家庭から出る粗大ごみや事業系のごみを処理する際は、自治体のゴミ処理券をコンビニなどで買う必要があります。
このゴミ処理券の購入費用には消費税は含まれているのでしょうか?自治体に支払う手数料だから消費税は非課税になるんじゃないの?と思う方も多いと思います。
今回は、有料のごみ処理券の購入費に消費税は課されるのかどうかについて、具体的な経理処理をもとに解説したいと思います。
ゴミ処理券とは
家庭から排出される粗大ごみ(家具や自転車、布団などの大きなものや、家電製品など小さくても燃やす前に砕かなくてはならないもの)や事業活動に伴って排出されるごみ(事業系ごみ)を捨てるためには、「ごみ処理券」を購入し、ゴミにシールを貼り付けて排出する必要があります。
ごみ処理券は以下の画像のような券で、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの取扱店、又は自治体の清掃事務所で購入することができます。
ゴミ処理料金は非課税とされる行政手数料には該当しない
国や地方公共団体等が法令に基づいて行う一定の事務に係るサービスの手数料は、消費税が非課税とされています。
ただし、国や地方公共団体等が行うサービスの手数料なら何でもすべて非課税とされるわけではなく、非課税とされる一定の事務については、以下の通り限定列挙されています。(長いので軽く読み流してください。)
(非課税となる行政手数料等の範囲等)
6-5-1 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が徴収する手数料等で法別表第二第5号イ及びロ《国、地方公共団体等が行う役務の提供》の規定により非課税となるのは、次のものであるから留意する。(平14課消1-12、平17課消1-22、平28課消1-57、平30課消2-5により改正)(1) 法令(法律、政令、省令又は大臣告示のほか条例及び規則を含み、業務方法書又は定款等は含まない。以下6-5-2までにおいて同じ。)に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金(以下6-5-1において「手数料等」という。)で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの
イ 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
ロ 検査、検定、試験、審査及び講習(令第12条第1項第1号イからニまで《非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供》に掲げる事務のいずれにも該当しないものを除く。)
ハ 証明(令第12条第1項第2号《非課税となる国、地方公共団体等の役務の提供》に掲げるものを除く。)
ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第2号に掲げるものを除く。)
ホ 裁判その他の紛争の処理
ヘ 旅券の発給(旅券法第20条第1項《手数料》に掲げる渡航先の追加、記載事項の訂正、再発給、旅券の合冊又は査証欄の増補及び渡航書の発給を含む。)
ト 裁定、裁決、判定及び決定
チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第1号に掲げる事務に係るものを除く。)
リ 審査請求その他これに類するものの処理(2) 法令に基づいて行われる登録、認定、確認、指定、検査、検定、試験、審査及び講習(以下6-5-1において「登録等」という。)で法令に手数料等の徴収の根拠となる規定がないもののうち、次に掲げる登録等の手数料等
イ 法令において、弁護士その他の法令に基づく資格を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うための要件とされている登録等
(注) 1 「資格」とは、法令において、その資格を有しない者はその資格に係る業務若しくは行為を行うこと若しくはその資格に係る名称を使用することができないこととされていること又は一定の場合にはその資格を有する者を使用すること若しくはその資格を有する者にその資格に係る行為を依頼することが義務付けられている場合のその資格をいう。
2 「要件とされている」とは、登録等に係る役務の提供を受けない場合には、その資格が取得できない若しくは維持できない又はその資格に係る業務若しくは行為を行うことができない場合をいう。
ロ 法令において、輸出その他の行為を行う場合にはその対象となる資産又は使用する資産について登録等を受けることが要件とされている登録等
ハ 法令において、登録等により一定の規格に該当するものとされた資産でなければ一定の規格についての表示を付し、又は一定の名称を使用することができないこととされている登録等
ニ 法令において、登録等を受けることが義務付けられている登録等
ホ 証明、公文書及び公文書に類するものの交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(イからニまでに該当しない登録等に係るものを除く。)(3) 国又は地方公共団体が、法令に基づき行う他の者の徴収すべき料金、賦課金その他これらに類するものの滞納処分について、法令に基づき他の者から徴収する手数料等
(4) 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下6-5-1において「独法等情報公開法」という。)第2条第1項《定義》に規定する独立行政法人等又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下6-5-1において「独法等個人情報保護法」という。)第2条第1項《定義》に規定する独立行政法人等のうち法別表第三に掲げる法人以外の法人が独法等情報公開法第17条第1項《手数料》又は独法等個人情報保護法第26条第1項《手数料》若しくは第44条の13第1項《手数料》に基づき徴収する手数料
(注) 法別表第三に掲げる法人が独法等情報公開法第17条第1項《手数料》又は独法等個人情報保護法第26条第1項《手数料》若しくは第44条の13第1項《手数料》に基づき徴収する手数料は(1)ニ又はチに該当する。
「ゴミ処理」については、上記限定列挙されているものののいずれにも該当しないため、非課税とはされません。
ゴミ処理が非課税とされていないのは、ごみ処理業務は国や地方公共団体にしかできない業務ではなく、他の民間事業者も行うことができるため、民間事業者に不利な競争を強いることがないように自治体が行うごみ処理業務の手数料にも消費税が課されることとされています。
ごみ処理券は「物品切手等」に該当する
消費税法上、ごみ処理券は「物品切手等」に該当します。
「物品切手等」とは、物品の給付、貸付け又は役務の提供に係る請求権を表彰する証書をいい、消費税法基本通達6-4-3において、次のように規定されています。
(請求権を表彰する証書の意義)
法別表第二第4号ハ《物品切手等の譲渡》及び令第11条《物品切手に類するものの範囲》に規定する「請求権を表彰する証書」とは、証書の所持人に対してその作成者又は給付義務者がこれと引換えに一定の物品の給付若しくは貸付け又は特定の役務の提供をすることを約する証書をいい、記名式であるかどうか、又は当該証書の作成者と給付義務者とが同一であるかどうかを問わない。
(注) 資産の寄託者が倉庫業者あてに作成する出荷依頼書等又はこれらに類する文書は、物品切手等に該当しない。
ごみ処理券は、それと引き換えにゴミの回収という役務の提供を受けることができる「請求権を表彰する証書」であるため、「物品切手等」に該当します。
ごみ処理券を購入した時点ではまだ役務の提供を受けていないため、原則として購入時は非課税とされ、使用時に課税されることになります。
ただし、毎期継続適用を要件に、ゴミ処理券を購入した時点で課税仕入れとして計上することができます。
(原則)使用時に課税仕入れとする場合の経理処理
ごみ処理券は「物品切手等」に該当するため、原則として購入した時点では非課税仕入れとなります。
ごみ処理券が使用されるまでは「貯蔵品」などの資産の勘定科目で計上しておきます。
ゴミ処理券を使用し、ゴミを回収してもらった時点で役務の提供が行われたことになるため、この時点で課税仕入れを計上します。
仕訳上は、「貯蔵品」から「雑費」などの費用の勘定科目に振り替えます。
なお、期末に未使用分のごみ処理券が残っている場合の仕訳については、次の記事のレターパックの取り扱いと同様になります。
(例外)購入時に課税仕入れとする場合の経理処理
ごみ処理券は「物品切手等」に該当するため、原則として購入した時点では非課税仕入れとなりますが、毎期継続適用要件に購入時に課税仕入れとして計上することができます。
この場合、実際に使用したときは何も仕訳は行いません。
(参考)破砕工場へごみを自己搬入した場合の廃棄処理手数料も課税
粗大ごみや回収袋に入らないような大きなごみなどを、破砕工場に自己搬入して廃棄処理してもらうこともできます。
この場合の廃棄処理手数料についても、非課税とされる一定の事務に係る行政手数料には該当しないため、消費税が課税されます。
まとめ
ごみ処理券の購入費用は、非課税とされる行政手数料には該当しないため、消費税が課税されます。
ごみ処理券は「物品切手等」に該当するため、原則として購入時は非課税となり使用した時点で課税されますが、例外処理として毎期継続適用を要件に購入時に課税仕入として計上することができます。
購入時に課税仕入れとして計上する方が経理上圧倒的に楽なので、例外処理を採用するほうがオススメです。
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