砂利を敷き詰めたりロープで区画された青空駐車場の貸付けは非課税?

この記事の内容は、2025年1月現在の最新の税制に対応しています。

前回書いた記事では、アスファルトで舗装された土地の貸付けは「施設利用に伴って土地が使用される場合」に該当するため、課税取引となるということを解説しました。

今回は、アスファルト舗装もされておらず、砂利を敷き詰め、ロープで区画しただけの土地(いわゆる「青空駐車場」)を貸し付けた場合は非課税取引となるのかについて解説したいと思います。

 

スポンサーリンク

更地を貸し付けた場合は非課税取引

「土地の貸付け」は、消費税法上、非課税取引とされています。

ただし、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」については課税取引とされています。

(土地付建物等の貸付け)
6-1-5 令第8条《土地の貸付けから除外される場合》の規定により、施設の利用に伴って土地が使用される場合のその土地を使用させる行為は土地の貸付けから除かれるから、例えば、建物、野球場、プール又はテニスコート等の施設の利用が土地の使用を伴うことになるとしても、その土地の使用は、土地の貸付けに含まれないことに留意する。

前回の記事でも解説した通り、アスファルトで舗装されている土地の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するため、課税取引とされています。

 

スポンサーリンク

青空駐車場は「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するのか?

砂利を敷き詰め、ロープで区画しただけの「青空駐車場」の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するのでしょうか?

国税庁のタックスアンサーNo.6213『駐車場の使用料など』において、次のような記載があります。

2 駐車場、野球場等の貸付け
駐車場など施設の利用に伴って土地が使用される場合は、消費税の課税の対象になります。
したがって、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には、消費税の課税の対象となります。
このほか、建物や野球場、プール又はテニスコートなどの施設の利用に伴って土地が使用される場合も消費税の課税の対象となります。

この取扱いは、駐車場として土地を利用させた場合に、それが土地そのものの貸付けに該当するのか施設の利用として土地が使用される場合に該当するのかの判断基準を示したものです。

しかし、更地に砂利を敷いてロープで区画しただけの青空駐車場の貸付けが「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するかどうかはこれを読むだけでは判断がつきづらいところです。

更地の上に設置された砂利やロープなどが「施設」といえるのかは微妙なところです。

 

スポンサーリンク

審判・裁判では青空駐車場も「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当すると判断

青空駐車場の貸付けが「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するかどうかの解釈を巡って争われたことがあります。

平成22年3月2日の国税不服審判所裁決では、更地に砂利を敷き詰め、ロープで駐車スペースの区画をしただけの青空駐車場であっても、車両を駐車させるという目的でその青空駐車場を貸し付け、少なくとも砂利を敷くなどして駐車場としての用途に応じる地面の整備をしていることからすれば、その青空駐車場の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、課税取引に該当するとの判断が下されました。

また、平成24年4月19日の大阪地裁判決でも、アスファルト舗装の有無や、駐車場としての貸付けに必要な備品の価格が低額であることは、駐車場としての利用に伴って本件各土地を賃借人に使用させるものであって、課税取引に当たるとの前記認定を左右するものではないでないとしました。また、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」の解釈については、施設の利用に消費を観念できる点に消費税課税の根拠が存在するところ、建物を利用する場合以外であっても土地の使用を伴う消費を観念することとし、砂利を敷くなどの修繕費の支出やロープなどの消耗品の設置により駐車場としての用途に応じた土地の整備がされていることから、青空駐車場の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、課税取引に該当するとの判断が下されました。

要するに、アスファルト舗装されていない青空駐車場であっても、実態として駐車場として使用されていることが明らかであれば、その青空駐車場の貸付けは「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、課税取引となるということです。

 

まとめ

土地の貸付けは原則として非課税取引とされ、更地を貸し付けた場合は非課税となります。

しかし、アスファルトの舗装がされていない更地に砂利を敷き詰めたり、ロープで駐車スペースの区画をしただけの青空駐車場の貸付けであっても、「施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当し、課税取引となります。

 

関連するアプリの問題

消費税法 無敵の一問一答

問題番号 タイトル
126 青空駐車場の貸付け

 

スポンサーリンク
その隙間時間、もったいないと思いませんか?

通勤・通学中などの隙間時間は、有効に使えていますか?1日にしたらたった数十分程度の時間でも、塵も積もれば山となって膨大な時間となります。もし1日30分の隙間時間があったとしたら、1年に換算すると182.5時間になります。これだけの時間を有効活用することができたら、非常に大きなアドバンテージとなります。

消費税法一問一答アプリでは、隙間時間を有効活用して消費税の課否判定のトレーニングができるのはもちろん、アプリケーションプログラムを利用して短時間で多くの問題を解くことができるため、紙ベースの問題集よりもはるかに高い効率性で消費税の学習ができます!

おすすめ記事