれか早い日となります。

特例対象事業者が、特定課税期間以降の課税期間について課税事業者の選択をしようとする(又はやめようとする)ことが必要となった場合において、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、課税事業者選択(不適用)届出書をその適用を受けようとする(又は受けることをやめようとする)課税期間の初日の前日に納税地の所轄税務署長に提出したものとみなされます。

また、課税事業者を選択した事業者が、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産を取得し、その取得した課税期間の確定申告を原則課税方式で行う場合には、その仕入れ等を行った日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日まで、課税事業者選択不適用届出書を提出することができませんが、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた特例対象事業者にはこの提出制限は適用されず、この特例により納税義務が免除されないこととなる特定課税期間以後の課税期間から課税事業者選択不適用届出書を提出をすることができます。

さらに、特例対象事業者が特例承認により課税事業者選択届出書を提出したものとみなされた場合は、課税事業者を2年間継続適用する必要はありません。

 

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事業者免税点制度の適用制限の解除

新設法人や特定新規設立法人が基準期間のない事業年度中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合、原則課税の課税事業者が高額特定資産の仕入れ等を行った場合又は高額特定資産である棚卸資産等について調整措置の適用を受けた場合は、3年間納税義務が免除されないこととされていますが、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた特例対象事業者はこれらの制限が解除されます。

この特例の承認を受けようとする場合は、「新型コロナ税特法第10条第4項から第6項の規定に基づく納税義務の免除の特例不適用承認申請書」に「新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があったことを確認できる書類」を添付して、課税事業者選択(不適用)届出書と併せて、次の期限までに納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

添付する書類は、損益計算書、月次試算表、売上帳、現金出納帳、預金通帳のコピーなどで、調査期間と調査期間に対応する期間の事業としての収入の金額が確認できる書類です。

申請期限
① 新設法人等が基準期間の事業年度中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合
 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」(※)と「基準期間のない事業年度のうち、最後の事業年度終了の日」とのいずれか遅い日
② 高額特定資産の仕入れ等を行った場合
 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」(※)と「高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日

③ 高額特定資産である棚卸資産等について調整措置の適用を受けた場合
 「特定課税期間の確定申告書の提出期限」(※)と「棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった日の属する課税期間の末日」とのいずれか遅い日

(※)国税通則法第11条の規定により申告期限の延長を受けている場合にはその延長された期限となります。

 

簡易課税制度の適用に関する特例について

簡易課税制度の適用に関しては、新型コロナ税特法では特例は設けられていません。

ただし、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた事業者が、通常の業務体制の維持が難しく事務処理能力が低下したため簡易課税へ変更したい場合や感染拡大防止のために緊急な課税仕入れが生じたため原則課税に変更したい場合は、消費税法第37条の2《災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合の特例》の規定により、納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより、課税期間開始後であっても、簡易課税制度を選択する(又は選択をやめる)ことができます。

この場合、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内に「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

 

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