駐車場施設として貸し出されている土地の多くは、地面がアスファルトで舗装されています。
このように、アスファルトで舗装されている土地を貸し付けた場合は、消費税法上非課税取引とされる「土地の貸付け」の範囲に含まれるのでしょうか?
土地の貸付けは非課税取引
消費税法の規定では、国内で行われるモノやサービスの提供のうち、消費税法別表第二に限定列挙されている次の17項目の取引には消費税を課さないこととされています。
(2) 有価証券等の譲渡
(3) 支払手段の譲渡
(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
(10) 介護保険サービスの提供
(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供
(12) 助産
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(15) 学校教育
(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け
土地は使用や時間の経過によって摩耗・消耗するものではなく、消費に負担を求める税である消費税の性格に馴染まないため、非課税取引とされています。
施設の利用に伴って土地が使用される場合は課税される
土地の貸付けは原則として非課税取引とされますが、例外として、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」は非課税取引とされません。
土地の施行を伴う取引であっても、駐車場という施設の利用に伴って土地が使用される場合には、駐車場という施設の貸付け又は車両の管理という役務の提供について消費を観念することができるから、非課税とされる「土地の貸付け」の範囲から除外され、課税の対象取引とされています。
まったく何も整備されていない更地を貸し付ける場合であれば、非課税取引となります。
アスファルト舗装された土地の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当する
国税庁のタックスアンサーNo.6213『駐車場の使用料など』において、次のような記載があります。
2 駐車場、野球場等の貸付け
駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は、消費税の課税の対象になります。
したがって、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税の課税の対象となります。
このほか、建物や野球場、プール又はテニスコートなどの施設の利用に伴って土地が使用される場合も消費税の課税の対象となります。
土地をアスファルトで舗装することは上記の「地面の整備」に該当するため、アスファルトで整備された土地の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、課税取引となります。
なお、上記のタックスアンサーでは「駐車場として」地面が整備されている場合について記載されていますが、「じゃあ駐車場以外の使用用途だったら、アスファルト舗装されていても非課税になるのか?」というと、そうではありません。
あくまでも「駐車場として」というのはアスファルト舗装された土地の使用用途の一例であり、この他にも、資材置き場としての使用用途だったり、歩行者用通路、雑草の繁殖防止目的などでも、その目的を達成するためにアスファルト舗装が使用されているのであれば「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するため課税対象となります。
(参考)青空駐車場の貸付けも「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当する
アスファルトで舗装されていない、砂利を敷き詰めたりロープで駐車スペースの区画がされているだけの青空駐車場を貸し付けた場合も「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し課税取引となります。
この点については、詳しくは次の記事をご覧ください。
更地を貸付け、相手方においてアスファルト舗装をしたのであれば非課税取引
土地の貸付けをする時点においてその時点が更地で、賃借人が更地の土地の上にアスファルト舗装をしたのであれば「施設の利用に伴って土地が使用される場合」には該当せず、非課税取引となります。
貸付けをする時点においてすでにアスファルト舗装がされている土地を貸し付けた場合は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し課税取引となります。
(参考)投資目的等のまったく使用しない土地なら、アスファルト舗装されていても非課税となる
土地の貸付けが課税取引とされるのは、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」です。
土地の上に車を停めたり、資材を置いたり、歩行者が歩いたりなどする場合は、土地が「使用」されているため、そのためにアスファルト舗装などの施設が利用されている場合は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するため課税取引となります。
しかし、土地を貸し付けたものの何らかの事情でその土地がまったく使われていない場合は、その土地にアスファルト舗装などの施設が設置されていたとしても、土地が使用されていない以上は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当しません。
この場合は、アスファルト舗装などの施設が設置されていたとしても、通常の土地の貸付けと同様、非課税取引に該当することになります。
ただし、土地が実際に使用されていなかったことやなぜ使用されていなかったなどの事実や理由を客観的に証明できるようにしておく必要があります。
まとめ
土地の貸付けは原則として非課税取引とされていますが、アスファルトで舗装された土地を貸し付ける場合は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するため課税取引となります。
ただし、更地の土地を貸付けて賃借人においてアスファルト舗装などの施設を設置する場合は非課税取引とされます。
また、アスファルト舗装などの施設が設置されている場合であっても何らかの事情で土地が全く使用されていない場合は、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当せず非課税取引とされます。
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