建設業界の安全協力会費・安全活動費の消費税の区分は課税?不課税?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

建設会社の帳簿では、安全協力会費(または安全活動費)という業界特有の費用が計上されています。

今回は、建設業界における安全協力会費・安全活動費が消費税の課税仕入れとなるのかどうかについて解説したいと思います。

 

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安全協力会費・安全活動費とは

安全協力会費・安全活動費とは、安全に工事を行うために協力会社や下請会社などに事故の予防のための注意喚起を促す目的で作られた会に対して支払う会費です。

会社によって活動内容は異なりますが、定期的に集まって大会や委員会を開催し、安全策に関する協力会社からの要望や事務局からの要望などを出し合ったり、具体的な事故・災害事例を紹介して労働災害の未然防止と労働者の安全衛生意識の向上を図る活動を行っています。

また、衛生週間や安全週間にはポスターやチラシ、記念品の配布などが行われます。

安全協力会費・安全活動費として徴収された金額は、これらの活動の費用や懇親会の開催費用などに充てられています。

 

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安全協力会費・安全活動費は、一般的には課税対象外(不課税)となる

先に結論を書いてしまうと、安全協力会費・安全活動費の支払いは、一般的には消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

しかし、安全協力会の活動内容によっては、消費税の課税仕入れとなることがあります。

以下、どのような場合に安全協力会費・安全活動費が消費税の課税仕入れとなるのかについて解説します。

 

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会費に係る消費税区分の考え方

国税庁が公表しているタックスアンサーNo.6467『会費や入会金の仕入税額控除』において会費や入会金の消費税の取扱いについて記載されているため、少し長文ですが引用します。

 同業者団体や組合などに支払う会費や組合費などが課税仕入れになるかどうかは、その団体から受ける役務の提供などと支払う会費などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
したがって、セミナーや講座などの会費は、講義や講演の役務の提供などの対価ですから課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象になります。
対価性があるかどうかの判定が困難なものについては、その会費などを支払う事業者とその会費などを受ける同業者団体や組合などの双方が、その会費などを役務の提供や資産の譲渡等の対価に当たらないものとして継続して処理している場合はその処理が認められます。なお、この場合には、同業者団体や組合などは、その旨をその構成員に通知するものとされています。
また、その団体の業務運営に必要な通常会費については、一般的には対価関係がありませんので、同業者団体や組合などは資産の譲渡等の対価に当たらないものとして取り扱って差し支えないこととされており、この場合には、その構成員においてはその通常会費は課税仕入れとならず、仕入税額控除の対象になりません。
さらに、同業者団体や組合などに支払う入会金も、役務の提供などとの間に明らかな対価関係があるかどうかによって判定します。
したがって、ゴルフクラブ、宿泊施設、体育施設、遊戯施設その他のレジャー施設を利用するための会員となる入会金は、役務の提供などとの間に明らかな対価関係がありますから、課税仕入れになります。
なお、この場合の入会金は、脱退などに際し返還されないものに限られます。

安全協力会費・安全活動費が消費税の課税対象となるかどうかは「安全協力会から受けた役務提供等の明白な対価といえるか」「安全協力会が消費税の課税対象外となることを通知しているか」がポイントとなります。

 

明白な対価関係がある場合は課税仕入れ

安全協力会から何かしらの役務の提供等を受け、安全協力会費・安全活動費とその役務の提供等との間に明白な対価関係があると認めらる場合は、安全協力会費・安全活動費は課税仕入れとなります。

例えば、安全協力会で定期的にセミナー講師を呼んで、協力会社の従業員が講習を受けていたり、事故防止のための研修・技術指導などが行われており、安全協力会費・安全活動費がそれらの研修の対価として支払っていると認められる場合は課税仕入れとなります。

また、安全協力会から安全な工事を行うため必要なヘルメットなどの工具・器具・備品や消耗品、機械装置等の提供を受けており、安全協力会費・安全活動費がそれらの資産の提供を受けたことに対する対価として支払っていると認められる場合は課税仕入れとなります。

なお、ちょっとしたポスターやチラシ、記念品などをもらっているだけでは、明白な対価性があるとは言えないため課税仕入れとはなりません。

 

対価性が不明な場合、安全協力会が「課税対象外」と通知しているときは不課税

安全協力会で研修を受けていたり、備品等の資産の提供を受けている場合であっても、安全協力会費・安全活動費として支払っている金額に見合うだけのものとはいえず、役務の提供等の対価と言えるか微妙で判断が難しい場合があります。

そのような、対価性があるかどうか不明な場合は、安全協力会がハガキやメール、ホームページなどで「当会の安全協力会費・安全活動費は消費税の課税対象外として扱っています。」と通知し、安全協力会も協力会社もお互いに課税対象外(不課税取引)として経理している場合は、その取り扱いが認められます。

安全協力会費・安全活動費に対価性があるかどうか不明な場合は、安全協力会に問い合わせて確認するようにしましょう。

 

まとめ

建設業界における安全協力会費・安全活動費は、一般的には、安全協力会の業務運営に必要な通常会費であり対価性が認められないため、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

しかし、安全協力会から受けた研修や備品等に対する明白な対価関係が認められる場合は課税仕入れとなります。

対価性があるかどうか不明な場合に、安全協力会が会員に対して「消費税の課税対象外です」と通知している場合は、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。

 

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